脚本とは、人の人生を描くことである | 壽倉雅オフィシャルブログ「ただ、紡ぐ。」

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脚本家・壽倉雅(すくら・みやび)のオフィシャルブログです。日常の出来事を中心に発信していきます。

脚本家・壽倉雅(すくら・みやび)でございます。

 

これまで、仕事でも創作活動でも、私は様々な作品を書いてきました。

数々の物語を紡ぐ、それはつまり、その作品に出てくる登場人物の人生を描いてきたということです。

 

 

その作品の中に存在するキャラクターは、架空とはいえ、それぞれの人生というものがあります。

倉本聰氏も、登場人物の履歴書を作ることで、登場人物を掘り下げていらっしゃいます。

 

様々な人格や価値観、性別、年齢がある中で、キャラクターの人生を創り上げ、描くということは、実は小説や脚本や漫画といった創作活動をする人の特権なのではないかとも思います。

 

先日、創作活動ではありますが、歴史ものを書ききりました。主人公は、徳川三代将軍家光の側室・お万の方。

十六歳で大奥に上がり、八十八歳という長寿を全うされた実在の人物です。

大奥が元々好きな私は、大奥に関する雑誌や書籍を持っていたので、今回の作品を描くのにあたって、資料を読み漁りました。しかしここが、歴史上の人物の不思議なところで、何歳で何をしたかという具体的な出来事の記載がありません。

例えば、お万の方は『明暦の大火の際に、小石川無量院に避難したことから、この頃までは大奥にいたことは確か』『家光の死後、落飾はせずに名前を「お梅の局」と改めて大奥の最高権力者になった』と記載はありますが、実際に最高権力者となった後の記録は残っていませんし、明暦の大火の後のお万の方の動向は不明です。

八十八歳まで生きてきた一人の女性の半生を描こうと思っているのに、人生の後半部分の明確な資料が一切残っていません。そこで私は考えました。

 

「創作してしまえば良いのだ」

 

お万の方の人物を掘り下げたとき、大奥のためにずっと尽くしたいと思っていたのではないかと思った私は、何故お万の方の資料や説がないのだと疑問に抱きながら、お万の方の八十八年の人生を描くことにしたのです。

 

 

歴史上の出来事や歴史上の人物を主人公に描いた既存作品は、いくらでもあります。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗……これらの人物を主人公にした作品、一体いくつあるでしょうか。

忠臣蔵、大奥、関ケ原の戦い、大坂夏の陣、桜田門外の変……これらの出来事を描いた作品、一体いくつあるでしょうか。

 

以前noteにも、時代劇はフィクションの塊として、更新したことがあります。

 

時代劇というのは、究極のフィクションです。その歴史的な出来事を見ている人間は、現在誰もいません。なので、それをどんなふうに描いて、どんなセリフや、どんな登場人物を出すのか、それは書く作家本人が自分だけの世界観を作ってしまえば良いのです。

 

お万の方の人生を描く中で、物語に登場する他の登場人物もたくさん作りました。その中には、お万の方よりも先にこの世を去るキャラクターもたくさんいました。そのキャラクターたちの死ぬシーンも、画一にならないように考えました。斬られて死ぬ、病気で死ぬ、突然死、火事の中で死んでいく、ナレーションで亡くなったことを説明する、あえて語らない……様々な人生のラストシーンを描きました。

 

今回はあくまで歴史ものでしたが、普段書いている作品だって、それぞれのキャラクターがあり、それぞれの人生があります。その中には自分の考えや価値観を登場人物を通して訴えたり、問いかけたりすることもあります。つまり、作品上で伝えたいテーマのことですね。

 

現在でも、私は仕事や創作で、複数の作品を同時に執筆しています。書きたいものがたくさんあり、もっとキャラクターの人生を描いていきたいと思います。

 

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