N部長の注文とはクィーンの画像使用についてだっだ。
カタログ形式となると文章だけでなく、絵も大事だとおっしゃった。
つまり、SANKYOの公認となる(C)SANKYO付きでなら…OKだっだ。
うっ、メーカー監修の本ってことか…
僕がこれまでSANKYOノータッチで制作に拘ったのは、
業界人なんだから、どうせメーカーに協力してもらって作った本でしょ
と、ある関係者に思われることだった。
だが、その人間は僕がメディア時代から自分で出来る部分は自分でキチンと仕事をこなし、あくまでも足りない部分をメーカーがサポートしてくれていたことを全く知らない。
だからこそ僕は今回も、業界の力を一切借りずに本を出版することに拘ってきた。
それを見越して著作権問題が発生しないジャンルこそが謎本だった。
だが、僕のそんな独りよがりの時間の終わりが、スポンサーの出現だった。
スポンサーを名乗り頂いたのなら、それは第三者に僕のクィーン本が認められたことになるじゃないか…
僕は自分にそう言い聞かせ、「分かりましたSANKYO公認の自費出版スタイルにします」と返事をした。
自費出版かぁ…
自費出版はそれこそ自己満足に過ぎないから、最後の最後にすべきか…と考えていた行為だった。
だが、自分で資金を出す必要がないのなら、それはただの趣味本とは違う…
端から見たらどちらが金を出しても一緒の自己満足本じゃないか!と思うだろう。
だが、第三者が認めてくれた!というのが、僕の中のちっぽけな矜持だった。
こうしてN部長との打ち合わせは
F社の商業出版本or自費出版本
のどちらかを僕が用意することでイベントが実現化することが正式に決まった。
逆に言えばどちらも僕が用意出来なければイベントは中止にして下さい…と僕の方から述べた。
他に細かい取り決めとして…『SANKYOから画像使用許可をもらうまでは、パワーホールグループの実名を挙げない』もあった。
あくまでもこのプロジェクトは、N部長と僕との間の取り決めであって、パワーホールグループとしての契約とは違うからだ。
ちなみにパワーホールグループはラジオのスポンサーにもなっているのだが、N部長はそれを僕に一言も言わなかった。
そして僕も本の発行が実現した暁には、放送作家の友人の協力によりラジオで紹介されることをN部長にも詳しく話さなかった。
つづく
※この日の出来事は全てノンフィクションです。
不屈座