それは彼にとっては大義だろうが、それに関心のない人間にとっては彼が
暑苦しい人間か変質者
以外の何者でもなかった。そして僕もまた彼と同類の人間…
彼の意義に賛同したのではない…あくまでも僕が尊敬する川内康範先生の作品を一冊の本にして下さるという行為を評価しての協力だった。
こうして僕は少年クラブ昭和33年3月号をGさんに貸した。
だが、話はこれで終わりではなかった。
しばらくしてから貸したはずの本を今度は売って欲しいとGさんは言い出したのである。
冗談じゃない、もうそんな話なら僕の本を返してくれと僕は言った。
そして後日僕らは名古屋で再び会い、帰って来たのは…
ボロボロになった少年クラブ昭和33年3月号だった。
どうしてこんなことに…一体何があった!
そこで聞いた事情が前述した内容だった。
本を貸したらこうなることを知らなかった無知の僕が悪かったのか?
僕に本を貸したらこうなることを言わなかったのがGさんが悪かったのか?
これは僕の中で答えを知りたい永遠の謎である。
おそらくだが貸した本がボロボロになるのを僕が知っていたら僕はGさんに本を貸さなかっただろう…
しかも製本をしたのか?いうと製本もしなかったのである。
最初はGさんも製本するつもりでいたのだが、以前とは違い一人で数百万円の印刷代を用意出来なかったため、印刷の途中で中止という頓挫だった。
その犠牲になった本の中に僕の本もあったのだった…
そのお詫びとしてGさんが僕に渡したのが
『月光仮面0巻』のコピー本だった。
表紙はカラーコピーで、月光仮面1巻と見比べても本物に見えるほどのレプリカだった。
これが彼の作りたかった本なのだろう…
コピー本としては見事な本だった。
だが、僕が望んだ結果とはまるで違っていた。
僕が漫画マニアになっている間で、大人から理不尽な目に遭ったのはこれが生まれて初めてだった。
しかし、不思議なことに僕はGさんに対して、本を貸したことを後悔するも怒りはそれほど湧かなかった。
それほど当時の僕はマニア寄りの考えだったのだろう。
いつかこのブログで語った正義は人の数だけ…は、僕の中ではこのエピソードも含んでいた。
端から理不尽に見えても当人にとっては正義である!
この歪んだ正義を僕が持っていることを、僕自身は自覚しているつもりだ。
だから僕は自分の是を問いかけ、パチンコ業界における自分の生きる道を今日も探し続けている。
※当時の出来事は全てノンフィクションです。
不屈座