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■カーシェアリング会社と提携したフォードの戦略(1/2)
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「カーシェアリング」---温暖化防止や都市の交通渋滞緩和への注目と関心
が高まるにつれて、「車をシェアする」というアイディアが浸透し、また
そのサービスを提供する企業や団体の活動も活発化してきました。
そんなカーシェアリングサービス業界で、世界でもNo1の規模を誇るのが、
「Zipcar(ジップカー)」社。2000年にアメリカマサチューセッツ州で設立
された同社は、現在、アメリカ・カナダ・イギリスでサービスを展開中です。
▽http://www.zipcar.com/
アトランタ、ボルチモア、ボストン、シカゴ、ニューヨーク、フィラデルフィ
ア、ピッツバーグ、ポートランド、サンフランシスコ、シアトル、ワシントン
DC等のアメリカ28都市をはじめ、トロント、バンクーバー、ロンドンなどの
主要都市で展開しています。
同社は、メンバーシップ制をとっており、登録メンバー(Zipsters)数は
およそ60万人で、8000台の車を提供しています(2010年時点)。
予約は、24時間365日可能で、インターネットもしくは電話で予約を行い、
シェア自体は、1時間単位から利用できるようになっています。
※ちなみに、単発利用の登録料は$25、年間登録なら$60。シェアリング
利用料金は、地域・利用日時によって多少異なりますが、1時間当たり$7.5、
1日当たり$56程度となっています。
(保険、駐車料金、ガスは利用料金に含まれます!)
またその特徴として、このカーシェアリングサービスを、全米の230のカレッ
ジキャンパスで提供しているのですが、この点に着目し、Zipcar社と2年間の
アライアンスを結び、自社のPRに乗り出したのが、自動車業界大手のFord社で
した。
▽http://www.ford.com/
■アライアンスにより「重要顧客の早期囲い込み」(2/2)
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さて、ではFord社は、今回どのような目的と手段をもって、Zipcar社とタッグ
を組んだのでしょうか?
Ford社としては、同社の次なる「重要顧客」となりうるターゲット世代に対し
て、早期にアプローチし、そして囲い込みたいという思惑があったのです。
つまり、現在大学や短大に通う学生たちこそ、数年後には社会に出て、職に就
き、家族を持ち、そして車を購入し、利用する次なる「重要顧客」なのです。
そうした若い世代へのアプローチが今回の主旨であり、その目的と、Zipcar社
の持つ、全米230以上のキャンパスのネットワークが見事に合致したのでした。
Ford社では提携1年目に650台の車を、2年目までに計1000台を提供するとして
います。
また提供する車種として、エネルギー効率の良いエコタイプカーを提供するこ
とで、環境保護に敏感な、社会貢献企業であることも、内外に同時にアピール
するというなかなかしたたかな施策となっています。
更に、入会の際に、フォード社が、入会金の一部を負担(通常$35→$25、
先着10万人)、最初の100万時間は、時間当たり利用料$1を負担する等の
特典をつけることで入会促進を図っています。
この入会促進の実施には2年間で約2億円の広告・マーケティングコストが
かかりますが、これで、将来のフォードユーザーにアピールできるのであれば
その費用対効果はかなり高いであろうと分析されています。
今回のFord社の提供した特典は、Zipcar社のオペレーティングコスト改善
にも役立ち、また今回の取り組みを通して新規のメンバー加入を促進できると
して、Zipcar社にとっても非常にありがいものでした。
これら異業種2社によるアライアンスは双方の目的と利益が合致したなかなか
巧みなマーケティング施策となりましたが、貴社もフレームに囚われなければ
アライアンスにより相互補完できそうな他業種企業があるかもしれませんね?
☆──[ここがポイント]────────────────────┐
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│ 1.ユニークなマーケティング戦略はメディアも注目 │
│ 2.アライアンスによる相互補完で効率と効果を高める │
│ 3.社会性に結びつける(エコタイプの車を提供) │
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