豪セントジョージ銀行の新店プロモーションが地元住人に受け入れられなかった理由(ワケ) | 【スゴい★PR】PRの本場アメリカ発 最新情報&事例

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今、戦略的にPRに取組む企業が売上を伸ばしている!
ということでPRの本場アメリカを主に海外メディアに取り上げられた最新PR事例を中心にブランディングやマーケティングの成功(時には失敗)事例をお届けしています。

※こちらは、スーパーピーアール社発行のメールマガジン「スーパー広報術」に寄稿した記事となります。

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■洪水被害者向けの救済プログラムが高評価!(1/2)
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こんにちは。林竜三です。
今週はオーストラリアからの話題です。

豪St.George Bank(セントジョージ銀行)は、オーストラリアのニューサウス
ウェールズ州を拠点として広く業務展開を行っており、ドラゴンのイラスト
がトレードマークになっています。

この銀行、ここ最近でブランディング的に成功面だけならよかったのですが
失敗面でもメディアに取り上げられてしまいました。

同銀行は、St.George Foundationという名の基金を持っていたりと、様々な
チャリティー活動や地域コミュニティサポートをこれまでも長く行ってきました。

http://www.stgeorge.com.au/

【スゴい★PR】PRの本場アメリカ発 最新情報&事例-St.George Bank



そして、(日本でも大きく報道されましたが、)昨年末からのオーストラリア
北東部、クイーンズランド州で発生した洪水被害の際にも、その被害者に対しての、
救済プログラムもいち早く発表しました。

1月初旬には同州に対して、25万オーストラリアドルの寄付を行うと発表。
さらに、「St.George’s Customer Relief Package」という、洪水被害者向けの、
救済プログラムを発表したのです。

救済プログラムでは、被害者のローン返済を一時延期したり、クレジット
カードの返済の延期、またカード利用額の増額(緊急出費や修繕・生活復興
のための用途として)等が提供されています。

このように、オーストラリア国民、また地域の住民やコミュニティに対し、
積極的な援助や関わりを持ち、その取組みが評価されている同社なのですが…。

その一方で残念ながらあるキャンペーンによって地域コミュニティから不評を
買ってしまいました。その取り組みとは、、、


■地域の歴史、住民の意識を無視したキャンペーン(2/2)
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St.George Bankでは、つい最近新店舗を、同社のおひざ元であるニューサウス
ウェールズ州のニューポートにオープンさせました。その開店を、住民に認知させ、
また来店並びに顧客化を促すためのキャンペーンを行いました。

そのキャンペーンは、ニューポートの路上に、同社のキャラクターでもある
ドラゴンの足跡、矢印とメッセージをステンシルで描き、住民は、それをたどり
ながら宝探しができるというもの。

最終的には、同社が新規オープンした店舗にたどり着くという仕掛けでした。

▽路上の実際のステンシルの写真



【スゴい★PR】PRの本場アメリカ発 最新情報&事例-ステンシル


これだけ聞くと、遊び心があるなかなか面白いマーケティングキャンペーン
と思えるのですが、同社がある重要なポイントを見逃していたために、この
キャンペーンに対して、住民からの批判が出てしまいました。

実は、このニューポート、何年も道路や街が整備されない状況が続いていた
過去があり、住民の長年にわたる強い働きかけにより、街に美しいパーム
ツリーが植えられた舗道がようやく整備されたという歴史があったのでした。

そういう背景のもと、当然住民たちはこの美しい舗道を誇りに思っていたため、
今回のキャンペーンで、その誇りを「汚された」と彼らに捉えられてしまいました。
路上に描かれた同銀行のステンシルを足で消そうとする住民も多数いたようです。

地域コミュニティの一員として、企業活動を行うことは必要不可欠であり、
そのために同社は様々なチャリティ活動を展開してきました。

今回のキャンペーン、中身自体はなかなか面白い仕掛けだと思うのですが、
その地域の歴史や住民感情に配慮し、溶け込むための準備が不足していた
ために不評を買ってしまう羽目になりました。

ニューポート住民にとってはKYなキャンペーンになってしまったようです。

☆──[ここがポイント]────────────────────┐

│ 1.継続的にCSR活動に取組む。           
│ 2.わかりやすい絵作り(ビジュアル)で話題をつくる。    
│ 3.地域の一員としてその歴史や住民感情に配慮する。     

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