※『(メモ書き)に関する注意』も必ず参照してください。ハーブティーはともかくとして人体に関わる安易な利用には注意してください
[和名]:西洋ニワトコ
[学名]:Sambucus-nigra
すいかずら科/落葉低木/耐寒性
9mほどの大きさになる
[特徴]:濃緑の大きな葉(深緑色/縁が鋸状)と花にはもったりとした甘い香りが漂う
[花期]:6・7月
[花]:レースを広げたようなクリーム色の花
[実]:花が咲いた後(夏の終わり)に小さな実がつく/実はブルーベリーに似る/艶々とした黒味がかった紫色/房状なので重みで枝がたわむこともしばしば
【分布・育て方】
◆ヨーロッパ温帯地域に自生する
◆日当たり(or)半日陰/中性~アルカリ性/やや湿り気のある場所を好む
◆つましい場所でもどんどん生長する/トウヒの森の下(酸性/不毛の土壌)で育つ唯一の灌木/鬼火のよく出る場所(沼地・湿地)にエルダーは多い/加えて麻酔性の発気もあり不気味な伝承が生じたようだ
【伝承など】
◆[不死の象徴](北ヨーロッパ):精霊が住むので伐り倒す・薪に用いるのはタブー/枝はいくら切ってもすぐに伸びる/『ニワトコおばさん』(アンデルセン)ではこの精霊が回春の寓意となる
◆[ホレおばさんの木=死者の女神の木]:“黒い女神”たるホレおばさん(地母神/夜の女神)から“白い女神”である輝くブリギットが現れる
◆[生まれ変わった魂と泉の女神=誕生を司る女神]:泉にはカウスリップ・スミレ・アネモネなど春の花が咲く。女神によって生まれ変わった魂(=子供の種)は、新しく誕生する者へとコウノトリ(もしくは別の白い魂の鳥)によって、しかるべき場所(誕生の泉へ/小峡谷へ/沼へ/リンゴなどの果物の中に/煙道を通って竈の中に/中庭のニワトコの枝へ)と運ばれる。魂はその場所に座って未来の母親がしかるべき所作をする(泉の水を飲む,竈の火を掻き立てる,リンゴをかじる,ニワトコに触れる)まで待っている。子供は前世の善行・悪行を自分の天命として刻印している
◇「輪になれ、輪になれ、列になれ/僕らは3人の子供/ニワトコの下に座ってる/みんな呼んでる、早く、早く、早く」
◇このニワトコの周りでの輪舞の歌(子供たちの古い歌)では、歌っているのは生まれてくるべき子供の種だという
◆[性愛のシンボルとして]:子供が霊的存在として先に存在しており、性的な合体によって物理的な身体を得られるいう信仰。そこでニワトコの藪と性愛が結びつけられていた
◇「ニワトコの茂みの後ろで/彼女は恋しい人にキスをした/赤ワイン、白ワイン/明日は婚礼となるだろう」
◇「聖ヨハネ祭(6月24日)にニワトコの花が咲くとき/愛はさらに素敵になる」
◆[埋葬・墓地の木として]:
◇ニワトコの材で死者を埋葬した(古代ケルト・ゲルマン)
◇家の近くのニワトコの下に死者を埋葬した(フリース人)
◇死者をニワトコの小枝の上に横たえる(多くの地方)
◇棺作り職人はニワトコの若枝で棺の寸法を測る/霊柩車の御者の鞭はニワトコの枝/葬儀屋は魔除けにニワトコの材を携える(イギリス)
◇ニワトコで作った十字架を棺の中に入れる(ニーダーライン地方など)
◇葬列の先頭にニワトコ製の十字架を掲げる(チロル地方)
◇お通夜の祈祷の先唱者は眠らないよう、エルダーの花のハーブティーを飲む
◆[死者の木として]:
◇枯死したニワトコの切り株を跨いだ者は1年以内に死ぬ(オークニー諸島)
◇亡くなった親族が地上に来た時には中庭のニワトコに腰を下ろす(フリース人)
◇家の脇に生えるニワトコは「亡くなった祖先と接する境界木」/そこでは魔法の時刻になると死者に助言を求めることができる
◇中庭のニワトコにミルク・パン・粥・ビールの入ったボールを供えた/中庭のニワトコが年に2回花が咲く(or)枯れるのは家の誰かが死ぬ前兆
【民俗学的なこと】
◆[人間と密着]:庭の隅に根を下ろして、家・家畜小屋の壁にぴったりと寄り添う。しかし人々は住処の近くに生えるのを嫌う
◆[妖精]:世界が邪悪になった時に彼らはこの“ホレおばさん”の木に逃げ込む(ホレおばさんは精霊・エルフ・自然存在の支配者だから)
◆[聖ヨハネの日](6月24日):夏の花の季節なので(花から作った)お菓子・花・枝がたいへんもてはやされた
◆[聖母マリア被昇天祭](8月15日):薬草の束に枝を添える
◆[呪術として]:自分の切った爪・髪・抜けた歯を中庭のニワトコの下に埋める/これらを魔法使いが横取りして悪い魔法をかけるのを防ぐため
◇牛の胎盤・乳幼児の沐浴の水も(同じ理由で)捨てる
◇子供が病気になったら「身代わり」の人形をニワトコの木の下に置く(ガリア)
◆[誕生の木]:庭のニワトコの枝に触った妊婦には、ホレおばさんと先祖が身近にいて親身になってくれる(北ヨーロッパ)
◆[揺りかごに使ってはダメ]:新生児をニワトコでできた揺りかごに入れると、ホレおばさんが彼岸の国へ連れて行ってしまう/妖精が赤ん坊をいじめて青痣・黒痣を作ってしまう(後者はイギリス)
◆[ニワトコの十字架]:耕地の周りでの祈願行列・聖体の祝日(復活祭後60日:必ず木曜日)の行列に、この十字架を捧持した。聖体行列の十字架は「特別によい収穫を保証する」とされた(低地ブルターニュ地方)
◆[魔女除け]:ヴァルプルギスの日に葉を採ってきて戸口・窓に張り付ける
◆[厄除け]:家畜小屋にこの木の十字架をかけると良い
◆[魔女の木]:魔女はエルダーに変身する/うっかり斧を当てて木の切り口が血を吹いたという伝承もある
◆[悪いものを引き寄せる]:膿のついた包帯・雑巾・排泄物が根元に埋められた/これらはホレおばさんの鍋(「冥界の大鍋」的な存在)に入ると信じられた/病気の精霊はこれによって浄化・リサイクルされるという
◆[交感療法]:↑と関連してニワトコの木には「苦しみ・長患いなどの全てをぶら下げることができる」とされた(中世:ユダの首吊り自殺から生まれた)
◆[庭師も切らない]:神聖視して/誰であれエルダーを切るときには木の精に許しを請うてから
◆[空気鉄砲]:男の子はこの中空にした枝で作って遊ぶ(古代ローマから)
◆[木陰で昼寝しない]:木の発する気には一種の麻酔性があるとして
◆[ブリテン島の農民暦]:「ニワトコの実が黒くなったら/冬小麦の種を蒔け」「ニワトコが白ければ小袋を醸し焼け/ニワトコが黒ければ大袋と醸し焼け」
◇ニワトコの花が咲く頃にちょびっと発酵させる/ちょびっとパンを焼く
◇実が熟したらたくさん発酵させる/たくさんパンを焼く
◆[治癒力を称える格言]:「ニワトコ(エルダー)の前では帽子を取れ/ビャクシンの前では跪け」
【特徴と利用法】
※以下で(P××)と表記されたページ数は『ハーブ&スパイス』でのページを示しています
◇[悪影響]:その臭気によって(一般には)エルダーは周囲の植物に害を与えるとされる/木陰には他の植物は生えない
◇[ポイント]:葉・樹皮・実・花を利用/実は乾燥させると苦味が少なくなる/葉・樹皮は食べると猛烈な下痢を起こす/生の液果も下剤として働くので食べ過ぎは禁物/花も加熱すべき
◇[葉]:夏に摘み取る/生で使用
◇[樹皮]:冬の終わりの新芽が出る前(or)秋に葉が紅葉する前に剥ぐ/乾燥させたものを煎じ薬にする
◇[花]:開ききった頭花はそのまま乾燥して花弁のみをむしり取る/成分浸出液・フローラルウォーター・成分抽出液・軟膏・チンキにする
◇[実]:熟したら集める/茎から外して生で使う/乾燥させたものを煎じ薬・シロップ・チンキにする
◆[櫛][遊び道具][釣り竿][焼き串][ろくろ細工]:黄白色の木材は硬いので小さな物に利用された(ブナと同じ)
◆[生け垣用に]:耐久性・繁殖力が向いている点が評価された/とにかく長持ち
◆[火を起こす]:若枝の白い髄が抜き取りやすい/中空にした枝を使った
◆[オイル][軟膏]:花から作る/シミ・そばかす・ニキビ・吹き出物に(P246)/クリーム(P257)もあり
◆[ミルク湯]:P252
◆[目薬][化粧水]:エルダーフラワーウォーター(花の蒸留水)が有名(P254中)
◆[髪染]:紫色の実の汁で(古代ローマ)
◆[染料]:果実で革を青/紫に染める
◆[防虫]:枝・葉があればハエ・アリの侵入を防げる/穀倉でネズミ・モグラを防ぐ/服に煎じ汁・揉み汁をつける
◆[馬具に葉をくくりつける]:馬をハエから守る
◆[家畜の病気]:羊の腐蹄症に樹皮・若葉を食べさせると良い/牛の白癬病には若枝を干からびさせる「交感療法」を使った
◆[獣医学]:家禽の強壮餌に/乾燥したサンザシの実・ナナカマドの実・ニワトコの実から(特に冬の)鶏の良質の添加餌が得られる
◆[胴枯病を防ぐ]:カブラ・キャベツ・小麦・果樹などを若葉の束で打っておく
◆[殺虫剤]:葉を茹でて漉したものをアブラムシに(P146)
◆[コンポスト]:エルダーの木の下に作ったコンポストはきわめて有効(P147)
【料理】
◆[菓子]:花の持つ甘い香りが好まれる/ゼリー・ジャム(特に西洋スグリ)・ミルクを使った菓子に/花をガーゼに包んで調理して後からガーゼを引き出す
◆[果物の煮込み]:花を使う/特にグーズベリーに
◆[タルト]:花・凝乳・卵白で作る“サンボカーデ”/医療用に処方された
◆[ケーキ]:中世料理のコースに組み込まれている/饗宴の出席者は占いで楽しんだらしい
◆[エルダーフラワー・コーディアル]:花から作る砂糖水/夏の冷たい飲み物/ポットに乾燥した花をひとつまみ入れるだけで甘い香りのお茶が楽しめる
◆[エルダーワイン]:花を浸す
◆[葡萄酒]:赤が流行になったときに白に実を入れて出荷した(中世)
◆[ピケット](葡萄の2番煎じ):中世の農民はこれを飲んでいたのだが圧搾機を用いるようになりその質が下がった(14・15世紀)。そこでアルコール度を高めるためにエルダーの実を入れた
◆[果実酒]:実から作られた(中世)
◆[フリッター]:花をバターで炒める/夏のデザートとさて
◆[アップルパイ]:実を加えると風味・色は一足違った焼き菓子に仕上がる
◆[実のスープ]:寒い季節の祭餐
◆[ジャム][ピューレ][ゼリー][シロップ][酢][着色料]:実をこれら家庭の保存食に幅広く利用/ジャム・ピューレはビタミンに乏しい冬に日々のパンに添えて食べた
☆生垣で採れる果実のジャム(P211)
☆エルダーの花のシロップ(P214)
☆春野菜:エルダーの花のワインで蒸したリーキ/ポロネギ(Allium-porrum)(P177)
☆エルダーの花のパンケーキ(P204)
☆グーズベリーとエルダーの花のスフレ(P206)
【症状・薬効】
◇苦辛い・冷却性のハーブ,解熱・消炎・刺激緩和作用がある
◇花・実には利尿/変質/抗カタル効果がある
◇葉には殺虫/殺菌/治癒効果がある
◆ゲルマン古来の薬草の1つ/“生きた家庭薬局”と呼ばれた
[インフルエンザ][風邪][カタル][副鼻腔炎][発熱性疾患]:花・実を内服(ワインを加える,砂糖を加えて煮詰める,牛乳で煮る,ハーブティー)
[催眠効果]:花のハーブティー
[リウマチの諸症状]:実を内服
[便秘][関節炎]:樹皮を内服
[軽い火傷][打撲][腫瘍][霜焼け]:葉・種皮を外用薬として(P275)/ラードの中で煮て軟膏にする
[眼の痛み][皮膚炎][口内潰瘍][軽い傷]:花を外用薬として
[黄疸]:熱した石にエルダーの葉を置いて水を注ぐ蒸気浴が良い
[和名]:西洋ニワトコ
[学名]:Sambucus-nigra
すいかずら科/落葉低木/耐寒性
9mほどの大きさになる
[特徴]:濃緑の大きな葉(深緑色/縁が鋸状)と花にはもったりとした甘い香りが漂う
[花期]:6・7月
[花]:レースを広げたようなクリーム色の花
[実]:花が咲いた後(夏の終わり)に小さな実がつく/実はブルーベリーに似る/艶々とした黒味がかった紫色/房状なので重みで枝がたわむこともしばしば
【分布・育て方】
◆ヨーロッパ温帯地域に自生する
◆日当たり(or)半日陰/中性~アルカリ性/やや湿り気のある場所を好む
◆つましい場所でもどんどん生長する/トウヒの森の下(酸性/不毛の土壌)で育つ唯一の灌木/鬼火のよく出る場所(沼地・湿地)にエルダーは多い/加えて麻酔性の発気もあり不気味な伝承が生じたようだ
【伝承など】
◆[不死の象徴](北ヨーロッパ):精霊が住むので伐り倒す・薪に用いるのはタブー/枝はいくら切ってもすぐに伸びる/『ニワトコおばさん』(アンデルセン)ではこの精霊が回春の寓意となる
◆[ホレおばさんの木=死者の女神の木]:“黒い女神”たるホレおばさん(地母神/夜の女神)から“白い女神”である輝くブリギットが現れる
◆[生まれ変わった魂と泉の女神=誕生を司る女神]:泉にはカウスリップ・スミレ・アネモネなど春の花が咲く。女神によって生まれ変わった魂(=子供の種)は、新しく誕生する者へとコウノトリ(もしくは別の白い魂の鳥)によって、しかるべき場所(誕生の泉へ/小峡谷へ/沼へ/リンゴなどの果物の中に/煙道を通って竈の中に/中庭のニワトコの枝へ)と運ばれる。魂はその場所に座って未来の母親がしかるべき所作をする(泉の水を飲む,竈の火を掻き立てる,リンゴをかじる,ニワトコに触れる)まで待っている。子供は前世の善行・悪行を自分の天命として刻印している
◇「輪になれ、輪になれ、列になれ/僕らは3人の子供/ニワトコの下に座ってる/みんな呼んでる、早く、早く、早く」
◇このニワトコの周りでの輪舞の歌(子供たちの古い歌)では、歌っているのは生まれてくるべき子供の種だという
◆[性愛のシンボルとして]:子供が霊的存在として先に存在しており、性的な合体によって物理的な身体を得られるいう信仰。そこでニワトコの藪と性愛が結びつけられていた
◇「ニワトコの茂みの後ろで/彼女は恋しい人にキスをした/赤ワイン、白ワイン/明日は婚礼となるだろう」
◇「聖ヨハネ祭(6月24日)にニワトコの花が咲くとき/愛はさらに素敵になる」
◆[埋葬・墓地の木として]:
◇ニワトコの材で死者を埋葬した(古代ケルト・ゲルマン)
◇家の近くのニワトコの下に死者を埋葬した(フリース人)
◇死者をニワトコの小枝の上に横たえる(多くの地方)
◇棺作り職人はニワトコの若枝で棺の寸法を測る/霊柩車の御者の鞭はニワトコの枝/葬儀屋は魔除けにニワトコの材を携える(イギリス)
◇ニワトコで作った十字架を棺の中に入れる(ニーダーライン地方など)
◇葬列の先頭にニワトコ製の十字架を掲げる(チロル地方)
◇お通夜の祈祷の先唱者は眠らないよう、エルダーの花のハーブティーを飲む
◆[死者の木として]:
◇枯死したニワトコの切り株を跨いだ者は1年以内に死ぬ(オークニー諸島)
◇亡くなった親族が地上に来た時には中庭のニワトコに腰を下ろす(フリース人)
◇家の脇に生えるニワトコは「亡くなった祖先と接する境界木」/そこでは魔法の時刻になると死者に助言を求めることができる
◇中庭のニワトコにミルク・パン・粥・ビールの入ったボールを供えた/中庭のニワトコが年に2回花が咲く(or)枯れるのは家の誰かが死ぬ前兆
【民俗学的なこと】
◆[人間と密着]:庭の隅に根を下ろして、家・家畜小屋の壁にぴったりと寄り添う。しかし人々は住処の近くに生えるのを嫌う
◆[妖精]:世界が邪悪になった時に彼らはこの“ホレおばさん”の木に逃げ込む(ホレおばさんは精霊・エルフ・自然存在の支配者だから)
◆[聖ヨハネの日](6月24日):夏の花の季節なので(花から作った)お菓子・花・枝がたいへんもてはやされた
◆[聖母マリア被昇天祭](8月15日):薬草の束に枝を添える
◆[呪術として]:自分の切った爪・髪・抜けた歯を中庭のニワトコの下に埋める/これらを魔法使いが横取りして悪い魔法をかけるのを防ぐため
◇牛の胎盤・乳幼児の沐浴の水も(同じ理由で)捨てる
◇子供が病気になったら「身代わり」の人形をニワトコの木の下に置く(ガリア)
◆[誕生の木]:庭のニワトコの枝に触った妊婦には、ホレおばさんと先祖が身近にいて親身になってくれる(北ヨーロッパ)
◆[揺りかごに使ってはダメ]:新生児をニワトコでできた揺りかごに入れると、ホレおばさんが彼岸の国へ連れて行ってしまう/妖精が赤ん坊をいじめて青痣・黒痣を作ってしまう(後者はイギリス)
◆[ニワトコの十字架]:耕地の周りでの祈願行列・聖体の祝日(復活祭後60日:必ず木曜日)の行列に、この十字架を捧持した。聖体行列の十字架は「特別によい収穫を保証する」とされた(低地ブルターニュ地方)
◆[魔女除け]:ヴァルプルギスの日に葉を採ってきて戸口・窓に張り付ける
◆[厄除け]:家畜小屋にこの木の十字架をかけると良い
◆[魔女の木]:魔女はエルダーに変身する/うっかり斧を当てて木の切り口が血を吹いたという伝承もある
◆[悪いものを引き寄せる]:膿のついた包帯・雑巾・排泄物が根元に埋められた/これらはホレおばさんの鍋(「冥界の大鍋」的な存在)に入ると信じられた/病気の精霊はこれによって浄化・リサイクルされるという
◆[交感療法]:↑と関連してニワトコの木には「苦しみ・長患いなどの全てをぶら下げることができる」とされた(中世:ユダの首吊り自殺から生まれた)
◆[庭師も切らない]:神聖視して/誰であれエルダーを切るときには木の精に許しを請うてから
◆[空気鉄砲]:男の子はこの中空にした枝で作って遊ぶ(古代ローマから)
◆[木陰で昼寝しない]:木の発する気には一種の麻酔性があるとして
◆[ブリテン島の農民暦]:「ニワトコの実が黒くなったら/冬小麦の種を蒔け」「ニワトコが白ければ小袋を醸し焼け/ニワトコが黒ければ大袋と醸し焼け」
◇ニワトコの花が咲く頃にちょびっと発酵させる/ちょびっとパンを焼く
◇実が熟したらたくさん発酵させる/たくさんパンを焼く
◆[治癒力を称える格言]:「ニワトコ(エルダー)の前では帽子を取れ/ビャクシンの前では跪け」
【特徴と利用法】
※以下で(P××)と表記されたページ数は『ハーブ&スパイス』でのページを示しています
◇[悪影響]:その臭気によって(一般には)エルダーは周囲の植物に害を与えるとされる/木陰には他の植物は生えない
◇[ポイント]:葉・樹皮・実・花を利用/実は乾燥させると苦味が少なくなる/葉・樹皮は食べると猛烈な下痢を起こす/生の液果も下剤として働くので食べ過ぎは禁物/花も加熱すべき
◇[葉]:夏に摘み取る/生で使用
◇[樹皮]:冬の終わりの新芽が出る前(or)秋に葉が紅葉する前に剥ぐ/乾燥させたものを煎じ薬にする
◇[花]:開ききった頭花はそのまま乾燥して花弁のみをむしり取る/成分浸出液・フローラルウォーター・成分抽出液・軟膏・チンキにする
◇[実]:熟したら集める/茎から外して生で使う/乾燥させたものを煎じ薬・シロップ・チンキにする
◆[櫛][遊び道具][釣り竿][焼き串][ろくろ細工]:黄白色の木材は硬いので小さな物に利用された(ブナと同じ)
◆[生け垣用に]:耐久性・繁殖力が向いている点が評価された/とにかく長持ち
◆[火を起こす]:若枝の白い髄が抜き取りやすい/中空にした枝を使った
◆[オイル][軟膏]:花から作る/シミ・そばかす・ニキビ・吹き出物に(P246)/クリーム(P257)もあり
◆[ミルク湯]:P252
◆[目薬][化粧水]:エルダーフラワーウォーター(花の蒸留水)が有名(P254中)
◆[髪染]:紫色の実の汁で(古代ローマ)
◆[染料]:果実で革を青/紫に染める
◆[防虫]:枝・葉があればハエ・アリの侵入を防げる/穀倉でネズミ・モグラを防ぐ/服に煎じ汁・揉み汁をつける
◆[馬具に葉をくくりつける]:馬をハエから守る
◆[家畜の病気]:羊の腐蹄症に樹皮・若葉を食べさせると良い/牛の白癬病には若枝を干からびさせる「交感療法」を使った
◆[獣医学]:家禽の強壮餌に/乾燥したサンザシの実・ナナカマドの実・ニワトコの実から(特に冬の)鶏の良質の添加餌が得られる
◆[胴枯病を防ぐ]:カブラ・キャベツ・小麦・果樹などを若葉の束で打っておく
◆[殺虫剤]:葉を茹でて漉したものをアブラムシに(P146)
◆[コンポスト]:エルダーの木の下に作ったコンポストはきわめて有効(P147)
【料理】
◆[菓子]:花の持つ甘い香りが好まれる/ゼリー・ジャム(特に西洋スグリ)・ミルクを使った菓子に/花をガーゼに包んで調理して後からガーゼを引き出す
◆[果物の煮込み]:花を使う/特にグーズベリーに
◆[タルト]:花・凝乳・卵白で作る“サンボカーデ”/医療用に処方された
◆[ケーキ]:中世料理のコースに組み込まれている/饗宴の出席者は占いで楽しんだらしい
◆[エルダーフラワー・コーディアル]:花から作る砂糖水/夏の冷たい飲み物/ポットに乾燥した花をひとつまみ入れるだけで甘い香りのお茶が楽しめる
◆[エルダーワイン]:花を浸す
◆[葡萄酒]:赤が流行になったときに白に実を入れて出荷した(中世)
◆[ピケット](葡萄の2番煎じ):中世の農民はこれを飲んでいたのだが圧搾機を用いるようになりその質が下がった(14・15世紀)。そこでアルコール度を高めるためにエルダーの実を入れた
◆[果実酒]:実から作られた(中世)
◆[フリッター]:花をバターで炒める/夏のデザートとさて
◆[アップルパイ]:実を加えると風味・色は一足違った焼き菓子に仕上がる
◆[実のスープ]:寒い季節の祭餐
◆[ジャム][ピューレ][ゼリー][シロップ][酢][着色料]:実をこれら家庭の保存食に幅広く利用/ジャム・ピューレはビタミンに乏しい冬に日々のパンに添えて食べた
☆生垣で採れる果実のジャム(P211)
☆エルダーの花のシロップ(P214)
☆春野菜:エルダーの花のワインで蒸したリーキ/ポロネギ(Allium-porrum)(P177)
☆エルダーの花のパンケーキ(P204)
☆グーズベリーとエルダーの花のスフレ(P206)
【症状・薬効】
◇苦辛い・冷却性のハーブ,解熱・消炎・刺激緩和作用がある
◇花・実には利尿/変質/抗カタル効果がある
◇葉には殺虫/殺菌/治癒効果がある
◆ゲルマン古来の薬草の1つ/“生きた家庭薬局”と呼ばれた
[インフルエンザ][風邪][カタル][副鼻腔炎][発熱性疾患]:花・実を内服(ワインを加える,砂糖を加えて煮詰める,牛乳で煮る,ハーブティー)
[催眠効果]:花のハーブティー
[リウマチの諸症状]:実を内服
[便秘][関節炎]:樹皮を内服
[軽い火傷][打撲][腫瘍][霜焼け]:葉・種皮を外用薬として(P275)/ラードの中で煮て軟膏にする
[眼の痛み][皮膚炎][口内潰瘍][軽い傷]:花を外用薬として
[黄疸]:熱した石にエルダーの葉を置いて水を注ぐ蒸気浴が良い