僕は自分が30年前に体験した自費出版に関する苦いエピソードを思い出した。
他にも本は1枚の巨大印刷紙で最高8ページ分が作られる。
もしも印刷をする場合、この印刷紙を何枚使うか?によっても印刷料金が大きく変わる。
これは極端な話だが、8ページの印刷物と9ページの印刷物では、たったの1ページの違いなのに、印刷料金としては数万円の違いになってしまう。
それもこれも8ページ分目を印刷するなら巨大印刷紙は1枚で済むのだが、9ページ目を印刷しようと思ったら巨大印刷紙が2枚必要になってしまうからだ。
そしてこの巨大印刷紙の1枚の単価がかなり高いのである。
だからこのケースの場合は、16ページ分の本を作っても9ページ分の本と値段はさほど変わらないので、本を作るのなら16ページ分、すなわち8の倍数で作るのが正解である。
だから50ページの本の場合は、巨大印刷紙が7枚必要で、これが48ページなら6枚で済む。
だが、僕は本の見た目を重視してここで
64ページ
で、印刷の見積もりをしてしまう。
48ページは確かにコストは安いが、48ページを手にした時の重みと64ページの重みは全く違うのである。
そういう紙事情に詳しいつもりの僕は、これが理由で64ページの『CRフィーバークィーンZERO』の見積もりを頼んだ。
次の難関は金額設定だった。
あくまでも僕の主観としてはパチンコ玉100玉(400円相当)か、ワンコイン(500円)のどちらかで販売したいと今でも思っている。
実は今だから言うが、もしもD出版社から僕の本が販売された場合、定価は1000円の本になるはずだった。
これはD社の謎本シリーズの定価が1000円と関係があった。
僕は本の料金は著作者の意向により、ある程度は自由なモノとばかり思っていたが、実際は出版社が主導権を握っており、赤字にならない金額設定をしていたのである。
しかし僕としてはパチンコ本で、1000円はいくら何でも高過ぎる!ないわ!そんなの一体誰が買うんだよ。こんなに高いといくら内容が素晴らしくても買われないよ…
その考えが根底にあって、ついワンコイン(500円)の考えが頭を過ったのである。
つづく
※この日の出来事は全てノンフィクションです。
不屈座