「真実」ってなんだ | よしすけのツレヅレなるママ 映画日記

よしすけのツレヅレなるママ 映画日記

大好きな映画の感想をメインに、読書感想や子育てについてetc…のんびりした日々をゆるゆると綴った日記です

『落下の解剖学』

(2023年 フランス)



STORY


これは事故か、
自殺か、殺人か―。

人里離れた雪山の山荘で、
男が転落死した。

はじめは事故と思われたが、
次第にベストセラー作家である妻
サンドラに殺人容疑が向けられる。

現場に居合わせたのは、
視覚障がいのある11歳の息子だけ。

証人や検事により、
夫婦の秘密や嘘が暴露され、
登場人物の数だけ
<真実>が現れるが──。

(公式サイトより転載)


フランスの法廷物。

ミステリーに分類されそうなので

ネタバレしないように気をつけます⚠️⚠️⚠️


がしかし

ネタバレせず書くのは難しそうな題材。

匂わせてたらごめんなさいお願いお願いお願い



予告編を何度か見ていたし

キャッチフレーズからして

夫の死亡原因を探るお話だと

思っていたのだが…


冒頭から観ている側の

先入観を試されているように感じた。


それなのに

先入観を拭うことができなかった。

彼女の言動や法廷で暴かれる事柄で

先を読もうとしてしまう。


もしや私のココロ読まれてる❓



ひとつの事実が

検察官は被疑者を犯人とする「真実」だと言い

逆に弁護士は

被疑者を無罪とする「真実」だと言う。


もしも

それらの「真実」だけで

判断することができない時

それでも

どちらかに決めなければならない時

どうすればいいのか…



何が本当で何が嘘なのか。

誰を信じていいのか。


普段の生活の中でも

白黒つけられぬまま

選択しなくてはならないことって案外多い。

世の中は大抵のことがグレーだから。



傍から見れば仲の良いおしどり夫婦。

その実、愛とは程遠い関係だったり。

喧嘩ばかりしていた夫婦なのに

片方が亡くなってから元気を無くして

後を追うように亡くなってしまったり。


夫婦のことは他人には分からない。

本人たちにだって分からない(自分も含め)


それに

夫婦だろうが家族だろうが

分からないことは分からない。

結局他人のことは分からない(身も蓋もない)



冒頭の犬の目線で追っていく

映像が素晴らしい。


全てを知っているのは物言わぬ犬。

最初から最後まで…



主演のザンドラ・ヒューラーは

東ドイツ出身の女優さん。


どっかで見たことあるなぁと思ったら

『さよなら、トニ・エルドマン』で

ホイットニーの歌を熱唱してた娘。

『希望の灯り』の大型スーパーの従業員。

どちらも佳い映画だった飛び出すハート


↓『ありがとう、トニ・エルドマン』レビュー

↓『希望の灯り』レビュー


『落下の解剖学』は
結末があるのに
スッキリとした答えがない。
決してダメ出ししてるのではない。
むしろそこが良かった。

観終えてからも
あれこれ思いが浮かんでくる。
何度か観返して
理解が深まるタイプの映画だと思う。