頭と身体の不協和音を体感 | よしすけのツレヅレなるママ 映画日記

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大好きな映画の感想をメインに、読書感想や子育てについてetc…のんびりした日々をゆるゆると綴った日記です

『関心領域』

(2023年 アメリカ他)

黒い画面の真ん中の白色のタイトル文字が

徐々に徐々に灰色になっていき

最後は黒に吸い込まれるように

見えなくなってしまうオープニング。


ここでもう既に心は

どんよりとした膜のようなものに

覆われてしまった魂



STORY

 

空は青く、誰もが笑顔で、子どもたちの楽しげな声が聞こえてくる。そして、窓から見える壁の向こうでは大きな建物から煙があがっている。時は1945年、アウシュビッツ収容所の隣で幸せに暮らす家族がいた。第76回カンヌ国際映画祭でグランプリに輝き、英国アカデミー賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、トロント映画批評家協会賞など世界の映画祭を席巻。そして第96回アカデミー賞で国際長編映画賞・音響賞の2部門を受賞した衝撃作がついに日本で解禁。

マーティン・エイミスの同名小説を、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』で映画ファンを唸らせた英国の鬼才ジョナサン・グレイザー監督が映画化。スクリーンに映し出されるのは、どこにでもある穏やかな日常。しかし、壁ひとつ隔てたアウシュビッツ収容所の存在が、音、建物からあがる煙、家族の交わすなにげない会話や視線、そして気配から着実に伝わってくる。その時に観客が感じるのは恐怖か、不安か、それとも無関心か? 壁を隔てたふたつの世界にどんな違いがあるのか?平和に暮らす家族と彼らにはどんな違いがあるのか?そして、あなたと彼らの違いは?
(公式サイトより転載)


鳥のさえずりが聴こえる中

家族揃って水辺でピクニック。

長閑な風景。

おおよそ戦時中とは思えない。



ピクニックを終えた一家は

燦燦と陽光が降り注ぎ

花々が咲き乱れる

手入れの行き届いた庭のある

邸宅へと帰って行った。


翌日はこの家の主の誕生日。

家族みんながお祝いしてくれた。

部下たちも揃って職場から駆けつけて

お祝いの言葉を届けてくれた。


この家の主は隣地にある

アウシュビッツ強制収容所の所長だ。



パントリーには豊富な食料。

豪奢な宝飾品や毛皮もある。

たくさんの使用人を抱え

何不自由ない豊かな生活。

一家はしあわせを謳歌していた。


しかし

彼らのしあわせの源は

ユダヤ人たちからの収奪。

庭に咲き乱れる美しい花々さえも…



身体が拒絶する映画体験は初めてだった。

頭は観ようとしても身体が拒んでいた。

体内から発する不協和音に不安は募り

吐き気を催した。

音(音楽)の影響も大きかったと思う。


再鑑賞する勇気はない。

こんな体感もう二度と御免だ。

でも観たことは後悔していない。

この感覚を知ったのは

とても大事なことだと思うから。


これから観ようと思っている人は

ぜひ体調の良い日に行ってください。

繊細な人は特に心して⚠️



『関心領域』を観た人には

『ヒトラーのための虐殺会議』もおすすめ。
こちらも体調が良い日にどうぞ。
いまならprime videoで観れますよ。


↓『ヒトラーのための虐殺会議』レビュー


『関心領域』は

人間の本質をあぶり出していた。


あの一家が特別なのではなく

わたしの中にも

同じものが流れていることに気づかされる。

だから吐き気を催したのだと思う。



ガザでのジェノサイドや

終わりの見えないウクライナ戦争

日本の入管問題

国内各地で起きているヘイトスピーチ

民意を無視した辺野古の基地建設etc.....


いま起きている様々な問題のことと

どうしても照らし合わせてしまう。

どれも本質は同じだからだ。



社会を醸成するのは

どうせ限られた人たちなんだからと

思考停止して現実逃避することも

そういう社会を作ることに

加担してしまっている。

「見て見ぬふり」も

一つの思想なのだから。


「思想強め」と揶揄し冷笑する人々は

それが自分の思想だということには

気づいているだろうか。


「思想がないという思想」もある。

これは脚本家の吉田恵理香さんの

受け売りだけどね。


ハンナ・アーレントが残した

「凡庸な悪」という言葉も

思考停止から始まるのだと思う。


効率やコストを

とことん突き詰めた先に待っているのは

「心の死」なのかも知れない。

正常な心を殺さなければ

あんな異常な世界では生きられないだろう。

自分が死なないために他人を殺すみたいな

異常の極限に達してしまうのかなと思った。



先週の木曜日

『胸騒ぎ』の後に観たんだけど

レビューが全然書けなかった。

何を書いたらいいか困ってしまった💦


で、こんな纏まりのない

レビューになってしまったというわけ。

ま、いつものことだけどね。


ちゃんとしたレビューは

ちゃんとした人のとこで読んできてね指差し

ではまたパー