日本の歴史の中、国のTOPに立った人物が政治の世界でヒトラーなんて言葉を出した時点で突っ込まれるのは当然なわけで、「何をやってるんだローゼン閣下」とお怒りの方々も多い、麻生太郎副総理&財務相&金融相ですが、「誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい」と発言をなかったことにされたとか。
撤回された発言は主に以下の部分ではないかと思われます。
■アソラー総統
「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。 」
1919年、ドイツでの民主的自由の象徴であるワイマール憲法制定から、ナチスによる国民扇動と情報コントロールによるヒトラーという独裁者の誕生までの流れを、「あの手口学んだらどうかね?」とアソラー総統が日本政府に指導をされた、となんだか世界中は思い込んでいるようですが、これ違いますよね?
良し悪しは置いておき、発言の全文を読むと理解できると思いますが、靖国問題について、事を荒立て周辺諸国を刺激しながら参拝を行うのではなく、日本の左系のマスコミが騒がないように考慮しながら、気持ちを込めて参拝を行えば良いのだという話をする中での発言だったようです。これにも、中韓は「許さぬ・・・」とか怒ってそうですが。
■アソラー総統
「お国のために命を投げ出してくれた人に対して、敬意と感謝の念を払わない方がおかしい。静かに、きちっとお参りすればいい。」
しかしながら、世界で注目が集まっているのはナチス的な話題。
■AFP
"The German Weimar constitution changed, without being noticed, to the Nazi German constitution. Why don't we learn from their tactics?"
■WSJ
"Germany’s Weimar Constitution was changed before anyone noticed. It was changed before anyone was aware. Why don’t we learn from that technique,"
せめて、麻生発言の「手口(日本的には悪いイメージの言葉)」の部分を"method"「方法」ぐらいにしてくれればまだ救われるわけですが、実際には、"tactics"「戦術」などと報道されていたりと、いかにもナチに傾倒しているというイメージ操作がされているような雰囲気もあったりと、流れは麻生さんの思いとは別の方向へ。
この辺りの文脈は原文を少し読む努力をすれば理解できる範囲なのですが、その内容を見たくない、もしくは都合の良い解釈をしたい人は、アソラー総統は日本政府にナチの戦術を取り入れ世界を戦禍に~!とか思い込んでしまうわけです。
外国の人は全文を読む機会もなく。翻訳された一部の文章を単純に信じてしまうのでよりヒートアップしてしまったのでしょう。これは、麻生さんの言葉選びが失敗した面もあるわけですから、仕方のない面もありますが。
公式発言でナチス関連をわざわざ引用してしまうのが、なんというか「バカ・・・」と普通の人が思ってしまうお話なのです。他の内容では不景気しか知らない若い世代とバブル世代の比較話とか、悪くはないのですけどね。
以下に発言の全文が掲載されています。
http://www.asahi.com/politics/update/0801/TKY201307310772.html
個人的に他にも内容に突っ込みたくなる部分はあるのですが、なんだか妙な流れの報道になっていたので書いてみました。
と、書いていた途中ですが、大阪市長の橋下さんも参戦したようです。
■橋下市長
「憲法改正論議を心してやらなければいけないというのが趣旨だったのではないか」
「ナチスドイツを正当化した発言では決してない。国語力があれば、すぐ分かる」
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=201308010041
なんだか気が合いますね、私と。
しかしね、世界でも有名になられたばかりの橋下さんが言っちゃうと、これまた世界が大騒ぎしそうで、心配なわけです。もうね、こんな感じになると思うのです。
「ナチス信奉者の麻生副総理が慰安婦侮辱発言の橋下大阪市長に支援される」
こんな感じの流れを作りたい国とか人がいますからね。麻生さんも言ってますが、憲法に限らず「喧噪のなか」ってのはろくなことが起こりませんから、冷静にいきましょうよ。
何かが「だれも気づかないで変わった。」ってのはちょっと怖いけど
■橋下市長「麻生副総理の発言はブラックジョーク」