6月16日(日)金沢までOSK日本歌劇団の公演(10時と13時の回)を観に行ってきました。

 

日時:2024年6月16日(日)10時・13時・16時

会場:北國新聞赤羽ホール

 

   

 

金沢駅に降り立つと、明るい陽射しが燦々と降り注ぐ『もてなしドーム』が出迎えてくれます。

その向こうに小さく見えるのは、木造建築の鼓門で、金沢の古典芸能である能でも使われる鼓をモチーフに創られた門だそうで、近くで見ると門の両側が鼓のように木材がひねって重ねられた美しい門となっていました。(反対側から見ると、すごい迫力と建築美です)

駅に着いたのが9時半ごろだったので、10時の公演に間に合うよう駅前からタクシーで急ぎました。

 

 

 

 

タクシーでおよそ10分で北國新聞赤羽ホールに到着。(料金はちょうど¥1,000)

このホールもガラス張りです。

 

 

ホールの一階の入り口を入ると、翼さんと千咲さんのサイン入りポスターが「ようこそ」と出迎えてくれて、一気にテンションが上がります。

この左手で、係の方にチケットを見せて、二階へ上がります。

 

 
 
階段を上がって二階に行くと、グッズ売り場の隣に満員御礼の立て札が置かれていて、そこにも翼さんと千咲さんのサイン、そして翼さんから来場者のみなさんへのメッセージが書かれていました。
 
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《出演者》

翼和希、千咲えみ、純果こころ、知颯かなで、空良玲澄、舞音ことは、瑠音あかり、美丘さくら、ひより芽依、妃乃愛、ことせ祈鞠(以上、敬称略)

 

 

《プログラム》
 
◆Welcome to our Story
 
オープニングは、レモンイエローの衣裳に身を包んだ劇団員さんが総出演で、観客のみなさんを歓迎してくれているような華やかな幕開けでした。
娘役さんは濃いレモンイエローのドレス、知颯さんと空良さんは淡いイエローの裾がふわふわした燕尾、翼さんは濃いレモンイエローの燕尾で登場され、明るい笑顔で華やかなレビューの世界へと一気に誘われていきました。
翼さんが登場された時、客席からは「わぁ~」という歓声が沸き起こりました。
 
 
◆3days a week
 
千咲さんが歌い、娘役さんたちがダンスする場面。
舞台にきれいな黄色い花が咲いたような元気あふれるダンスを観て、OSKの娘役さんのダンスってこの力強さいいんだよなぁと思いながら、うっとりレビューの世界に浸っていました。
 
 
◆ラテン
 
『エル・クンバンチェロ』
暗転した後、イントロが流れると「あ!あの曲だ!」と胸が高まりました。
と、そこにはスポットライトを浴び、黒と金のフリルが幾重にも重なったラテンのお衣裳に身を包んだ翼さんが凛として立っていました。
頭には、羽根を付けたヘアバンド。
この曲を生で初めて聴いたのは今年二月の翼さんの浅草コンサートですが、今や翼さんの代名詞とも言えるようなこの曲は、イントロが流れてくるだけでゾクゾクしてきます。
エル・クンバンチェロとは、スペイン語で「口の広い盃(クンバ)をたたく男」という意味で、「飲んでお祭り騒ぎをしている様子」と描いた曲だそうです。(参照サイト⇒こちら
翼さんは、スペイン語の歌詞を滑らかに、時に巻き舌でスペイン語らしく、射るような眼差しを交えながら熱く激しく、歌い踊ります。
歌詞の意味は分からなくても翼さんの歌からほとばしる熱い情熱は伝わってきて、手拍子で一緒に盛り上がる客席は、いつの間にか一体感に包まれていました。
翼さんが歌うこの曲は、自分が歌っているわけでもないのに、伸びやかな歌声を聴いているだけでスカッと爽やかな気分になれるところがすごくいいんですよね。
詰まっているものがスコーンと頭のてっぺんから抜けるような爽快感、
金沢公演で初めてエル・クンバンチェロを歌う翼さんをご覧になったお客さまは、きっとその迫力と歌唱力に度肝を抜かれたことと思います。
私も、去年10月に朝ドラ『ブギウギ』で翼さんを知った時、ネットで検索して初めてOSKでの翼さんを観たのがこのエル・クンバンチェロの動画でした。
朝ドラでは歌う場面はなかったので、この歌唱力にまずとても驚きました。
そして、現代のOSKで舞台での翼さんの美しさに完全にノックアウトされました。
もう一度この曲を聴きたい!と思う方は、YouTubeにOSK日本歌劇団がアップしてくださっている動画がありますので、そちらをご覧くださいね⇒OSK日本歌劇団 翼和希「エル・クンバンチェロ」
ちょっと前まで、再生回数40万回越えだったのが、今では57万回を超えていました。
 
 
『Cumana』
 
千咲さんが、ハイレグのダルマ衣裳に黒と金のスカートを広げて持ちながら、ひらひらパタパタと曲に合わせてスカートを激しく振りながら翼さんの周りを踊りまくるこの場面、とてもパワフルで見応えありました。
その後、全員でパタパタとスカートはためかせて踊る踊る!
これが巷で噂のOSKのクマーナなのかと、その迫力に驚かされました。(スカートが足によく絡まないなと、観ていてドキドキしました)
 
※このシーンが終わると、翼さんは舞台の後ろに下がって後ろ向きになり、横に娘役さんが二人サッと寄り添う中で、ヘアバンドを外し、髪を両手で撫でつけ、襟を立ててから、再び前を向きます。
この時の翼さん、一連の動作が流れるように美しく、まるでそれも舞台のワンシーンのように素敵でうっとり眺めていました。
 
 
『バルカローレ』
 
今回、11人というメンバーのうち、男役さんは翼さんと知颯さん、空良さんの三人だけだったので、男役さんの群舞が観られなくてちょっと寂しいなと思っていたのですが、この場面を観て、その心配が杞憂だったことを知りました。
クールでダンディな翼さん、甘いマスクと優し気な雰囲気の知颯さん、ちょっと茶目っ気のある表情が可愛らしい空良さん、という三人のカラーが見事に融合し、男役のお色気と魅力が溢れる素敵なダンスを三人で見せてくれました。
 
 
◆スパニッシュ
 
『スパニッシュ』
赤地に黒のレースが胸元にあしらわれたフラメンコ風お衣裳を着て、千咲さんたち娘役さん五人が踊るスパニッシュの場面は、スペインを感じさせるとても熱い魅惑的なダンスで酔わせてくれました。
途中、扇子をパッと広げて踊るところ、五人の息がぴったり合っていてとってもカッコよかったです。
 
『Granada』
翼さんは紫のマタドール、知颯さんと空良さんは深いグリーンのマタドールで、赤いドレスの娘役さんたちとスパニッシュなダンス。
ここでも、最後に男役さん三人で踊るシーンがありましたが、優美で悲壮感が漂うとても素敵なダンスシーンでした。
 
 
◆Jazz
 
娘役さん三人によるコミカルなフリがとても面白くて、客席が笑いに包まれた場面です。
三人の娘役さんは、センター争いを可愛く繰り広げながらも、踊るとこはきっちり踊って見せてくれるという、メリハリの利いた楽しい場面でした。
娘役さんがはけてから、黒燕尾の知颯さんと空良さんが舞台の数段の小階段の上から現れ、二人で男役のダンスを見せてくれました。
大勢の男役さんによる大階段の群舞ももちろん素敵ですが、この二人による小階段のダンスは、男役のお色気と凛とした美しさを感じさせるとてもいいダンスシーンでした。
初めてレビューをご覧になる観客の方にも、黒燕尾の男役さんの魅力が伝わったのではないでしょうか。
 
 
◆Adagietto
 
舞台はブルーに染まり、空に輝く満天の星。
階段のある段を挟んで、階段下の左手に千咲さん、階段上の右手側に翼さん。
翼さんと千咲さんは、ロイヤルブルーのお衣裳。
翼さんは、想いを寄せる人への気持ちを込めた歌を切々と歌い、二人は徐々に近づいていき、そして出会い、互いに見つめ合う。
翼さんは王子さまのようにお辞儀をして、千咲さん演ずるレディに愛を誓い、デュエットダンス。
歌詞がとてもロマンティックで、こんな風に王子さまにエスコートされてみたいと思う女性心理を突いた演出が素敵で、甘美な世界に浸ることができました。
相手役が同期だと、恋愛シーンとかデュエットダンスがやりづらいのかな?と観る前はチラッと思ったりしたのですが、翼さんが千咲さんをとても大切そうに見つめ、抱きしめている姿を拝見して、そんな心配は不要だったと気づかされました。
そう言えば、ブギウギの劇中劇『胡蝶の舞』でも、橘アオイ先輩は同期の大和礼子さんと踊っていましたね!
 
 
 
◆ラインダンス
 
『it‘sall right with me』
今回のラインダンスのお衣裳は、金糸が織り込まれたブラウンを基調としたもので、スカート部分に淡いブラウンのチュールレースが付いている、シックで大人可愛いものでした。
ブギウギの時のような赤いお衣裳(後ろに大きなリボン付き)も可愛くてよかったのですが、このようなシックなお衣裳もまた素敵です。
7人のロケットガールと、知颯さんのロケットボーイで踊るラインダンスは、「ハ~イ」「ヤッ!」などの掛け声がみなさんとてもよく出ていて、軸となる左足でピョンピョン力強く跳ねつつ、右足を揃って高く上げるというOSKの伝統のラインダンスを力強く踊って見せてくれました。
特に13時の回は、10時の回よりも掛け声がみなさんとてもよく出ていて、元気いっぱいでとても生き生きされていました。
春のおどりのトークショーで、純果こころさんが新橋演舞場の公演に向けての心意気で「掛け声を頑張りたいのでそこに注目していただけたら」と言われていたことを、金沢公演ですぐに実行されたのだなと、なんだかとても頼もしく思えました。
 
 
 
◆ブギメドレー
 
『恋のステップ』
この曲は、真ん中にいる千咲さんをめぐって、両側で恋の駆け引きをする知颯さんと空良さん、という図がとても面白い場面でした。
結局千咲さんは知颯さんを選び、フラれた空良さんが拗ねたようなお顔でちょっとむくれているのですが、そこへ千咲さんが笑顔で近づいてきたので、喜んで手を差し伸べると、千咲さんが差し出したのは手、ではなくて持っていたパラソルでした。
再びフラれてふてくされる空良さんの表情がとても可愛くって、客席のあちこちからクスクス笑い声が聞こえてくる楽しい場面となっていました。
 
 
『ラッパと娘』
曲が流れ始めると、なぜか後方から聞こえてくる歓声に驚いて振り返ると、客席中央のちょっと広い通路に、真っ赤なスーツを着た翼さんがライトを浴びながら立っているではありませんか!
客席の中央あたりなので、後ろの席や二階席の方も間近に翼さんが見えるので、みなさんキャーキャーととてもうれしそうに歓声を上げながら手拍子をされて、みなさん熱い視線を送っていました。
歌の途中までそこで歌い、最後4分の1くらいのところで上手側の通路を通って舞台に駆け上がって行きました。
テレビで観たあの橘センパイが、ドラマ中で歌われたあの曲を抜群の歌唱力で、今まさに目の前で歌っているという事実に、きっと驚かれた観客の方も多くいらしたことでしょう。
翼さんは、どの席の方もよくご覧になれるようにという配慮をしてくださったように思いました。
金沢の地のみなさんに喜んでいただきたいというお気持ちが伝わる、とてもいいシーンでした。
 
 
『センチメンタルダイナ』
舞台に駆け上がった翼さんは、続いてセンチメンタルダイナを歌い上げます。
よく見ると、翼さんは赤いスーツの下に赤と白のストライプのシャツ、黒のベストを着て、とてもスタイリッシュで素敵です。
朝ドラで上われたこの曲も、会場がとても沸いていました。
 
 
◆東京ブギウギ
 
朝ドラ『ブギウギ』で一番有名な曲『東京ブギウギ』を、力強く抜群の歌唱力で聴かせてくれる翼さんに、客席は手拍子をしながら大盛り上がりでした。
ブギメドレーから娘役さんがずっと着ていらしたお衣裳は、胸のところが白地で折り返しになっていて、くるみボタンが三つ(二つ?)ついているストラップドレスでしたが、これが昭和レトロなワンピース風で曲にとても合っていました。
カラーは一人ずつみんな違っていて、千咲さんがオレンジ色、純果さんがグレーっぽい淡いラベンダー色、他の方の色は思い出せないのですが、みなさんそれぞれ違っていて、レトロながらカラフルで素敵でした。
男役さんは、確か白地に黒のストライプのシャツにベスト、空良さんは黄色、知颯さんはオレンジ色のパンツだったと思いますが、歌の流行った時代を感じさせるお衣裳でした。
 
 
《追憶とAgonyは、繋がっている一つの作品のような感じだったので、つなげて思い出したイメージでのご紹介となります。記憶が不確かで順序が違っている箇所もあるかと思いますが、お気づきの点がありましたらメッセージ等で教えていただけるとうれしいです》
 
◆追憶&Agony
 
波の音が聞こえる。
ブルーのお衣裳にグレーのストールを巻いていた翼さんが現れる。
「あなたへの想いをめぐらす 失われし君によりそう 見てたのはまぼろし ・・・」と切なく歌う翼さん。
その時雷が鳴りひびき、頭をかかえ顔をしかめる翼さん。
するとそこに現れたのは、黒のレースの上衣にブルーのスカートをまとった千咲さん。(失った恋人?)
二人は引き寄せられるように近づき、デュエットダンス&リフト。
そしてキス。
その途端、苦しみだす翼さん。
口移しで毒を与えた千咲さんは走り去り、倒れる翼さん。
 
舞台中央の黒幕が上がると、段上にグレーのベールを被り、海の底から現れた死神のように氷のように冷たい表情で千咲さんが立っています。
苦しみながらも千咲さんに近づき、そのベールをはぎベールを介してお互いの方へ引き寄せ合う。
が、翼さんは毒が回ったのか、苦しみながら倒れる。
大時計の音が、ボーン、ボーン、ボーン、と三つ鳴る。(終わり)
 
※このシーンは、亡くなった元恋人が海の底から現れ、自分を連れに来るという幻を見た男性のストーリーかな?と思いました。
死神となって表れた元恋人が、自分の方へと引き寄せようとするような、ベールを介して互いに引き合うところは、恐ろしくも美しいダンスシーンとなっていました。
『Adagietto』でのきらきらな王子さまの翼さんももちろん素敵ですが、ちょっとダークなストーリーの中で苦悩する表情が美しい翼さんにもとても惹かれました。
そして、氷のように冷たい表情で、元恋人を海の底に引きずり込もうとする死神のような千咲さんもとても素晴らしく、ブラックな役もとても上手いなぁと驚かされました。(以上、私の捉え方での感想です)
 
 
◆希望のうた
 
出演者全員による歓びの歌のメロディで歌う「あなたが笑顔でいられるように・・・」という希望のうたは、能登半島地震で被災された地への応援歌のようで、とてもあたたかくやさしく、力強く会場に響いていました。
この歌は被災地への応援歌でもあり、観客である私たちへの応援歌でもあるように感じ、とても心が癒されるような気がしました。
 
 
◆パレード
 
『ビバ!OSK』
とても元気の出る素敵なOSKのテーマソング的な歌で、生で初めてお聞きしましたが、耳なじみのいいメロディと歌詞で、聴いてすぐに一緒に口ずさめるようなところがとてもいいと思いました。
 
※この後、翼さんからご挨拶とメンバー紹介があったように思います。
ご挨拶では、先月、OSKからの義援金を届けに七尾市に行かれた際に、多くの方から「がんばってね」とか「観に行きます」というお声をいただき、逆に元気をいただいたので、そのお返しをできるよう頑張りました、とのことと、この後、京都南座、新橋演舞場での公演が続くので、どうぞよろしくお願いします、とのことでした。
13時の回のご挨拶で、金沢のみなさまに、というところを、神奈川の、と言われて、すぐに訂正されましたが、その時に右手を右上から下にひらひらさせて(ごめんなさいと言われているような仕草)いらっしゃったのですが、その所作がとても優雅で美しく、見惚れてしまいました。
 
《追記》
このパレードの時、翼ささんはロイヤルブルーにキラキラの飾りがたくさんあしらわれたお衣裳を身にまとい、肩から白い羽のショールをかけて登場されたことを思い出しました。(他のみなさんは、オープニングと同じレモンイエローのお衣裳)
そして、確かこの曲の途中で、みなさんが客席に降りていらしゃったのですが、その時に下手側の客席通路は翼さんが先頭になって何人か降りてこられて、通路横に並んでずっと歌ってくだっていました。(上手側通路には、千咲さんを先頭に数人が降りていらっしゃいました)
曲の終わりの方になって、他の方が舞台に戻り始めた時、翼さんだけ最後列の方まで走って観客のみなさんにお顔を見せに行かれ、その後猛ダッシュで舞台に戻るという、春のおどりの『たけのこ』の景を思わせる見事な走りっぷりを見せてくださいました。
ちょうど通路横の席だった私は、爽やかな風のように走り抜ける翼さんを一瞬感じることができました。
翼さんは、舞台にかかる階段を駆け上がる時に、ロイヤルブルーのお衣裳のふわふわした裾が引っかからないように、両手で裾をつまんでいらしゃって、その様子がとても上品で素敵でした。
 
 
◆フィナーレ
 
『桜咲く国』
OSK恒例のフィナーレ、桜パラソルを使った桜咲く国では、客席は桜ミニパラソルを舞台上の劇団さんたちと一緒に回しながら、楽しかったひと時に別れを告げました。
 
 
《観終わって》
東海地方から電車を四本乗り継いで片道四時間、二回観劇の日帰り強行軍でしたが、観終わってみるととても素晴らしい公演を観ることができて幸せな気持ちでいっぱいになりました。
翼さんたち劇団員さんたちの気迫と愛のこもった歌やダンス、それを観てうれしそうにたくさんの拍手をされる客席のみなさん、という双方向からの気持ちの通じ合う様子が肌で感じられたことがとてもよかったと思います。
劇場以外はどこにも寄らずに帰りましたが、翼さん主演の金沢公演が私にとっては何よりのごちそうであり素敵な風景でした。
劇場でご挨拶させていただいたフォロワーのみなさま、ありがとうございました。
またお会いできる日を楽しみにしています。