【1715】コロナ私見#648(コロナの原点)

 

コロナも終息状態になり、騒動を振り返っておく必要があると思います。コロナ騒動の原点は欧州で大量の死者がでたことです。そのため、世界的にロックダウンなどの対策が取られて大騒ぎになりました。

その欧州を振り返ってみます。下記はイギリス、フランス、ドイツ、イタリアと日本の100万人あたりの感染者です。第一波で大騒ぎになり、ロックダウンなどが始まったのですが今から思うと感染者はごくわずかでした。変異株のアルファはイギリスで始まったとされますが、そのアルファが収まった時に規制緩和が始まり、感染爆発したオミクロン株の前には既に規制は殆ど解除されていました。感染者はどんどん増えているのに、規制緩和は進めたのです。社会もパニックにならずに受け入れました。日本では感染者が落ち着き始めたのと、人々がコロナに慣れて不感症になるころに5類にやっとなりました。

 

 

下記は死者数です。感染者と違って、死者は最初の方が格段に多かったのです。初期の感染者は少なく、死者は多いと言うことは致死率が高いということです。コロナが問題になったのはこの致死率が高いと言うことだったのです。いわば、コロナ騒動の原点は致死率の高さだったのです。

 

 

 

致死率の比較をしてみました。感染者と死者の波形は同じ形をしていますので、ピーク値の比率から簡易的に致死率は計算できます。第一波は欧州では数10%の致死率でした。イギリスの人口当たりの死者数は日本の92倍でした。日本人口に換算するとアルファ波までで30万人が亡くなったことになるのです。これこそが大問題になった原点なのです。日本の第三波にあたるアルファ株では、死者数は第一波と同じ程度でしたが、感染者が激増したため致死率は急減しました。イギリスでは致死率は1/10まで下がりました。これを見て規制緩和を決めました。第一波では10万人の死者、アルファ株でも同じ死者がでて、これからどうなるかまだわからない時に決めたのです。判断は感染者数でもなく、死者数でもなく、ただ一つ致死率だったのです。日本では第一波の感染者、死者は欧州の数十分の一で、致死率も5%程度と欧州とは比較にならないほど小さかったのです。いわば原点で日本は何も問題なかったのです。安全のために同じような規制を取ることは許せますが、日本でも第三波では1.7%になっていたので、この時点で同じような緩和の決断はできた筈です。

 

 

 

 

 

専門家委員会はこの点をどうとらえているのでしょうか。専門家委員会のトップが書いた論文があります。

専門家の論文

001088929.pdf (mhlw.go.jp)

001088930.pdf (mhlw.go.jp)

 

その中にイギリスとの比較があります。

「それとともに重症者(中段の ICUおよび HDU(High Dependency Unit)入院者数)や死亡者数(下段)も徐々にピークが低くなってきている。し かし、この死亡のデータには 2020 年末から 2021 年初めの英国で非常に多くの死亡者を記 録した時期が含まれていることに注意が必要である。主にオミクロン株の流行期である、 2022 年 1 月以降の人口あたりの死亡者数について日本とイングランドの比較をしたものが 図 6 である。これを見ると、イングランドの直近の死亡のピークも日本の第 6 波と同程度であることがわかる。」

 

イギリスの初期の死者の多さに惑わされずに、今の死者数を比較しろと言っているのです。初期の致死率の高さこそコロナ問題の原点だったのに、そこは目をつぶって今の落ち着いた状態を比較しろと言っているのです。意味がありません。コロナで何が問題だったのかという基本認識が全く間違っています。原点を見返すべきです。

 

論文を「致死率」で単語検索すると下記の文章が出ます。

「相対的に病原性の低いオミクロンが流行株の主体となり、さらにほとんどの人がワクチンもしくは自然感染による免疫を獲得することで重症化率や感染致死率は低下していると考えられる。にもかかわらず、このような死亡者の増加が見られたのは感染者数が顕著に増加すれば死亡者の増加につながることを示していると考えられる。」

 

致死率の計算は全くせずに、他人事として致死率低下を言い、しかも8波で死者数が多いのは感染者数が多いからだとむしろ感染者数、死者数を重視しています。致死率のデータはどこにもありません。「考えられる」というのは、自分では調べていないことの表れです。

 

コロナで問題だったのは初期の致死率の高さであって、致死率が下がった段階で規制を解除し、後は医療機関に任せると言うのがコロナの基本方針であるべきでした。他国はその通りに政策を進めたのです。日本は致死率は全く無視で、感染者ばかりを言い立てました。完全な間違いですし、専門家を責めるべきです。それがコロナの反省で、次に繋がる方策です。このままでは同じことを繰り返すのは間違いありません。

 

専門家論文への私の批判記事です。

【1703】コロナ私見#640(低レベルの専門家) | 住田正彦のブログ(団塊世代の思うこと) (ameblo.jp)