■今号のスゴいPR事例■
「ノルウェー王国」
こう聞いて、読者の皆さんはどのようなことを思い浮かべるだろうか?
「首都オスロ」
「フィヨルド」
「北欧」
「ノルウェーサーモン」
スカンディナビア半島の西側に位置する、人口約480万人の北欧の王国。
日本では、まだまだ馴染みが薄い国の一つと言っても過言ではない。
2007年頃には、日本では「第二期北欧ブーム」が到来し、特にインテリア
や生活小物等を中心に、スウェーデン発のブランドやアーティストが
一気に注目を集めていた。その後も、爆発的ではないが、静かにかつ顕著に
そのトレンドは流れており、現在ではブームというよりも既に定着した
感がある。
このように「北欧」と一まとめにされることも多いノルウェーだが、同国は
漁業(捕鯨も行う)、海底油田等の資源にも恵まれた国家で、他の3国
(スウェーデン、フィンランド、デンマーク)ともそれぞれ異なった
特性を持っている。
だが、遠く距離の離れた日本ならいざ知らず、比較的距離の近いヨーロッパ
の国の人々にとってみても、
「なんとなく印象の薄い、退屈な国」
というイメージがまだまだ強いのである。
そのような状況を憂慮したのが、イギリスのノルウェー大使館だった。
イギリスとノルウェーは、地図上でもわかる通り、比較的地理的にも
距離が近く、ちょっとした旅行やバケーションに気軽に行ける目的地と
なりうる存在だ。
※Norwegian Embassy in London Website
http://norway.embassyhomepage.com/
しかしながら、イギリス国民のとりわけ若い世代のノルウェーに対する
評価は、「つまらない。退屈。」「あまり接点がない」といったもの
が大半だった。
そこで、同大使館では、自国の文化にもっと触れてもらい、理解してもらう
ために、従来のPR手段ではなく、ソーシャルメディアを用いて、若い世代にも
リーチし、そのハートに届くようなコミュニケーションを確立しようと、
今回の取り組みにいたった。
在英ノルウェー大使館は、イギリスのPR会社「komodo」の協力を得て、
まずは、facebookページを開設。さらにtwitterフィードも連携し、
それによって、イギリス国民から広く、ノルウェーに対する意見、興味
関心や、大使館が催すイベントや企画への率直な反応を汲み取り、
そしてそれを今後の戦略にも活かしていこうとしたのだ。
※Komodo PR Website
http://www.komodopr.com/
現在、同大使館のFacebookファンの数はおよそ6200人余り。大使館側からは、
音楽やアート、ファッション(特に音楽ビデオが多い)などの最新情報が
更新されている。
※Norwegian Embassy in London Facebook page
http://www.facebook.com/NorwegianEmbassyUK
また、同ファンページのこれまでの投稿ややり取りを見ていると、ファンからの
質問や要望に、きちんと大使館側がコメントを返し、コミュニケーションを
とっていることが伺える。
中でもユニークだったのは、イギリスBBC(TV局)のあるコメディドラマ番組
のプロデューサーが、同大使館に、ドラマのノルウェー人のエキストラ出演者
を集めたいと相談している書き込み。これに対し大使館側も、呼びかけに協力
する旨の返信を返している。
また、今回のソーシャルメディアの活用に対し、Komodo社とノルウェー大使館
では、いくつかの方針を策定している。
1)情報の公開はなるべくexclusive(排他的・メンバーのみ公開)に
2)経済や政治のトピックスではなく、文化(アート、音楽、ファッション、
インテリア、イベント)関連のトピックスを公開する
3)使用する言葉は、「若者風。今風」を心がける
当初からターゲットとしていた、若い世代のハートをつかむためには、
「やわらかめのトピックス」を中心に、そして、同Facebookページへの
アクセスや参加を継続的に発生させるためには、情報公開や参加権限を
特定のソーシャルネットワーク内のみに制限することが肝要だと
考えたのである。
現時点でも(10月14日時点)、Facebook上ではノルウェーのミュージシャン
のライブチケットを5組に進呈するという企画を展開しており、希望者は
同投稿に対して、そのミュージシャンの楽曲から自分の好きな曲を選んで
答えることが参加資格になっている。
他にも、イギリスの人気番組、「Britain's Next Top Model」の選考過程
の中での撮影を、雪降るノルウェーの町に誘致。さらに、その模様や、選考
過程に対しての質問を、番組放映中に同番組のセレブスタイリストである
Grace Woodward氏に対して行うことができる権限を、大使館のFacebook
ファンとTwitterフォロワーに対して提供。これにより、ユーザーの関心が
一気に高まったという。
※Britain's Next Top Model Website
http://www.bntm.tv/
また、ノルウェーの著名なデザイナーである、Kristian Aadnevik氏も、
これらの大使館の動きに賛同。ロンドンでのファッションウィークの
1週前に、Facebook上でライブチャットに登場。ファンとのコミュニケーション
を行い、また同ショーへの特別招待券も進呈した。
さらに、1947年以来毎年恒例で行っている、ノルウェーオスロ市から
ロンドンスクエアへのクリスマスツリーの進呈についても、オスロ市での
ツリー伐採セレモニー、そしてロンドンでのツリー点灯式までの一連の
イベントの背景をFacebookで公開、またセレモニーにファンを招待
するといったイベントも実施予定となっている。
こうした一連のソーシャルメディアを利用したノルウェーPR戦略は、
成功をおさめ、スタート1か月でFacebookファンは以前の442%、4241人
に増加したと公式に発表されている(現時点では、冒頭の通り6200人
余りまでさらに増加)。
イギリスの若い世代とのコミュニケーションが多く図れ、また彼らの
ノルウェーに対する興味・関心の喚起、理解の促進が達成できたことも
さることながら、こうした大使館の積極的な動きに賛同し、ノルウェー
航空が無料航空券を進呈したり、オスロのコンフォートホテルエクスプレス
が宿泊券を提供するなど、民間企業もその影響力に注目し、協働し始める
という影響も出てきている。
ちなみに、去る10月10日に日本では観光庁が、「外国人観光客1万人に
日本への往復航空券を進呈」する方針を決め、その予算11億円の是非
が取り沙汰された。
※同報道があった読売新聞の記事
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111009-OYT1T00814.htm
この貴重なお金を、「生き金」とするためにも、日本の観光庁がどのような
PR戦略、ソーシャルメディアの活用戦略をとっていくのか、またその
効果と結果に注目したい。
■今号のPRの切り口■
1)
若い世代の取り込みには、ソーシャルメディアの活用が必要不可欠。
彼らの好む話題を選び、語り口調までの心遣いが肝心。
2)
「Exclusive(排他的)」であることで、リピート率(再訪率)を高める。
■今号の目ウロコ度■
4ウロコ
「What is done by night appears by day.」
=隠すより現る
■More News and Trends/Editor's Eye■
・しゃべる果物が、次なるヒット映画に?Youtube初のユニークキャラクター
「The Annoying Orange」。必見です。
http://youtu.be/ZpKzTdMSaJs
・米大リーグ「タンパ・ベイ・レイズ」のワイルドカード取得を祝い、地元の
PR会社が、社員に「1時間遅い出勤」で地元の誇りを祝うことを奨励
http://www.prnewschannel.com/2011/10/03/pr-firm-offers-employees-option-of-coming-in-hour-later-tuesday-to-thank-tampa-bay-rays-buccaneers-for-bringing-positive
-
publicity/
・英Facebookで最も人気のあるファンページは、「Burberry(バーバリー)」
http://www.utalkmarketing.com/pages/Article.aspx?ArticleID=22216&Title=Burberry_is_Facebook's_most_popular_UK_brand
■編集後記■
メルマガ読者の皆様、こんにちは。編集担当の秦泉寺です。
今回は、ノルウェー大使館のソーシャルメディア活用術をお伝えしました。
私も、Facebookユーザーですが、改めてニュースフィードを眺めていると、
最近のある特徴に気づき、また様々な取り組みに関心をもちました。
1)穴埋め型投稿で、ファンの反応を見る
例)Miller High Life(ビールブランド)
「You know you're living the high life when ______?」
例)Fage Total Greek Yogrt
「Today I'm enjoying Fage Total and _______?」
こうした答えの中から、次なるPRに使えるキャッチコピーやストーリー
などのヒントも得られそうですよね。
2)新店オープン告知と採用募集
例)Make uo forever USA
LA、NYでの新店オープンに合わせ、スタッフ採用を告知。同店の
Fanpageには「Career」タブがあり、そこから詳細閲覧、応募へ。
3)Free Giveaway(無料配布)
例)Jack in the box(米ファーストフードチェーン)
100万人にハンバーガー無料プレゼントを展開
米英では本当に、各社様々な方法でFacebookを活用しています。
日本にいると、そうしたことに気付けども、応募資格がないので
がっかりですが・・・。
再渡米の際には、ぜひ色々とチャレンジしてみたいと思います。
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