今の高校1年生から、学習指導要領が新しくなっている、いわゆる、新課程となっています。


この世代が大学入試を迎える時、どうなるのか。大学入試センターが「試作問題」を発表しました。日経新聞でも記事が組まれ、目玉とされている新科目「情報1」は問題そのものまで掲載されました。





施策問題の詳細な解説は河合塾サイトにアップされています。





今回の変化ですが、すっごく簡単に言うとこんなかんじです。

・「情報1」が加わり、標準的な国立大学は5教科7科目から6教科8科目に。標準的な配点をするとこれまでの900点満点から1000点満点になる。

・前回の入試改革時は撤回された国語の「実用文」が復活(国語は大問5問となり、時間は10分延長)

・日本史、世界史の選択者は大問一問だけ、近現代の日本史・世界史ミックス問題である「歴史総合」を解く必要がある。

・文系で数学ⅡB(新課程からはⅡBC)は「統計的推測」という統計学入門的大問を解く必要がある。

・理系は数ⅡBCで「複素数平面」や「二次曲線」を共通テストでも解く必要がある


という感じです。

前回の入試改革では、4技能や記述式が東大のハシゴ外しや世論の反発もあり頓挫しましたが、今回は、東大も情報を必須にしたので、ひっくり返ることはないでしょう。


さて、こういうテストの変更の場合、「出題者側の意図」と「実際に起こりそうなこと」は別だったりするので分けて考える必要があります。順に行きましょう。


〈出題者側の意図〉

これはもうひとことで言って、「知的に高度な話を問う前に、今のビジネス環境で持ってないと困る力をまず聞こう」と言う言葉に尽きるんじゃないかと思います。


今回の「情報1」も単にプログラミング系の話だけじゃなく、統計学的な話が出てきますし、文系数学に「統計的な推測」が実質必須になっていることからかなり強くでています。この流れは、以前の指導要領改訂の際に数学1にデータの分析が入ったとき以来の流れともいえます。


この統計学的な分野というのは、大学受験の世界ではちょっと厄介で、簡単に言うと、「ひねった問題が作りにくい」。ゆえに、アカデミックな世界や受験屋からは嫌われがちな分野で、だからこそ今まで受験では重視されてきませんでした。


しかし、一方で、大学入学以後や社会に出た後だと非常に使う頻度の高い、使えると武器になる学問でもあります。(し、その重要性はデータの時代と言われる昨今、ますます高まっています)


大学入試センターでは、「テストとしての面白味とか関係ねーから、生きるために必要なものを聞くんだ」と言う意志を感じます。


似たようなことが、国語の実用文にもいえます。旧来の現代文の配点が減り、実用文が入るあたりも、「抽象度の高い思考以前に、社会に出だ時に、相手のプレゼンの内容を正しく理解して議論できるようになれ」という極めて実践的な観点を大事にしているように見えます。


思えば、前回の入試改革の際に、英語は語数は伸びましたが、内容はむしろ抽象度が下がり、日常的な題材が増えたあたりも、近い意図を感じますし、今回も日本史選択者に「世界の最近のことくらい知っとけよ」と言ってる気もします(背景として、世界史選択者より日本史選択者の方がはるかに多いため)。


ある意味、その意図をみれば、非常に理に適った変更と見ることができそうです。


〈実際に起こりそうなこと〉

①やることは増えるが、「やればできる問題」の割合も増える。


今回の情報1は分析によると、「慣れてないと時間が厳しそう」と言うものでした。一方、科目としての必要知識はさほど多い問題ではないため、しっかり対策し、しっかり問題文を読めば、ちゃんと得点になりそうな問題です。


国語についても、「人による合う合わない」で得点が乱高下しやすい現代文の配点が減り、日常性の高い実用文大問が加わることで、国語という科目全体の得点の不確実性が下がる形になります。


なので、「やれば計算が立つ問題」以前より増えそうです。


ただ、これは裏返すとやらなければならないことは増えるということを意味します。その意味、これまで以上に、高校入学以降、日頃からコツコツ勉強をすることは大事になるでしょう。


②私大専願者と国公立・難関大志望者の分化が進む


実は共通テストの登場以降既にこの流れは始まっています。共通テストが独特の問題を出す一方、多くの私立大学は大学自前の作問力の限界から、あまり「共通テスト風の問題」を独自試験でつくってきていません。結果、私大専願者からみた、共通テストを受ける必然性はどんどん下がってきています。


一方で、私立大学自体は、優秀な生徒を獲得し、大学でちゃんと学び、いい就職をしてもらわないとブランディングに関わります。ゆえに、共通テスト利用方式などの形で国立志願者を併願させる策は続けていくでしょう。


そして、今回、共通テストの「独自性」と「負担感」はより高くなりました。おそらく今の流れは加速していくことになるのではないでしょうか。


こうなってくると、高校の進路指導の基本路線が、国立大・難関大思考か、私大思考か、というところは、中学入試、高校入試の時点で、我々保護者も注意しておかなければならない点になるかもしれません。