梶原先生と、ちば先生は、あしたのジョーの作品において、以後3度目の衝突はもう、なかった。
ただし、前述したが、有名なラストは、ちば先生が電話で梶原先生に
ラストは変えますよ
と断りを入れ、梶原先生も了承している。
この辺りの話も詳細に語ると…
梶原先生から伝えられたラストの内容は
ジョーはホセ・メンドーサに判定で敗れ、段平が労いの言葉
お前は試合では負けたが、ケンカには勝ったんだ
と言う。そして
ラストシーンは白木邸で静かに余生を送るジョーと、それを見守る葉子の姿
だった。
※この幻のラストシーンは後年、ちば先生の絵で色紙に描かれ、その絵はTVにて紹介されている。
これを、ちば先生は
ここまでやってきて、ケンカに勝ったは、おかしいのではないのか
と、考えて電話で、ラストを変えますよ
に至るのである。
その後、ちば先生が新連載同様、最終回も担当し、アシスタントと共に
20通りのアイデア
を出すも、全てが、ちば先生の納得のできる内容ではなかった。
締め切り時間が迫る中、ちば先生が悩んでいた時に、本編を最初から読み返していた担当編集者が
ジョーが紀子に
ほんの瞬間にせよ、まぶしいほどまっ赤に燃えあがるんだ。そしてあとにはまっ白な灰だけが残る。燃えかすなんか残りやしない。まっ白な灰だけだ
と、語る名シーン(京楽版のジョーでは、チャンス目からの全回転リーチとして採用)を発見し
これこそが、あしたのジョーのテーマではないか!
と、ちば先生にそのシーンを見せる。
ちば先生も、この意見に同意し、このイメージで、あの有名なラストシーンを描き上げたのだった。
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