梶原先生と、ちば先生が衝突する2回目は、力石徹が死ぬエピソードに関わることだった。
これは、意外と多くの人がご存知かもしれないが、改めて知られていない部分もあり、それも含めて触れると…
梶原先生の原稿は、あるキャラクターのが初登場の場合
詳細を書かない特徴があった。
なぜ、そうなのかは簡単で、先生は一作品において
100人以上
は、ザラにキャラクターたちが登場するからだ。
当時、梶原先生は、そのキャラクターに一人一人特徴を書く時間がなかったのかもしれない。
この特徴は、後年の空手バカ一代でも確認しており、相手が主人公より大きいキャラクターの場合
デカイ
の一言で終わらせる場合もあったのだ。
なので、力石の初登場シーンで梶原先生は
力石の身体的特徴を、原稿に書いていなかった可能性が非常に高い。
そして前述したが、ちば先生はボクシングに関しては素人である。
この梶原先生の想像部分が、ちば先生にキチンと伝わっていなかったのが、全ての始まりであり、同時に減量を要するエピソードにも繋がるのである。今風に言えば
ケガの巧妙
と言うのかもしれないが…
当時はそれどころではなかった。
梶原先生の原稿を自分なりに解釈したちば先生は
力石の身長を、ジョーよりも頭一つ分高く描いてしまう。
その号の少年マガジンを見た梶原先生は…
この身長差だと、二人が同じ階級で戦えないことにいち早く気付く。
そして…話の辻褄を合わせるために
これで死ななきゃ嘘だ、と思わせるほど、人間の限界以上の過度の減量を力石に、させなければならなくなった
のである。
そして…最終的に力石をどう扱うかで、梶原先生とちば先生は意見が真っ二つに分かれた。
梶原先生は力石を殺したいに対し、ちば先生は、生かしておきたいだった。
この時の二人の口論は、新宿のバーで行われたのだが…
あしたのジョーを知らなかったバーテンダーは、梶原先生の
力石は絶対殺す!
を聞いて警察に通報したエピソードがあるほどだ。
それほど激昂した口論も最終的には、担当編集者が、ちば先生を説得し
力石は試合後に死ぬ
という、私たちが知っている方向に落ち着いたのだった。
~明日に続く~