あしたのジョーの新連載まもなく訪れたトラブル…
それは梶原先生の原作に対し
物語の導入部分から全く違う
のである。
そう、私たちが知っている泪橋からフラッとジョーが初登場するシーンは
ちば先生の創作アイデア
だったのだ。
ついでに言うと
サチを始めとする、ちびっこや紀子も、ちば先生が考案したキャラクターである。
ちば先生がこんな始まりをしたのは
梶原先生の原稿では、話の導入部分が分かりづらい
だった。
そのため、ちば先生は梶原先生の原稿を全てボツにして、自ら新たに第1話のストーリーを作り上げたのだった。
梶原先生は、ちば先生に対して
好きに手を加えてくれ
という最大限の賛辞を言ったものの、さすがにこれには激怒し、あしたのジョーの原作降板騒動(事実上の連載終了)にまで発展した。
この騒動は、講談社の編集者が仲裁役として、夜の酒場で、話し合いが行われた。
そこで、初めて、ちば先生は、ジョーの導入部分について梶原先生に説明をした。
簡単に言うと、梶原先生の原作はボクシングの練習シーンから始まっており、ボクシングを多少なりとも理解しているキャラクターである。
これに対し、ちば先生は
新鮮な素晴らしい材料を揃えてもらうのが原作、その原作を料理して美味しく食べやすく味付けをするのが僕の仕事
と言い、ジョーの魅力を見い出すスタートを意識したため、導入部分から自分の手を加えたのだった。
ちば先生は、ご自分のスタンスや作法を梶原先生に伝えたが…
このちば先生の手心は、僕の原作者視点で語ると
やるなら一言断りを入れて
の連絡が欲しかった、になる。
梶原先生は、ちば先生の説明を聞いて納得はしたものの、次の衝突は、この衝突以上のエキサイティングな展開となる。それは…
力石を殺すか否か
だった。
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