夕方の6時を越えているのに店内にいる人の数はまばらだった。
普段ならこれからがホールのかき入れ時だが、店内としては寂しい風景だった。
後に気付くのだが、この日は閉店が9時のため、この時点でお客さんが増えていく方が奇跡レベルなのである。
だが、その時は寝不足がマヒしていてそこまで考えが回らず
やっぱり新規の来客がほとんどないのか…
なんて見当違いの考えをしていたほどだった。
僕が一般パチンコユーザーで、もしも昨日負けていたら今日はリベンジだといって今日も来たに違いない。だが、僕の考えはおかしいか古いかのどちらかなのだろう。
一般的には元日のこの日は一家の大黒柱が家を留守するのは家庭崩壊を意味するのだろう。
だから今日はこれで良いのかもしれない…
実際には見当違いなのに、当時の僕は、そう善意に解釈して店内を見回していた。
客は昨日の一番少ない時期よりも更に少ない稼働率だった。
シマ単位で見るとゼロはなかったモノの、一人だけのシマを見ただけに何とも悲しい気持ちになった。
これこそが夢の跡と言うのだろうか。
データランプを見るとやはり普段見ることのない大当り回数がそこに刻まれていた。
それに対してハマり回数は少ない方だった。
店内をくまなく見ると、数時間前に2機種だけ2000ハマりを目撃したが、どちらもその後は大当りしてその数字は消えていた。
さて、MAXタイプはゴッドを打ったし、残った出玉で何を打とうか?
MAXタイプなら牙狼かな?と考えながら打つ意欲は全くなかった。
牙狼を打つには余りにも資金不足だからだ。
だからね~とMAXタイプのシマを回っていたらキャプテン翼のハマり回転数に目が止まった。
大当りが42で1618回転か(苦笑)。
あれ?もしかしたらこの数字って、店内のハマりNo.1機種じゃないのか?
そう思い再び店内を確認していくと…
やっぱりキャプテン翼がハマりNo.1だった。
沖縄海の失敗をキャプテン翼でリベンジすべきか…
ゴッドの潜伏狙いに失敗したんだぜ、キャプテン翼なんか打ったら更に傷口を広げるだけだぜ。
脳内の冷静な僕が僕に囁く。うん、僕もそう思う。
だけど…
沖縄海でリベンジするなら今しかないのでは?と考えてしまった。
キャプテン翼の大当りはもう側まで来ているはず…
それは完全にオカルトだった。
様々な考えがよぎったが、考えを整理すると
万発に届くラストチャンスはこの台になるのでは?
だった。もちろん単発ならダメだが、2連するだけで万発に届きダメでも最後に甘デジに移れば実現も可能ではないか!
こうして僕は脳内お花畑の思考でキャプテン翼にチャレンジを始めた。