■今号のスゴいPR事例■
去る、10月14日(日)のお昼時(日本時間10月15日(月)早朝)、
全世界で800万人もの人々が、youtubeのあるライブ動画にくぎ付けに
なっていた。
これを読んでいる読者の皆様の中にも、生でご覧になったという方も
いらっしゃるだろうが、その動画とは、
「Red Bull Stratos」
の生中継だ。
※Red Bull Stratos Official Web Site
http://www.redbullstratos.com/
※ちなみに、「Stratos」は、「成層圏」という意味の英語の“stratosphere”
あるいはイタリア語の“stratosfera”に由来する名詞
私は、月曜日のTVニュースでこのプロジェクトのビデオ画像を見たが、その
時には、このプロジェクトが、「Red Bull」スポンサーによるものだとは、
恥ずかしながら気づかなかった。
それは、ある外国人が成層圏から音速を超えるスピードでジャンプ、落下に
チャレンジし成功したというものだった。
※About Red Bull
Red Bullは全世界で最も売れているエナジードリンクで、その販売はオーストリアの
Red Bull GmbH社によって1987年より行われている。
ヨーロッパを拠点に、北米、アフリカ、オセアニア、アジアなど世界中で販売
網を拡大し、現在では世界160か国以上で販売されている。

※Red Bull Official Website
http://www.redbull.com/
さて、今回の「Red Bull Stratos」と名付けられた取り組みの概要はこうだ。
「レッドブル・アスリート(レッドブルとスポンサー契約を結ぶ)のフェリックス
・バウムガートナー(オーストリア人、43歳)が、アメリカはニューメキシコ州
ロズウェル上空39,014メートル(128,000フィート)の成層圏からジャンプし、
フリーフォールの世界新記録の樹立と、将来の研究、発展に寄与する高高度での
安全性の発展に向けた情報収集を目的とする。」
(レッドブル公式ウェブサイトより)
知っての通り、無事にジャンプ成功、着地をした今回のフリーフォールで
樹立した世界新記録(暫定)は下記の通り(レッドブル公式ウェブサイトより)。
1)動力補助不使用での音速を超える人類初のフリーフォール(スカイダイビング)
─ 時速1,342.8km(マッハ1.2)
2)最高高度からのフリーフォール(スカイダイビング)─ 39,014メートル
(128,000フィート)
3)最高高度の有人気球飛行─ 39,044メートル(128,097フィート)
4)フリーフォール(スカイダイビング)における最長垂直落下
─ 36,529メートル(119,846フィート)
※フリーフォール時間は4分19秒
今回のプロジェクト、youtubeでの生中継の他、TwitterやFacebookでもその
準備段階からの模様を随時アップデート。また、40のTVチャンネル、130もの
デジタルアウトレットで中継されたという。
そのバズ効果は計り知れず、Facebookにアップロードされたジャンプ後のフェリックス
氏の写真は、21万6千の「いいね」、1万のコメント、2万9千のシェアを、
アップ後40分で生み出したという。

ちなみに今回のプロジェクトで、様々な新記録を樹立したアスリートのフェリックス氏
と、レッドブルとの取り組みは、最近スタートしたものではない。
氏と同社は、なんと15年にわたるスポンサーシップ契約を結んでおり、なんとも
長期間にわたるマーケティング努力により、今回の一大センセーションを巻き起こした
ジャンプが実現したのだ。
一企業が、ある一商品のために、これだけ長期間にわたるマーケティング活動を、
一貫して行うというのは、業界でも稀であるとして、そうした背景、継続的な
アスリートへのサポート活動を行ったという点について、業界関係者からの
評価が高い。
また、もう一点、今回のマーケティング活動が評価されているポイントが
ある。
冒頭で、今回のプロジェクトの概要を紹介したが、原文でもこのように
その主旨が公開されている。
“…a mission to the edge of space, will attempt to transcend human
limits that have existed for 50 years. Supported by a team of experts,
Felix Baumgartner plans to ascend to 120,000 feet in a stratospheric
balloon and make a freefall jump rushing toward earth at supersonic
speeds before parachuting to the ground. His attempt to dare atmospheric
limits holds the potential to provide valuable medical and scientific
research data for future pioneers.”
これは、同社の今回のプロジェクトの位置づけ、自社のポジショニングを
表明したものだが、あくまでも、フェリックス氏のチャレンジをサポート
することを通して、人類の限界にチャレンジし、その壁を打破すること、
またそのチャレンジによって、将来の取り組みへの有効な科学的、医学的
研究データを提供することこそが、その試みの真価なのだと言っている
のだ。
そう、レッドブルという商品やブランドを押し出しているところが
ほとんど感じられないのが、今回の特徴だ。
プロジェクトの専用ウェブサイトを見ても、そこにレッドブルの商品を
見出すことはなく、また当日の動画等を見ても、むろん着用したヘルメット
や、使用したパラシュートに同ブランドのロゴ等のプリントが見受けられ
るが、あくまでもフェリックス氏と、そのチャレンジにフォーカスした
内容になっている。
しかし、だからといって、無作為に今回のプロジェクトを同社が遂行した
わけではない。
これまでにも一貫して、同社はエクストリームスポーツのイベントを
多く主催し、またそれに挑戦するアスリートのスポンサーを務めて
いる。
これには、以下のようなものが含まれる。
※Red Bull社が所有するスポーツチーム
・RB Leipzig (ドイツでプレイするサッカーボールチーム)
・New York Red Bulls (officially Red Bull New York)(アメリカのサッカーチーム)
・Red Bull Racing(イギリスを本拠とするF1チーム)
・Scuderia Toro Rosso (Italian translation of Racing Team Red Bull) (イタリアを本拠地とするF1チーム)
・Team Red Bull (アメリカNASCARのチーム)
・FC Red Bull Salzburg(オートリアのサッカーチーム)
・EC Red Bull Salzburg (オーストリアのホッケーチーム)
・Red Bull Brasil (ブラジルのサッカーチーム)
・Triple Eight Race Engineering (来年より、 V8 Supercar teamsのスポンサー)

※Red Bull社が主催した各種イベント
・Red Bull Stratos
・Red Bull Cliff Diving
・Red Bull Rampage
・Red Bull Road Rage
・Red Bull Romaniacs Hard Enduro Rallye
・Red Bull Crashed Ice
・Red Bull X-Fighters
・Red Bull Air Race World Championship
・Red Bull Flugtag
・Red Bull Paperwings
・Red Bull LAN
・Red Bull sports events
・Red Bull Art of Motion
・Red Bull BC One
・Red Bull Cold Rush[40]
・Red Bull MotoGP Rookie Cup
・Indianapolis motorcycle Grand Prix
・Red Bull Supernatural

こうしたマーケティング活動の背景には、同社が訴え続けているブランド
メッセージが、一貫して存在する。
それは、
「Red Bull gives you wings.」
「レッドブルは翼をもたらす」
というものだ。レッドブルは、人々に新しい世界、興奮や感動、経験を
もたらすという意味だが、今回のジャンプなども、まさしく人類のこれまでの
壁を越えて、新たな飛躍をもたらし、それを視聴、共有した多くの人に、
感動や共感、そして新たな希望を与えたという点で、まさしくこの
ブランドメッセージに合致している。

各メディアは、こぞって今回のRed Bullの取り組みを評価しているが、
その取り組みから私たちが学ぶこととして、いくつかのポイントが指摘
されている。
1)現代は、メッセージのengagementとamplificationの時代
企業やブランドが発信するメッセージに、消費者を巻き込み、そしてその
メッセージが増幅、敷衍する時代であり、そうなるメッセージを発信
することが重要。
2)消費者の関心を引く、「ストーリー作り」とそこに仕掛けるフックが大切
今回のジャンプでは、「death flying」という言葉も用いられていた。
また、あらゆるアングルからの映像や、様々なシーンを公開することで、
視聴者の想像力をより一層かきたてるように工夫がされていた。
3)できる限り多くのコンテンツ(場面、映像等)を捉える
レッドブル社が今回のジャンプに合わせて用意した記録用カメラの数は、
HDカメラ9台、デジタル cinematography カメラ3台、デジタルカメラ3台、
さらに、フェリックス氏が3台のHDカメラを身につけていた。
このように、なるべく多くのコンテンツを一つの取り組みから、様々な
角度で得ることで、その後のコンテンツ流用、マーケティング活動に
活用できる。
4)さらなるコミュニケーションのためのコンタクト口を設ける
レッドブルでは、同社が開催するイベントや、スポンサーを務める
スポーツに関する情報(データ、写真、ビデオ、記録等)を、
プレス関係者が簡単に得られる専用ウェブサイトを準備。
より多くのメディアに、より簡単に、迅速にその情報を拡散してもらえる
下地を用意している。
https://www.redbullcontentpool.com/content/international
今回の、成層圏からのジャンプなどという世紀の大イベントは、企業規模も
大きくなければ難しいだろう。
しかし、上記の4つのポイントや、一貫したブランドメッセージの発信と、
それを具現化した活動の展開(や、活動のサポート)など、マーケティング
の優等生と言われるレッドブル社から、学ぶことも多いのではないだろうか?
■今号のPRの切り口■
1)
シンプルで心に響くブランドメッセージと、その一貫した発信と尊重により、
企業の多様な活動を一筋に集約する
2)
消費者が売場や陳列棚に立った時に、自社商品のマインドシェアを第一と
できるような、商品名、ブランド名の刷り込みを、SNSや各種メディア、
イベントを通じて、繰り返し行う
■今号の目ウロコ度■
4ウロコ
「You can harvest peaches and chestnuts in three years and
persimmons in eight years.」
=桃栗三年柿八年
■More News and Trends/Editor's Eye■
・マクドナルドもコーヒー豆(粉)の小売りに参入か?
http://www.businessreviewusa.com/business_leaders/mcdonalds-may-enter-coffee-retail-market
・エネルギー関連企業からのオバマ大統領への広告攻撃がスタート。クリエイ
ティブ?なその中身とは。
http://www.marketplace.org/topics/elections/campaign-finance/koch-funded-groups-attack-obama-war-coal
・ハロウィンをよりミステリアスに過ごせるスポット紹介(アメリカ北東部)
http://travel.nytimes.com/2012/10/21/travel/halloween-tours-that-give-you-the-creeps.html?ref=travel&_r=0
・ミリタリーウェア企業がブログをスタート。商品ではなく、業界の最新動向
やニュースの配信に特化し、消費者の「教育」を目指す。
http://www.sfgate.com/business/prweb/article/USA-Military-Medals-Launches-New-Blog-3901616.php
・肉を使わない商品の売り上げが好調。肉消費大国の消費動向に変化が!
http://www.triplepundit.com/2012/10/meat-free-eating-making-cents-dollars-all/
■編集後記■
メルマガ読者の皆様、こんにちは。編集担当の秦泉寺 明佳です。
一雨ごとに秋の深まりを感じる今日この頃ですね。
読書の秋、食欲の秋、芸術の秋。皆様は秋の夜長をどのようにして
お過ごしですか?
私は普段は、読書をして過ごすことが多いのですが、最近続けて読んで
いるのが、司馬遼太郎氏の小説です。
私の地元が舞台にもなっている「坂の上の雲」シリーズ、ではなく(笑)、
最近読了したのはこちら。
「花神」(大村益次郎の生涯)
「城塞」(豊臣家滅亡と徳川氏の台頭)
「梟の城」(二人の伊賀忍者の戦国末期の生き様)
「燃えよ剣」(新撰組、土方歳三の生涯)
学生時代、日本史には全く興味のなかった私ですが、こうして読むと、
どんどんその時代に付随する情報が知りたくなってきて、中断しては、
ネットで情報を検索するといった読み方をしています。
皆様、おすすめの本などございましたら、ぜひ教えてくださいませ。
ところで皆さん、最近何か映画をご覧になりましたか?
私は、少々映画館へはご無沙汰しているのですが、最近気になっていた
映画のDVDを3本鑑賞しました。
「The Help」(ヘルプ~心がつなぐストーリー~)
「The Decendants」(ファミリーツリー)
「The Iron Lady」(マーガレット・サッチャー鉄の女の涙)
3作それぞれにジャンルも何も異なったものですが、これがどれも秀作
でした。機会があれば是非ご覧ください。
鑑賞後に共通したのは、「自分がどう生きるか」ということを考えさせられた
点でしょうか?
秋の夜長、自分なりに有効に使いたいと思います。
※マーケティングPR ~PR/広報のお役立ちコンテンツ~
http://www.interbreed.co.jp/prtop/
■インターブリードからのお知らせ■
○/ 「社長さ~ん、PRですよ~」
<□
/> 「良い商品なのに思うように売れない。どうしたら売れるのか?」
「会社のブランド力を上げるためには、どうしたら良いの?」
「せっかくの新商品、雑誌やTVでもっと紹介してもらいたい!!」
★「マーケティングキャンペーン」「ブランディング」をサポート
http://www.interbreed.co.jp/prtop
<インターブリードのWebマーケティングツール>
★『行列のできるMEO』(MEOオートマチックサービス/成果報酬制)
やってる所はやっている。実店舗向き、最新の検索エンジン対策です。
Googleマップ版のSEOサービス。SEOよりも効果があると言われています。
http://www.marketing-agent.jp/meo/
★定額制SEOサービス『自分でできるSEO』
月額9,800円から利用できる、全自動のSEOツールになります。
1申込みで3キーワード3URLの設定が可能。
申込み6000件突破。販売数国内トップ。
http://www.marketing-agent.jp/seo/
★オートセキュリティメール
添付ファイルに自動的にパスワードをかけるセキュリティ製品です。
一度の操作で、2通(2通目はパスワード送信)送信の優れものです。
※5名までは無料!(フリーミアムプラン有り)
※詳細はinfo@interbreed.co.jp 宛てご連絡ください。(サイト準備中)
<インターブリードの人材エージェントサービス>
★マーケティング領域の人材をご紹介いたします。
企業と人の出会い(人材の発掘・確保)をプロデュースしています!
http://www.interbreed.co.jp/jinzai/index.html
★【スゴい★PR】最新更新情報は、twitterでフォロー♪
<その他>
★【オフィスコンビニ(飲料50円~)】
料金は飲んだ分だけ、面倒な手続きも不要。オフィスグリコの50円版!
コーヒーや水などを50円でオフィス内で購入可能です。
週に一度、オフィスコンビニスタッフが補充に伺います。
※詳細はinfo@interbreed.co.jp
宛てご連絡ください(サイト準備中)