ディスクは認識して、曲数と収録時間は表示されるけれども、再生ボタンを押しても再生が始まらないという症状で、修理依頼がありました。
考えられる原因は、ソニーのプレーヤーに多い症状で、リニア機構のマグネットの周辺のトラブルがありますが、それが原因だろうと思い、確認。

上記の写真は、ピックアップメカを取り出した状態のものですが、左右にあるマグネットのフレームが鉄製のため、使用環境により錆が浮き出ていることがあります。
この錆がピックアップのコイルに干渉をして、ピックアップが動かなくなり、結果的に再生が始まらない、あるいは再生が始まっても途中で止まる、音飛びがするなどの症状が起きます。
ただ、見てもわかるように錆がほとんどありません(;^ω^)
当然ですが、ピックアップの動き自体は、とてもスムーズ。
じゃあ、何が原因か・・・・(;´・ω・)

となると、サーボ基板が怪しい・・・
このモデルに多い、キャパシタの液漏れがあったので、交換してみましたが、症状変わらず(;´Д`)
BSLモーターは回転しているので、電源部は問題はなさそうです。ディスクの認識はしているので、サーボ系のICなども問題はなさそうです。
一応再生も始まるので、コントロール系の問題もなさそうです。
777シリーズは、デジタル部とアナログ部の電源が独立しています。それぞれの電源部には保護素子が搭載されており、回路の保護を担っています。これらの保護素子も正常だったので、電源部の異常はなさそうです。
じゃあ、何が原因か????(@_@。
よくよく動作を確認してみると、このモデルは、電源を入れるとピックアップが、最内周から最外周に移動し、また最内周に戻ってくる動作をしますが、それがありません(;´Д`)
ってことは、そもそもリニア機構が死んでいる???(@_@。
で、回路図とにらめっこすること、数時間・・・・(p_-)
デジタル部の電源部に、ヒューズ抵抗があることを発見!!
保護素子と同じ役割を果たしますが、見た目は普通の抵抗なので、それがヒューズ抵抗であるかは一見しては分かりません。
といえども、ヒューズ抵抗の場合、足を長くして宙に浮いているように取り付けていることが多いので、見た目は抵抗ですが、取り付け方を見るとヒューズ抵抗であることが分かります。
パーツリストをにもしっかりヒューズ抵抗と書いてありました(>_<)
で、導通を確認すると・・・・(^-^;
2個あるヒューズ抵抗のうち、4.7Ωの抵抗がショートしていました(;´Д`)
で、その先を追っていくと、先ほどのサーボ回路のうちの下側の基板、茶色身を帯びた基板に流れていきます。ってことは、この基板が異常??

この基板に搭載されているICは、リニア機能をコントロールしているICのようです。
とりあえず、ヒューズ抵抗を交換してみましたが、症状が変わらなかったので、このICが破損している可能性が大です。
型番は、BA6297AP。ソニーのCDプレーのサーボ回路には、必ずと言ってよいほど、搭載されています。

CDP-555ESAにも同じ基板が搭載されているので、手持ちの555ESAから該当基板を移植したところ、正常に再生するようになりました\(^o^)/
この基板は、ESJシリーズにはありません。ESJシリーズは、一枚のサーボ基板になっています。よく確認はしていませんので、このICを別のICに置き換えているかもしれません。
ESAシリーズでも、おそらく後期モデルだと思いますが、この基板が廃止されて、一枚基板になっているモデルもあります。
やはり、こいつが悪さをしているということを、当時のSONYの技術者も認識していたのでしょう。こっそり、基板を変更していました。
おそらく10年そこそこではこのような症状は出ないと思うので、不具合が発生したから回路変更をしたというよりも、何か技術的な問題を抱えていたか、単に製造上のコスト削減のために基板を1枚にしただけかもしれません。
いずれにしても、もしかしたらESA独特の不具合の可能性はあるでしょう。
私も、ESAシリーズは数十台直してきましたが、このような症状は初めて経験しました。それほど、稀な不具合なのでしょうかね(;^ω^)