【1665】コロナ私見#610(尾身会長著書に反論)

 

尾身会長が本を出しました。「1100日間の葛藤」コロナでの自身の活動を振り返ったものです。私は彼を非難していますが、相手の主張も聞かねばと1980円を払って読んでみました。

委員会の活動、特に政府とのせめぎ合いの葛藤が主な内容です。よく覚えているなと思うほど詳細な記述です。逐一記録を取っていたのでしょう。中味は感染の話ばかりで、それも人流制限などで感染はコントロールできるというスタンスを最後まで崩していません。政府が言うことを聞いてくれないとか、委員会を無視するとかの話が沢山出てきます。しかし、その感染も私が指摘した形状の相似性、周期性、大きな終息に向かっての動きも捉えておらず、初期の段階から何も勉強した気配がありません。目先の感染者増に大騒ぎしているだけです。終息期に入って段々波が小さくなることをエンデミックなどと言ってぼやかしているのです。全員感染に近づいて減っているだけです。感染学者なら当然理解していないといけないことです。重症者、死者の話も殆ど出てきません。ひたすら感染者増にどう対応したかとの話ばかりです。医療対応の話も殆どありません。政府もこんな委員会に付き合っていたら、いつまでたっても正常化できないと見限ったのだと私は思います。

死者については驚くような記述がありました。メンバーの西浦氏から、「これからは死者の分析が重要」と言い、尾身氏も「その通り」と答えているのですが、驚くのはその日付です。2023年2月22日。つい最近です。それまでは何もしていなかったことを物語っています。

 

2021年の第五波の頃には致死率が下がったことにマスコミも気がつき、「感染者ばかりではなく、重症者、死者の分析が必要だ」というところも出ていました。第六波の後の2022年夏には愛知県知事は「コロナ死者の大半は偽コロナ死者だ」と言っていたのに、肝心の委員会は何も死者の分析は行わず、そろそろ終息期だという頃にようやくこの発言をしているのです。2年前にやるべきことでした。この発言の後、4月に委員会の科学的報告書をまとめているのですが、それには委員会としてまとめた死者のデータは下記の私の記事のように1枚もなかったのです。致死率のデータも、死因分析も何もありませんでした。尾身会長の言っている年齢別の分布すらもないのです。2月の発言から2ヶ月あったのに、死者のデータ1枚もまとめなかったのです。結局、言うだけで最後まで何もやっていないのです。主力メンバーの西浦氏はこの論文集に何も寄稿していません。結局、この委員会は感染者ばかりを追いかけて、毒性の変化を全く調べずに正常化のタイミングを出せなかった(出さなかった)のです。何とか正常化したい政府との軋轢が生じたのですが、政府は表だって何も言えないのに、自分だけ正当化のためにこんな言いたい放題の本を出したのです。委員会を抑えきれなかった政府もだらしないし、強い信念も持っていなかったのです。本来なら政府が委員会を罷免すべきでした。

【1628】コロナ私見#579(専門家報告書は無為無策犯罪の証拠) | 住田正彦のブログ(団塊世代の思うこと) (ameblo.jp)

 

西浦氏は第八波が収束したころにようやく「死者を調べろ」といい、しかし結局は何もしていないのです。私の簡単な計算でも第五波からは重症化率、致死率は激減しているのですが、委員会は何もデータは集計していないのです。毒性を判定して正常化しようという考えは最初からなかったのです。委員会の最大の使命を怠っていたのです。確信犯だと思います。医者が死者の重要性を知らない筈がありません。

 

 

 

2021.10の一部のマスコミ記事です。5類への変更を反省を込めて言っています。