講談社の少年クラブは戦前の少年倶楽部の前身でもあり、講談社としても老舗の看板雑誌なだけに、何としても休刊だけは避けたかった。
だが、桑田先生と楠先生の月光仮面の交代劇を境に、現実的には少年クラブの売れ行きがみるみる右下がりになっていったのである。
そして外部の評価としては、古本業界も一緒だった。
桑田版の月光仮面掲載号の少年クラブなら安くても一冊3万円、新連載開始号の昭和33年5月号なら…僕自身は5万円でも安い!と言い切ってしまう。
それに対して楠版の月光仮面掲載号だと2万円の値段を付けた時点で、誰も見向きをしなくなる金額になる。
これで面白いのが…もしも15000円なら古書漫画マニアの誰かが買うレベル、1万円ならショーケースに並んだ瞬間に売り切れになるレベルだろうか?
そしてこの1万円で購入した人間の多くは
投機
が目的のケースが多い。そう考えると古本業界とパチンコ中古業界は非常に酷似した世界とも言える。
だから店主としては2万円で売れるまで我慢するか、妥協して目の前の15000円を拾いに行くか?
どちらの商法が正しいとは言えないが、間違いなく言えるのは少年クラブだからと言って何でも一律3万円に値段設定するのは
ただのバカ
である。もちろんそんなバカな店主は当時もほとんどいなかったのだが、たまに希に安いケースで古書漫画を入手した古書店は必ずと言って良いほど
勘違いな値段設定
をしていた。このケースでよくあるのは、年配のコレクターがお亡くなりになり遺族が近所の古本店に処分するケースである。
古本店としては宝の山をタダ同然で手に入れたこともあり、そこで更にもう一枚
取らぬ狸の皮算用
をして失敗をするのである。
この場合は古書市場に流し、最終的には賢いまんだらけのような漫画古書専門店に安い値段で買われてしまうのである。
そして客である各漫画マニアたちもまるで
結託するように
その本を購入することはなかった。その点だけが古本業界とパチンコ業界の違いだろうか?
漫画マニアは確かに自分の欲しい本に対しては、金に糸目を付けないのだが、必要以上の金額にはまるで談合のように手を出すことはなかったのである。
いかん、桑田先生のことを話しているはずがいつの間にピントがズレた話になっていた。
脱線したので次で話を元に戻す。
つづく