その全てが愛おしい | よしすけのツレヅレなるママ 映画日記

よしすけのツレヅレなるママ 映画日記

大好きな映画の感想をメインに、読書感想や子育てについてetc…のんびりした日々をゆるゆると綴った日記です

『夜明けのすべて』

(2024年 日本)


瀬尾まいこ著の原作小説が大好きだった。

大好きなだけに

映画化されると聞いた時は

少し身構えてしまった。


いつもブログに書いているけど

私の読書は脳内映画館。

もうずいぶん前に映画化済み爆笑


だけど今作は三宅唱が監督。

なんですと!

観たい欲求はモーレツに膨れ上がった。



「出会うことができて、よかった」

人生は想像以上に大変だけど、

光だってある――

月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さんはある日、同僚・山添くんのとある小さな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。だが、転職してきたばかりだというのに、やる気が無さそうに見えていた山添くんもまたパニック障害を抱えていて、様々なことをあきらめ、生きがいも気力も失っていたのだった。職場の人たちの理解に支えられながら、友達でも恋人でもないけれど、どこか同志のような特別な気持ちが芽生えていく二人。いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる。
(公式サイトより転載)

 


原作では藤沢さんと山添くんの関係性が

主に描かれている。

映画も確かに二人の関係性が

深まっていく過程が描かれているが

それと同時に栗田科学の人たちや

山添くんの元上司など

彼らと周りの人たちとの

関係についても描かれていた。


原作にない部分(設定変更も含む)もあったが

それが原作を損なうものではなく

むしろその世界観を広げるものとなっており

大変好ましい印象を受けた。



ただその分

コメディ要素は薄くなってしまったけど。

藤沢さんが山添くんの髪型を

こけしヘアにしちゃったこととか

(松村北斗じゃムリか爆笑)


藤沢さんがボヘミアン・ラプソディを観た後

興奮のあまり山添くんに

ネタバレしちゃったこととか

途中の面白エピソードは省かれていた。



それを越しても

プラネタリウムの件が素晴らしかったから

全然オッケーOKOK


キャストが

上白石萌音と松村北斗の

カムカムコンビっていうのもナイス!


↓NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」より


上白石萌音は演技はもちろんのこと

やっぱり声が良いんだよなー

冒頭のモノローグも

プラネタリウムのナレーションも

その声に惹かれてしまった乙女のトキメキ


松村北斗も細やかな演技

こんなに演れる人だったんだという

嬉しい驚き乙女のトキメキ




自然光溢れる映像と

控えめな劇伴が共に心地好い。


山添くんが自転車で辿っていく坂道。

自転車持ち上げて階段上がるのも

すごく良い!


最初は紺色の上着だった山添くんの

頑なさが徐々に取れてくると

自然と栗田科学の作業着に変わってて

そういうさり気なさも

とても良かった。



藤沢さんが初めて

山添くんのアパートを訪ねた時に

部屋の中の映像から

ドアの外の映像に切り替わるとこも

好きだった。



栗田科学の事務所では

手前で藤沢さんたちが仕事してて

その奥の会議室?では

ホワイトボードの前でおじさんが

わちゃわちゃ揉めてて面白かったな。



何事も効率や生産性が

重要視されるようになって久しい。


そこからはみ出さないように

流れから外れないように

他者からどう見られるか

空気を乱していないか注意して

息苦しくても我慢する

失敗は許されない…


命綱もセフティネットも

用意されていない綱渡り。

落ちたらそこで終わり。

そう思っていたけど…


自分の抱えている困難さは

そう簡単に無くなるはずもなく

そんな困難な道のりを

一人で越えて行かなくてはと思えば

心が折れてしまう。


だけど

一人で生きることの困難さを知っているのは

自分だけじゃないと知った。

困難な道も寄り添い合える仲間がいれば

少しづつ越えて行けそうな気がする。



栗田科学で扱う商品は

はっきり言って

世の中に無くてはならないもの

とは言えないだろう。


プラネタリウムが無くても

生活に特段支障は無いかも知れないが

プラネタリウムは見る人に

豊かな時間を与えてくれる。

この会社はそういう商品を作り続けている。


栗田科学のやり方は

非効率かもしれないし

コスパが良いとも思えない。

この会社の良さは

一言では言い表しにくいけど

そういった物差しで測れるものではない

ということだけは分かる。



人と人との関係性は

目に見えないけど

確かにそこにある。


その関係に

名前がついてなかったりもするけど

確かにそこにある。


見えないのに見えるのが映画。

映画って本当に素晴らしい乙女のトキメキ

その全てが愛おしい映画だった。



帰りにパンフレットを買おうか迷ったが

それよりもう一度原作が読みたくなって

以前は図書館で借りて読んだんだけど

やっぱり手元に残しておきたくて

本屋に立ち寄り文庫を買って

また読み始めた。

映画も良いけど本も好きなんでねニコニコ


またしても長ったらしい

ヘンテコなレビューになってしまったけど

いつもの事だと笑ってね指差し

ちゃんとした感想は

ちゃんとした人のところで読んで来てね!


ハムスターハムスターハムスター


今年は超スロースターター。

驚くべきことに劇場鑑賞3本目。


私生活では大きな変化があった。

その件については

気持ちの整理をつけるため

また別の日に書いてみようと思う。




↓以前書いた『夜明けのすべて』読書レビュー


↓三宅唱監督『ケイコ目を澄ませて』レビュー