くまのお母さん
ある日曜日のこと。
居間で新聞を読んでいた母が言った。
母「ねえこれ見て」
私「えっなあに」
母「この動物写真集630円で安いよ。一つ買おうかしら。」
私「お母さんちょっと貸してね。」
よく見るとその写真集は6,300円
母はちょっと目が弱いんです。
私「お母さんこれ、6,300円だよ。写真集って普通高いよね」
母は愛用のルーペを取り出した。
ルーペは私が母にプレゼントしたもの。カメラマンさん用のいいルーペです。
母が愛用してくれて私うれしい。
母「本当。6,300円ねやっぱり高いね」
母はさらに写真集の広告を見ていた。
母は動物も植物も生きたものが大好きだから........
突然母が言った。
母「これだめだわ」
私「えっ、どうして?」
母「クマのお母さん怒ってるよ」
私「もう一度見せて」
新聞の広告を見なおした私はやっと気がついた。
その写真はクマのお母さんと、その子供。
クマのお母さんはカメラマンを威嚇している。
「たとえ命をかけても母親は、自分の子供を守る。」
私が母に教わった、とっても大事な、全ての動物のお母さんの生き方。
クマのお母さんはカメラマンに変な機械(おそらく長い望遠付の一眼レフ)を向けられて
とっさに子供を守ろうとしたんだろう。
母親ってすごいよね。
それにしても一目で見抜くわが母はすごい。
母は私にもわからない不思議な力を持っている。
母の回りの動物はみんな母になつく。
そういえば母と一緒に知床に行った時、私は始めて野生のくまを見た。
そのくまは知床大橋の下の川で、悠々と鮭を獲って食べていた。
何度も北海道に行っている私が見たことないのに。母は始めての知床でくまと出会う。
きっと母の不思議な力が、くまさんを呼び出したのかもしれない。
わたしまだまだ未熟だって実感したね。
私も母の血を引いた娘。いつか母のようになれるのだろうか.....
それにしてもこのカメラマンさん失格ですね。
被写体の心が読めなかったらだめだよ。
母ぐまと小ぐまで可愛いって考えたと思うけど。
くまのお母さんが命がけで子供を守っていたんだからね。
写真はハマナスです。
これは礼文に咲いたお花だけど
知床にも咲きますよ
神様の芸術⑤ 涙でできた湖
神様の芸術シリーズ第5弾は
「涙でできた湖」
日本最北の「久種湖」のお話。
久種湖は礼文島北部にある湖です。
ここにはアイヌの伝説があります。
悲しい話なので、ちゃんとハンカチ用意してね。
メイク流れるからね、人前で読まないほうがいいと思うよ。
「昔、海に面した小さな湖に、イコツポとヌプリという働き者のふたりの若者が住んでいた。
ふたりは仲良く漁をして暮らしていたが、いつしかともにコタン(村)の酋長オテナの娘エリアに恋心を抱きはじめ
る。
酋長オテナが、漁の多いイコツポに好意を示したこともあって、やがてふたりの間には冷たい風が吹きはじめる。
美しいエリアをめぐる対立は、漁場争いも重なって、ついには海岸での決闘に発展してしまう。
エリアも勝ったほうにすべてを許すと約束したため、ふたりは武器をもって砂浜で決着をつけることに……。
激しい闘いのすえに敗れたのは、イコツポだった。
「エリア、愛してくれ」とイコツポが言い遺して果てたとき、突然大暴風が起こって、漁場はたちまち砂に埋もれてし
まう。
漁場を失い、大切な友を喪った悲しみに気づいたヌプリもまた、その場に倒れた。
ただひとり残されたエリアは、悲嘆のあまり喉を突き、ふたりのあとを追った。
三人が折り重なって死んだ場所に、
やがて久種湖ができたといわれる。
アイヌの伝説から


