今では映画ジャンルの中で
社会派を観ることが多い私だけど
20歳前後の頃はそういう映画を
押しつけがましく思っていた。
『Do The Right Thing』は
トレンドに敏感な友だちは結構観てたけど
私はなんか小賢しいと思い避けてしまった。
(小賢しかったのはそんな私だよな)
だから今回初めましてだったんだけど
とても30年以上前の作品とは思えなかった。
確かに画の撮り方とか
古めかしい部分は大いにある。
だけど根本的なところは
全く古びていなかった。
言い換えれば
私ら全然進歩してないってこと…
目には目を歯には歯を。
やられたらやり返す。○○返しだ。とか
今もそこら中で蔓延っている。
悪意は誰の心にも潜んでいるからだよな。
それから
ルーツやセクシャリティ
社会的地位や障害の有無などで
誰かの価値を見積もってしまうのは
自分にも確かに心当たりがある。
自分こそ正義だと
思い込んでしまうところも…
だから
観てる間ずっと胸糞悪かった。
正直途中で止めようかと思ったくらい。
だけど観るのを止めるのは
なんか違うなと思って
最後まで観たらそれこそが
この映画の狙いなんだと気づいた。
スパイク・リーすげぇな。
スパイク・リーの映画って
迂闊に手を出すと火傷しそうだから
全然観たことなかったけど
『ブラック・クランズマン』だけは観た。
めちゃくちゃ面白かった。
↓『ブラック・クランズマン』レビュー
それを思うと
ラストへの持っていき方とか
スパイク・リーは
30年前から変わっていない。
初期の段階からもう
スタイルが出来上がっているという点では
ケン・ローチと似ているなと思った。
スパイク・リーの
他の作品ももっと観たくなった。
◇◇
ロシアのウクライナ侵攻で
ロシア人に対するヘイトが広がりそうで
気になっている。
息子の中学時代の同級生にも
ロシアがルーツの子が数人いて
知っているだけにとても心配だ。
息子たちに
ロシア政権がやっていることと
ロシアの人たちは別モノだよと話したら
「大丈夫。分かってるよ」
と言ってくれたんでホッとした。
長引くコロナの影響で
心が荒んでいるところに
こういう問題が起こると
負のエネルギーが勢いよく
蔓延してしまうような気がする。
ヘイトこそまん防が必要なのでは❓
昨夜会社で
「ウクライナもロシアのこと言えないよね」
と言う人がいて
あー、こういう人は
「いじめられる側にも問題がある」
とか言っちゃう人なんだろうなーと思い
心がどんよりしてしまった。
たとえどんな理由があったとしても
暴力を行使していい理由にはならない。
暴力は暴力以外の何ものでもない。
それは戦争もいじめも同じだと私は思う。
武力に頼らずに
どうやって相手の暴力を止めさせるか。
そもそも違う正義を持っている相手と
どうやって折り合いをつけていくのかは
なにもロシアとウクライナに限らず
私も日常的に突きつけられている問題だ。
人間の智慧は常に試されている。
焼けたピザ屋の壁に貼られた
キング牧師とマルコムXの写真。
そして二人が遺した言葉が
胸に深く突き刺さるラストだった。