こそあどことばの習得 | にほんとつながる子どもの記録

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韓国にルーツをもつ夫と日英韓にルーツをもつ子どもたちとの日々の記録

<娘のことばについて>

私は、日本で生まれ育った日本語母語話者。

夫は韓国で生まれ、生後すぐに養子としてアメリカへ渡り、英語母語話者。

現在3歳になる娘は、そんな私たち夫婦の仕事の都合で、生後4ヶ月の頃から韓国現地の託児所で預かってもらっている。

朝9時ごろから夕方6時ごろまで託児所で過ごすため、1日の大半を、そして人生の大半を韓国社会と韓国語の世界の中で暮らしていることになる。家に帰ると母親は日本語で、父親は英語で(娘が2歳を過ぎた頃からあることがきっかけで彼も日本語で)のみ話をしている状態。

 

3歳を迎える数日前の夜のこと。

最近朝食や夕食のお手伝いをよくしてくれるようになった娘が、今日もなにかを切りたいという。

そこで、サラダに使おうと思っていたきゅうりを切るようにお願いすると、食卓にすでに出されていた人参スティックをさして、

 

「〇〇はあのにんじんが切りたい」

 

という。そして食卓近くにいたパパのところに駆け寄り、

 

「パパ、その人参とって」

 

といった。パパが手に取りながら「きゅうりじゃなくて人参がいいの?」と聞いたところ

 

「うん、この人参がいい」

 

と答えた。

 

その受け答えに大変驚いた。感覚で「こそあど」の使い方がもうわかっているのだと。

日本語が母語ではないパパには未だ不明なところがある。

似たような話で、どこで覚えてきたのか夫婦で不明なのだが、文脈にぴったり(驚いたとき、信じられないとき)のタイミングで、最近

 

Papa, what are you doing!!??(パパ、何やってるの!)

 

と夫に向かって話していることがある。

夫は日本語で積極的に話をしているし、普段は娘も夫と日本語ではあるけれど、次第に夫に対しては英語で話しかけようとする場面が増えつつある。彼女も「母語」と「父語」が異なり、相手に応じて自然なことばで対話をしたいと無意識のうちに悟っているのかもしれない。