1989年にPioneerから発売された PD-5000 200,000円
一時、ヤフオクでも見かけなくなりましたが、最近再び出品されるようになり、数も増えてきました。電源が入ることのみを確認したというジャンク品を入手。
パイオニアのプレーヤーのお決まりのピックアップレンズの脱落はあるでしょう。レンズが見つかって、ピックアップが生きていれば、ラッキーです。
ブツが到着して、早速動作確認。
トレイが開閉しません。案の定、ピックアップレンズはありません。ピックアップが軸から脱落もしていました。
トレイの開閉は、電源部をまず疑います。保護素子があるので、その導通をチェックします。
異常なし。
このモデルは、ベルトの劣化で開閉しなくなるということはほぼありません。パイオニアのプレーヤーで、劣化したベルトはあまり見たことがありません。特殊な材質なのでしょうか。時折、長期間使用していなかったプレーヤーで、ベルトに形が付いてしまったものはありますが、ヤマハやTEACのように溶けてなくなるのは見たことはありません。
このプレーヤーは、クランパーを昇降させるモーターに付いているウォームギアが噛んでしまい、動かなくなることでトレイが開閉しなくなることがあります。このプレーヤーもクランパーが動いていないので、おそらくそれが原因だったのでしょう。センサーの接点を磨いて、モーターの位置を調整して、スムーズに動くようにしたところ、トレイは開閉するようになりました。
ピックアップレンズは、本体内に落ちていたので、回収してアロンアルフアで再固定。
ディスクをセットして確認したところ、正常に認識・再生するようになりました。
さて、久々にPD-5000の音を楽しみましょうと、アンプにつないでボリュームを上げましたが、うんともすんとも鳴りません(^-^;
デジタル端子の出力を確認したところ、音は正常に出ています。アナログ回路になんらかの故障があるようです(*´Д`)
以前、PD-5000で音が出ないという修理をしましたが、その時はアナログ用のトランスが破損していて、トランスを交換して正常に音が出るようになりましたが、今回はどうもそうではないような気がします。
何故なら、アナログ出力モードの時は、再生が始まるとアナログ基板上のリレーが作動することによって出力ができるようになりますが、そのリレー音がありません。
つまり、リレーが作動しないためにアナログ端子からの出力がないのです。
では、何故リレーが作動しないのかですが、ようは、12V の電圧がリレーに印可されていないからなのです。だから、何故12Vが印可されていないの?(^-^;
リレーは、アナログ基板上にLRチャンネルにそれぞれ2個搭載されています。上記の写真は、リレーの不良を考慮して念のために交換していますが、リレーの不良ではありませんでした。白と赤のコネクターがリレーを作動させるためにコントロール基板からの信号を伝えています。
これは、コントロール基板の白と赤のコネクターが引き出されている部分です。サービスマニュアルを見ると、リレードライバー回路のようです。
正確には、OUTPUT MUTING RELAY DRIVERというようです。
2SC3581のトランジスタのコレクタ端子から-11.7Vが白のコネクタに、0Vが赤のコネクタに印可されているようです。
デジタル出力とアナログ出力の切り替えるための回路です。
で、それぞれのコレクタ端子の電圧を測定しましたが、既定の数値は出ていません。エミッタとベースはマニュアル通りの電圧が測定できましたので、おそらく経年劣化か、何らかの負荷のよって、この2SC3581が破損してしまったのでしょう。原因は、このトランジスタの不具合であると判断。取り外したトランジスタの足は、茶色く変色していたので、おそらく負荷が原因でしょうかね。
幸い、在庫がありましたので、さっそく交換。
組み戻して動作確認したところ、正常にリレーが作動して、アナログ端子から出力されるようになりました\(^o^)/
PD-3000も同じように左右2個づつのリレーが搭載されていて、同じようにデジタル出力とアナログ出力を切り替えるような回路になっていますので、同じような症状が起きることがあります。
LRチャンネルのアナログ出力がない場合、まずリレーが作動しているか確認をして、作動してない場合は。リレードライバーのトランジスタの不具合の可能性が高いです。
どちらか一方の出力がない場合は、アナログ回路の電源部の保護素子が破損している可能性が高いので、まずは保護素子のチェックをしてみましょう。
これくらい古くなると、トランジスタの不具合の発生確率は高くなるかもしれません。アンプと違って、大きな電力を扱っているわけではないので、トランジスタやICに負荷がかかることはないと思いますが、とはいえ経年劣化は避けられず。また不良部品が取り付けられている可能性もあり、それによって何らかの負荷がかかり破損することはあるでしょう。
これからは、サービスマニュアルとにらめっこすることが増えそうです。