
石森先生の場合、サイボーグ009以前は代表作と呼べるのが怪傑ハリマオしかなく、その怪傑ハリマオも山田克己先生が原作のため、オリジナルのヒット作が石森先生には当時まだなく、古書としての価値はなかった。
言葉は大変悪いのだが、人気という言葉を絡めて言うと…
藤子先生より更に人気のない作家だった。

ゲゲゲの鬼太郎でお馴染みの武良先生の場合は、昭和30年代の主戦場は貸本漫画だった。
しかも、戦記モノも多かった。
古書としての価値は相対的にあったのだが、買い手であるファンは
値段がそこまでするのなら…
と売り手と買い手がまるで一致しない稀有な作家だった。
先生の死後ようやく古書価値に対してマニアも納得をしたのか、先日まんだらけを覗いたら
悪魔くん(貸本漫画単行本)全3巻に40万の値段が付いていたのにはブッたまげた。
30年前は6万の本が10万になって長年売れなかった本のはずなのに…
時の流れはホント恐ろしい…

まもなくデビューするルパン三世の生みの親モンキー・パンチ先生は実は
双子
であり、モンキー・パンチのペンネームとは当初二人を指していた。
だが…いや、何でもない(意味深)。
ルパン三世が誕生したのは昭和40年代の漫画アクションであり、加藤(モンキー・パンチ)先生の場合、昭和30年代の児童には
誰それ?
扱いだった。それは加藤先生の主戦場が貸本漫画だったことも関係するのだが、懐古漫画にかなり詳しいと自負する僕でも、では貸本漫画の代表作とは?が、直ぐに思い付かないのである。
当時の貸本漫画で有名なのは、ゴルゴ13でお馴染みのさいとう・たかを先生と武良先生くらいで、それ以外は出版社にとって
枯れ木も山の賑わい
の扱いにされていたのである。
そんなわけで古書価値の観点で見た人気作家とは…
昭和35年以前に既にオリジナル作品を誕生させており、同時にそれがヒット作だった、になるだろうか?
前触れがずいぶんと長くなったが、この背景を踏まえてこれから幻の天才漫画家桑田次郎先生についていよいよ語ってみたい。
つづく