※『(メモ書き)に関する注意』も必ず参照してください。ハーブティーはともかくとして人体に関わる安易な利用には注意してください
[英名]Silver-birch/White-birch
[学名]Betula-pendula/Betula-alba
カバノキ科/落葉高木/非常に耐寒性あり/寿命は80年前後しかない
15m前後
[樹皮]:輝くような黄褐色/(後に)黒い横筋の入った白色
[葉]:先端が尖った三角形状/縁に二重の鋸歯あり
[花期]:3~5月
[花]:雌雄同株/(雌花)緑色を帯びた毬果・新しい短枝の先に直立する/(雄花)黄色を帯びた長い尾状花序・長枝の先につく
[実]:6~8月/淡褐色の毬果
【分布・育て方】
◆全ヨーロッパに分布/北方の気候を好む
◆林間の空き地・休閑地/暗い森の中では育たない/栄養をたっぷりと吸い取るのでシラカバ林では土壌に豊かな植物群は形成されない
◆日向か半日陰/水はけの良い土地を好む
◆アイスランド・グリーンランドではかつてはシラカバが唯一の木だった
【伝承・歴史など】
◆[ゲルマンにて]:生長の早さ・しなやかな枝・白い樹皮から「生命の木」「生長の木」「祝福の木」とされた
◇女神フリッグの聖樹として緑の枝が門・窓に取り付けられた/愛・喜びのしるしとして入口に飾られた
◇5月樹(5月祭の木)としてはモミの木を圧倒している/ドイツ語の“Maie”は5月柱・シラカバの若枝を意味する
◆[アイルランドにて]:キルデアの聖ブリジット(2月1日が祝日)/聖母マリアのお潔めの祝祭(聖燭節:2月2日)と関連して光の目覚めを祝う
◇地母神ブリード:出産の守り神/治療・工芸・詩歌を司る/予言・神託を下す女神/古代ローマのミネルヴァに相当する
◇その神殿の前には火が常に点されていた
◇ブリギント(ガリア)・ブリガンティア(ブリテン島)と同一/ケルトのパンテオン(万神殿)の主な神/キリスト教伝来後はキルデアの聖女ブリジットと混同される
【花言葉】
『従順』『公明と多産』
『強い結束』(シラカバの束)
【民俗学的なこと】
◆[白い樹木,冬の太陽の光の中で輝く]:シラカバのこれらの性質が悪を追い出すのに相応しいと信じられていた/明るい広葉樹林を形成する
◆[スミレとともに春の到来を祝う]:人々は春の到来を願ったので“スミレ探し”“春の初花摘み”によってそれを探った/村のどこかでスミレが咲いているのを見つけると若者・娘たちはこれを摘み取ってシラカバの若枝に結えつける/これを手にして振り上げて踊る(or)地面に突き立てて周りで輪を作って歌い踊って喜んだという(春のスミレ探しは少なくとも13世紀ドナウ河畔での記録あり)
◇スミレだけでなく、春を告げる様々な花(例:ルチリサ,リュウキンカ,セイヨウオキナグサ,フキタンポポ,キンポウゲ)を摘んで、花束にして村へ持って帰った
◆[5月祭に]:若者は森に入ってシラカバ(or)モミの若木(5月の若枝)を折り取り思いを寄せる若い娘にプレゼントする/これを窓(or)戸口にくくりつけて色とりどりのリボンを垂らす/めでたく結婚する時にはシラカバなどの樹木を立てこれに白い布切れを枝ごとに吊して祝う
◇結婚したカップルにはお祝いとしてボダイジュ・モミ・シラカバなどの若木をプレゼントして2人は生涯大切に育てる
◇新しい家庭を持つ若い男女は、2つの樹を植えて養い育てなければならない
◆[枝の主日に]:復活祭1週間前の日曜日/この日の飾りつけに用いられる枝の1つとして登場する
◆[聖霊降臨祭の飾り]:復活祭後50日の日曜日/春迎えの木として家ごとに聖霊が宿るように白樺の若枝を窓・戸口に飾る/ ローテンブルクでの聖霊降臨祭の“羊飼いの踊り”でも羊飼いたちが手にして踊っている
◇この日が5月祭と行事が被るのは(東欧など寒い地域では)聖霊降臨祭の時期がちょうど良いから
◆[聖体の祝日に]:この祝日は5月祭を禁止しようとして失敗した教会が、その異教的要素を薄めつつキリスト教の暦に取り込もうとして生まれたもの(聖霊降臨祭後の第1日曜日(聖三位一体祭)の次の木曜日)。シラカバの枝・木が堂々と飾られている
◆[シュタウフェンの聖アンナ祭](7月26日):西欧の全ての教会で聖アンナの日を祝うようになったのは近世(1558年頃~)/シュタウフェンの町は彼女を守護聖人とする/やはりモミといっしょに若枝を飾り付ける
◆[多産を約束]:若枝で女性・家畜の体を叩く/若者が娘を叩いてから枝をプレゼントする(北ドイツの5月祭)
◆[癒やしの木材]:“神経を癒やす”と言われた(17世紀)
◆[魔除け][雷除け][家畜の病気除け]:キャベツ畑の害虫を駆除するとも言われた/小枝を帽子・ボタン穴に差す地方もある/(5月祭の朝に)シラカバとナナカマドを十字に結わえて豚小屋に置くと魔女の呪いを免れる/聖ゲオルクの日(4月23日)に家畜を3度叩いてから放牧へと放つ/聖マルティンの日(11月11日)にも家畜を叩いて家畜小屋に入れて冬の間の無事を祈る
◆[狂人を鞭でひっぱたく]:魔物を追い出すためにする
◆[祭式の箒]:シラカバの小枝を柄(トネリコかハシバミの材)にヤナギの樹皮で縛り付けた
◆[聖木曜日]:洗足木曜日のこと(復活祭3日前)/この日に境界標をシラカバで鞭打つ“Beating-the-Bounds”の行事が催される
◆[姉妹語]:bark(樹皮)/barque(小型の帆船)/boat/barge(はしけ)
【特徴と利用法】
◇葉:5~6月に摘み取る
◇葉芽:3月に摘み取る/葉と葉芽は成分浸出液・湿布薬・チンキにする
◇樹液:3~5月/すっかり生長した木に穴を開けて1本当たり約82Lを採取する/ただし樹液の発酵は非常に早い
◇樹皮:切った幹から必要に応じて剥いでオイルを蒸留する
◇強靱・柔らかい・弾性的という特徴を有する/樹皮は特に水を弾く
◆[梯子][車輪のリム][歯車の歯][製粉機の歯車][家具][食器][パイプ][木靴][紡織機の糸巻き][玩具]:各種の木工細工を作るのに割裂しにくい材が適している
◆[カヌー][雪靴][木皿][肩掛け][ゲートル]:寒い地方では若い樹皮を材料にする
◆[スプーン]:これを作るのはロシアの習俗
◆[ビールコップ]:材をくり抜いて金銀のたがを嵌める/先祖伝来の家宝とする(スカンディナヴィア)
◆[細工物]:樹皮から作る
◆[鞭]:小枝からつくる/罪人を打つ/“ダ・バーチ”
◆[箒]:細くしなやかな小枝は最適/柄は材を使う
◆[浴用はたき]:公共浴場で男性客は自分の恥部を覆い隠すのに用いた(中世)
◆[ベッドに敷く]:小さな子供・身重の人は枝を敷いた
◆[文字を記す]:材は紙のような白い薄皮が10~12枚重なっている/これを剥いで文字を記した/古代ローマでも使われていた
◆[木製の容器に][ボートの隙間詰めに][石と木の接合に]:白樺のピッチ(蒸留後に得られる黒いかす)を使う(ガリアにて)
◆[傷ついた家畜の治療]:同上
◆[皮なめし]:樹皮から得られるオイルを使う(タンニン酸がたっぷり含まれる)/なめした毛皮にほのかな香りをつける(ロシア皮革の独特の香りがこれ)/皮革に保存・防水・防虫能力を与える
◇シラカバのオイルでなめした革で装丁した書物には、カビも虫も付かない
◆[屋根吹き]:樹皮を使う
◆[薪]:湿った状態でもよく燃える/薄い内皮は天気の悪い時でも良い火口になる/熱量が高く最適/ロシア・スカンディナヴィアには欠かせない
◆[松明]:渦巻き形に巻いたシラカバの樹皮の帯を油に浸して作った(~19世紀)
◆[緑色]:明礬で葉を十分に煮沸する/質の悪い媒染剤(葡萄酒,尿)をベースにした「小染め」の染色手法が経験に頼って行われていた(北ヨーロッパ)
◆[黄色]:チョークを加える
◆[洗濯石鹸の一種]:尾状花序を水の中で煮沸して作る
◆[顔のローション][フケ・抜け毛向けの頭皮マッサージに]:樹液・お茶を使う
【料理】
◆[サラダ]:若い葉(粘着性・幾分苦い)を添加物とする
◆[カバノキワイン]:樹液(糖分を発酵させて作る)を発酵させて作る/農夫に愛された家庭飲料(ロシア)
◆[樹液を飲む]:森の中でのどの渇きを癒してくれる
【症状と薬効】
◇苦い・収斂性のハーブ
◇利尿・緩下剤・消炎・鎮痛・発汗促進作用がある
◇樹皮から得たオイルが薬用にされた
[リウマチ][関節炎][痛風][動脈硬化][尿閉][膀胱炎][腎臓結石][皮膚の発疹][発熱]:内服する
[疥癬][湿疹]:オイルが有効