こちらは、スーパー広報術に寄稿した記事です。
■行き過ぎた広告?賛否両論で話題づくり(1/2)
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「Outback Steakhouse(アウトバック ステーキハウス)」は、1988年に
アメリカフロリダ州のタンパで創業した、カジュアルダイニングチェーン。
当時のアメリカは、オーストラリアブーム。それに目を付けた創業者が、
オージーをテーマにしたステーキハウスを始めたのでした。
▽http://www.outback.com/
現在では、世界22か国に1200店舗超を展開。日本にも、2000年4月に
東京都町田市のショッピングモールに進出。その後、首都圏を中心に出店し、
現在は東京、名古屋、大阪に9店舗を展開しています。
本国アメリカでは、店員の接客のホスピタリティの高さでも知られており、
様々な顧客満足度調査では常に上位にランクインされています。
その理由の一つとして一人のスタッフが担当するテーブル数が絞られており、
一人一人のゲストに十分な対応が可能となる体制を敷いていることが上げられ
ます。
日本ではまだ9店舗ということもあり、目立った広告・販売促進活動を見聞き
する機会はあまりない気がしますが、本国アメリカでは、その手法の「過剰」
「斬新」さで、一目集める存在となっています。
例えば、去る9月末頃には、アメリカジョージア州で、「ロードサイドの看板
が燃えている!」という911(緊急通報用電話番号)通報が何件も寄せられた
のですが、これは実は火事ではなく、アウトバック社の「仕掛け」だったので
す…。
■「極端な数字」で、消費者の関心を集める(2/2)
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ジョージア州の州間高速道路(interstate)85号線沿いの同社の看板に仕掛け
られたのは、「煙」を発生させ、グリルの火の幻影を生成する装置でした。
実際には「火事」が起こっていたわけではないのですが、それを見た通りがか
りの一般市民から、911コールが何件も寄せられたのでした。
▽http://tinyurl.com/3rswj3n
今回の「仕掛け」は実は、新メニュー「wood fire grill」のプロモーション
のための施策で、燃えているように見えた看板には、
「Wood Fire Grill. Good for steaks. Bad for Billboards
(ウッドファイヤーグリルは、ステーキには良いけど、看板には適さない)」
というキャッチコピーが描かれていました。
また、このジョージア州でのスモーク看板の開始に先立って、実は同社は、実
際に「看板を燃やす」という試みも行っており、その模様は同社の公式チャン
ネルからYoutubeにアップロードされています。
▽http://youtu.be/ZF8TYCTsQUE
同社スポークスマンは、「今回の試みによって運転中のドライバーの注目を集
めたかった」とコメントしています。
「遊び心とジョーク」の国アメリカならではでありますが、さすがに事が「火
事」となると、その世間の反応は様々だったようです…。しかしながら911の
通報が起こり、その賛否両論で話題になったこと自体、既に狙い通りだったの
ではないでしょうか。
またこの他にも、同メニューのデビュー記念として、去る8月24日には「100万
人に無料のステーキディナーを進呈」というキャンペーンも展開しています。
ざっと計算して、同ディナーは一人およそ11ドル。100万人に進呈で、計11億
円相当と、その規模は半端ではありません。サイトにアクセスして4分以内に
応募フォームに入力すると、対象店舗から25マイル以内に居住する人なら誰に
でもチャンスがあるというものでした。
▽http://tinyurl.com/c74jffo
「ギリギリ」の手法でメディアや人々の関心を集めた「煙のあがる看板」と、
その圧倒的な「数」で人々を熱狂させた「無料ステーキディナー」。
露出量は少ないながらもどちらも消費者にとって「極端」で「わかりやすい」
アピールをすることで人々の話題になることに成功した事例と言えそうです。
☆──[ここがポイント]────────────────────┐
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│ 1.「過激な演出」で話題を仕掛ける │
│ 2.「極端な数字」で話題を仕掛ける │
│ 3.「賛否両論」で人々の注目度を高める │
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