『あの、テミン君は?』
Key『あ、まだ寝てるのかも。
そこの部屋なんで起こしてもらっていいですか?』
まだ他のメンバーは食事をしていたり
着替えや身支度を整えるので忙しそうだった。
Keyの指差した部屋はリビングに面していて
ノックをしてみても何の反応もなく、仕方なく中に入った。
『失礼します…』
中に入ると若い子の部屋にしては殺風景で
大きなテレビとベッド、机にはノートパソコンが置いてある。
脱いだままの服が床に落ちていて
踏まないようにベッドに近づくと、やっぱり彼は寝ていた。
小さく寝息を立てている。
閉められていないカーテンから差し込む光が
彼の綺麗な栗色の髪の毛をキラキラと光らせる。
至近距離で見なくてもまつげが長いのが分かる。
綺麗な寝顔に吸い込まれそうになった。
それに…
この匂いが頭の中をいっぱいにしてクラクラする。
(バニラの香り…?)
お香か何かを焚いているのかと思い、まわりを見渡した瞬間
急に腕を引っ張られてベッドに倒れこんだ。
「きゃっ!!」
ベッドに落ちた衝撃とは別に何かにぶつかった。
というよりかは…抱きしめられてる?
少し頭を上げると何とテミン君に抱きしめられている。
…しかも後ろから。
抜け出そうとしても力の入った腕からは抜け出せない。
細くて頼りなさそうな腕なのに、やっぱり男の子の力だ。
「どうしよ…」
あの綺麗な顔が自分の顔のすぐ後ろにあって
そわそわして何だか落ち着かない。
心臓が耳のそばで鳴っているかのようだ。
テミン『何をどうするの…?』
『えっ!?』
急に耳元でテミン君の声がしたので驚いて振り返ると
まだ眠たそうに目をうっすらと開けコッチを見ている。
テミン『…もお朝?』
『そっ、そう…朝、ですっ』
彼の吐息が耳にかかり
自分の耳が赤くなっているのが分かる。
テミン『やっぱりあの時の人だよね?』
がっちりと掴んでいた腕の力を少し抜いて
体を少し起こしあたしの顔を覗き込んだ。
テミン『月…』
『…え?』
テミン『あの日の月…覚えてる?』
彼はハッキリとそう言った。