自分の繊細さに振り回されながら 自分の図太さに救われてもいる | よしすけのツレヅレなるママ 映画日記

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大好きな映画の感想をメインに、読書感想や子育てについてetc…のんびりした日々をゆるゆると綴った日記です

 


NHK土曜ドラマ

「お別れホスピタル」

第2話。



夫からのプロポーズの言葉は

「君じゃなきゃだめなんだ」だった。

それ以来、妻は

夫の「ケア」をしてきた。


長年連れ添った夫は

病状が悪化し入院したが

思い通りにならないことに苛立ち

看護師の手を焼かせていた。


妻も体調を崩し

入院することになった。

娘は気を利かせ

妻(母)と夫(父)を同じ病室にした。


当然妻が食事介助をするものと

夫は病床の妻を呼びつける。


夫が看護師の処置に暴れると

妻が夫の枕のタオルを替え

額の汗を優しく拭ってやると

夫は満足して大人しくなる。


そんな妻の振る舞いを

医師も看護師も

「夫への愛」と受け止めた。


娘は

両親が喧嘩したところを

見たことがない。

両親は「理想の夫婦」だと言った。

母の我慢の上に成り立っている

「理想」だなんて

気づきもしなかった。


これまで妻は

自分の心の内を

誰にも話したことがなかったが

医師と看護師との面談で

「もう嫌だ」

「ひとりになりたい」

と言った。


自宅療養を希望した妻は

夫を入院させたまま

一人自宅へ帰って行った。


いよいよ死期が迫り

家族は病床に集められた。

せん妄状態になっても夫は

尚も妻を呼びつける。


妻はいつものように枕のタオルを変え

額の汗を優しく拭ってやった。

そして最期に

夫の耳元に口を寄せ囁いた。

「早く逝ってくださいね」と。


あまりのリアルさに愕然とした。

高橋恵子すごい!

咄嗟に私の母の姿が頭を過ぎる。



「愛ほど歪んだ呪いはないよ」と

五条悟は言った。

「愛は呪い」

「絆は軛」

とも言えるだろう。


夫婦愛も家族愛も

美しくて尊くて

醜くて卑しい。

そう思うと少し救われる。



原作・沖田✕華、脚本・安達奈緒子

「透明なゆりかご」は

生命の始まりの物語だったけど

「お別れホスピタル」は

生命の終わりの物語。



いま正に自宅で

終わりゆく生命と

私は日々向き合っている。


様々な感情が溢れ出して

心がかき乱されてばかりいるけど

お腹が空くからご飯を食べるし

くだらないことで笑ったりもする。


自分の繊細さに振り回されながら

自分の図太さに救われてもいるんだよね。


じゃなきゃ

この手のドラマを見ようなんて

思わないもの。


私にとって

きっと忘れられない

ドラマになるんだろうな。