■今号のスゴい★PR事例■
オーストラリア発。
大ヒット「おバカな死に方」シリーズのスピンオフ。
メルボルン鉄道のキッズ向け安全啓発アプリ最新版が登場!
|スゴい★PR《海外マーケティング最前線》
読者の皆様、こんにちは。
" Dumb Ways to Die "
日本語に訳すと、"おバカな死に方"という救いようのないこちらのフレーズを覚えていらっしゃいますか?
Picture:Screeen shot from Dumb Ways to Die Official Video
2013年に、広告界のアカデミー賞カンヌライオンズで史上最多5部門のグランプリを獲得したのをはじめ、様々な国際広告賞で高い評価を受けたオーストラリア・メルボルン鉄道の安全啓発キャンペーンです。
キャンペーンの鍵となり、瞬く間にその話題が世界に拡散するきっかけとなったのが、2012年11月に公開されたこちらのショートアニメムービーでした。
" Dumb Ways to Die "
Numpty、Stumble、Botchなどの愛らしいキャラクターが、次々におバカというか間抜けな理由で死んでいく様が次々と描かれます。そしてムービーの終盤には、同キャンペーンを実施したのが鉄道会社だったことを思い出させる、列車や駅、鉄道に絡んだおまぬけな死に方が出てきます。
逆説的な手法で、「おバカに死なないこと」「危険を回避すること」を訴えた同キャンペーンは大成功。鉄道関連の死亡事故が21%減少したという説もあります。
Youtube公開後、ほどなくして1億2千万回を超える再生回数に到達したこちらの動画。使用された音楽が、ベルギーのヒットチャートで最高9位、オランダで94位、イギリス(インディーズ)38位にランクインするという事態にもなりました。
その後、同キャンペーンリリースの大成功もあり、2013年5月には"Dumb Ways to Die"ゲームアプリをリリース。こちらも好評を博し、その後第二弾も2014年11月にリリースされました。
さて、動画をご覧になるとお分かりの通り、オリジナルの「おバカな死に方」シリーズでは、登場キャラクターたちがアクシデントや事故によって、体の一部を欠損したり、流血したりといった少々グロテスクな描写が出てきます。可愛らしさのあるアニメーションなので、あまり酷さは感じませんが、シュールで刺激的であるのは間違いありません。
伝えているメッセージはとても大切なのですが、このまま子どもたちに見せるには少々抵抗があると感じる人も多いでしょう。
そこで、オリジナル「おばかな死に方」のスピンオフとしてリリースしたのがこちら、
Picture:Screeen shot from Dumbs Way JR Official Website
" Dumbs Way JR "
「おバカなやり方 ジュニア」
3歳から7歳くらいの子どもたちをターゲットにしたこちらのシリーズには、Loopy、Dumbbell、Boffo、Penguin、Madcapの5体のキャラクターが登場。もともとのオリジナル版キャンペーン同様に身の回りに潜む様々な危険を回避する重要性を伝えることで、子どもたちに楽しんでもらいながら安全啓発を可能にすることを目的としています。
これまでにリリースされていたのは、2つのゲームアプリ。
" Loopy's Train Set " (2016年3月リリース)
" Boffo's Breakfast " (2016年5月リリース)
列車や鉄道に関連して発生する危険を回避するにはどうすれば良いのかが学べる" Loopy's Train Set " と、後者はキッチンや料理をする過程で発生する可能性のある様々な危険性や、安全を脅かす行動などが盛り込まれています。
子どもを対象にしたアプリだけに、大人向けの" Dumb Ways to Die "のように、キャラクター自らが身を投げ出して危険性を視聴者にわからせるというスタイルはとっていません。どういったゲームアプリなのかはこちらの動画からご覧ください。
" Dumb Ways JR Boffo's Breakfast (Metro Trains Melbourne Pty Ltd)
- Best App For Kids "
そして先の二作品の概ね好意的な反応を受けて、つい最近リリースされたのが、
" Madcap's Plane " (2016年8月Apple Storeリリース・2016年9月Android版リリース)です。
Picture:Screeen shot from Campaign Brief
このゲームでは、子どもたちは飛行機を安全に離着陸させたり、乗客や彼らの手荷物を正しくピックアップして目的地へ無事に送り届けたり、航行中の安全確認や危険を察知した際にはアラートをコックピットから発信したりすることができます。
Picture:Screeen shot from Dumbs Way JR Apple Store
ゲームの開発に際しては、メルボルン鉄道は教育の専門家と幾度も検討を重ね、実際に完成したアプリを子どもたちにテストプレイをさせてその有効性を検証。満を持してのリリースとなったようです。
ちなみに、いずれのアプリのダウンロードも2ドル99セントで有料ですが、広告等は一切なく、データ通信やwifiを使わずにプレイすることができます。
私たち大人には、やはりシュールなオリジナル版の毒気が必要かつ効果があるように感じますが、子どもたちに楽しんでもらいながら早い段階から安全教育を施すことができるこちらのアプリ。世の中のママからは概ね良い反応を獲得しているようです。
※Dumb Ways to Die Ofiicial Website
http://www.dumbwaystodie.com/
※Dumb Ways JR Official Website
http://www.dumbwaystodie.com/dumb-ways-jr/
※ニュースソース
※Campaign Brief
http://www.campaignbrief.com/2016/08/metro-trains-melbourne-launche-1.html
http://www.campaignbrief.com/2016/03/metro-trains-melbourne-launche.html
※Mumbrella
https://mumbrella.com.au/dumb-ways-jr-launches-madcaps-plane-app-teaches-safety-young-kids-389106
※Mommies with cents
http://www.mommieswithcents.com/introducing-dumb-ways-jr-boffos-breakfast-dumbwaysjr-ad/
■編集後記■
読者の皆様、こんにちは。
スゴい★PR編集担当の秦泉寺 明佳です。
ここ数日私が気になっているアメリカのニュースに、カリフォルニア州南部のサンバーナーディーノ郡で発生している山火事があります。
去る8月16日に発生した山火事は、消防の必死の消化活動にも関わらず火の勢いは収まらず。カリフォルニア州は非常事態宣言を発令して、住民およそ8万2千人が避難。
延焼範囲はすでに49平方マイル(126平方キロメートル)以上に及んでいるそうです。
発生原因はわかっていませんが、これで5年連続干ばつ・少雨の状況にあるカリフォルニア。現地の消防隊員いわく、「乾燥しきった植生は焚火の薪のようなもの。次々に火がついていく」。
もともと、カリフォルニア州南部の、コロラド州やネバダ州寄りのエリアといえば、乾燥した気候で砂漠地帯も広がるエリア。火事には弱い地域であることは否めません。
カリフォルニアというと、キラキラした青い海に青い空。さわやかな気候と適度な緑をイメージしそうですが、地域によっては実際にはかなりドライ。私自身は土埃っぽいと感じたこともあります。
現在も陸と空から、昼夜を問わず消火活動が行われているようです。一刻も早く火の勢いが衰え、住民の方々が安心して過ごせるようになることを願います。
読者の皆様、火の始末にはくれぐれもお気を付けくださいませ。
※にっぽんの熱いマーケターの連載コラム、アメリカ&世界各国の旬な
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『にっぽんのマーケター』