【今週の真似したいPRの切り口 FROM US】
去る4月14日に、ある衝撃的かつ低俗なビデオがYoutube上に投稿され、
アメリカで話題になった。
それは、Domino's Pizza(以下:ドミノピザ)の実際の従業員による、自作
自演のビデオだ。そしてその内容は、実際の店舗のキッチンスペースで、2人
の従業員が、非常に不衛生な状態でイタリアン・サンドウィッチを調理して
いるものだった。
この不衛生な状態というのは、清掃が行き届いていないとか、企業や店舗側
の落ち度によるものではなく、当の2人が、いったん鼻に入れたチーズを
調理につかったり、おならをかけたサラミを利用したり…といった、ある
まじき行き過ぎた行為を行って、生み出されたものだった。
このビデオは、4月13日の日曜日に撮影され、翌月曜日に投稿。そして、
このビデオが水曜日に完全に削除されるまでに、100万回以上も閲覧され、
またブログやSNSなどを通して、瞬く間に全米に広まった。
このビデオの真偽のほどはさておき、人々に与えた衝撃と、ドミノピザが
受けたブランドイメージダウンは計り知れない。
では、ドミノピザはこの危機にどのように対処したのか?
まず、同社では社のセキュリティ部門に命じて、問題の2人の従業員の
特定を急いだ。また一連の事件の事実確認を行った。その結果、2人の
実在する従業員が明らかになり、翌火曜日の朝には彼らは解雇された。
また、その後、彼ら2人は実名を公開され、禁止食物を配布した罪で
逮捕となったのだ(ノースカロライナ州のクラスⅠに相当する重罪)。
さらに、ドミノピザは、問題のビデオが公開されたYoutube上にCEO自らの
コメントおよび謝罪ビデオを投稿。
そのコメントの中で、今回の1件は、問題の2名の従業員によって、当該
店舗で、今回限り発生したことで、ドミノピザではこのようなことは二度と
発生しないと述べている。
また、合わせてカスタマーのドミノピザに対する変わらぬ信頼への感謝、
そして今回の一連のウェブ上でのネットユーザーの動きに対する謝辞も
述べられていた。
※Youtube上のCEOによるコメントビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=7l6AJ49xNSQ
というのも、今回のビデオ。一度アップロードされた後、ほどなくして削除
されたのだ。しかし、あまりにもひどいビデオの内容に怒ったネット
ユーザーが、卑劣な行いをした犯人をあぶり出すために、再度アップロード
したのだ。そして、結果として2人の犯人が明らかになり、断罪されること
になった。
無論、ネットユーザーが犯人をあぶり出しただけではなく、先述のとおり
ドミノピザ内部でも徹底した迅速な調査が行われた。しかしドミノピザでは、
ウェブによる危機に晒されたマイナス面だけではなく、逆にウェブの恩恵も
そこには多分にあることをきちんと示したのだ。
そして、今回の一件を見逃せない問題として、多くのネットユーザーが捉え、
ドミノピザを救おうとした行為は、翻ってドミノピザへの信頼感、ブランド
価値の高さを示しているのだ、とCEOは解釈し、コメントしたのである。
また、同時にSNSサイトTwitter上にもドミノピザのオフィシャルページを
解説し、消費者とのコミュニケーション、同社からのメッセージ発信を
開始した。
※Twitter上のDomino Pizzaのオフィシャルページ
http://twitter.com/dpzinfo
さらに、同社のHP上にも同じく謝罪ビデオがアップロードされ、下記のような
コメントとともに公開されている。
「The opportunities and freedom of the internet is wonderful.
But it also comes with the risk of anyone with a camera and
an internet link to cause a lot of damage, as in this case,
where a couple of individuals suddenly overshadow the hard
work performed by the 125,000 men and women working for Domino’s
across the nation and in 60 countries around the world.
We apologize for the actions of these individuals, and
thank you for your continued support of Domino's Pizza.」
※Domino's Pizza ホームページ上のコメントおよびビデオ
http://www.dominosbiz.com/Biz-Public-EN/Extras/Cares/
ビデオの投稿に同社が気づいたのが、月曜日の夜。その後、これら一連の
対策を、翌2日間の間に迅速に行ったのだ。
その結果、ドミノピザに無論ダメージがまったくなかったとは言えないが、
総じてカスタマーからは同情と、そして同社に対する好評価を得る結果と
なったのだ。
また、「Damege Control」の著者で著名な危機管理の専門家である
Eric Dezenhall氏も、今回のドミノピザの対応について、高い評価を
与えるコメントを発信している。
特に、きっちりと事実関係を明らかにし、対処を決定(一部実施)して
から、カスタマーに対しわかりやすい「説明」を行った点が優れている
と述べている。
このような危機は、いつふってわくかわからないものであるが、ドミノピザ
のように迅速に、かつ適切な対処を行うことで、逆にカスタマーの更なる信頼
を勝ち得ることも可能なのだ。
また合わせて、日ごろからカスタマーのブランドに対する信頼を得て
おくことの重要性も示唆している。
【今週の目ウロコ度】
3ウロコ
「雨降って地固まる」科目
雨の降った後は以前にも況して地面が堅固になるということから、
変事の後は、却って事態が落ち着いて、基礎が固まる、或いは、
以前より良い状態になるということ。
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【編集後記】
【スゴイ★PR】編集担当の秦泉寺 明佳(じんせんじ さやか)です。
企業の危機発生時の対応は、その後の企業経営を左右する本当に重要な
ポイント、局面だと思います。
日本でも一連の企業の不祥事後の対応の差異によって、その後の消費者
が持つイメージや、ブランドへの信頼感に大きな影響を与えた例は少なく
ありません。完全にブランドを失ったところもあれば、その誠実な対応
によって、徐々に顧客の信頼を回復し、またよりその基盤を強くした
企業もあります。
そして何よりも、今回はネット住民が自発的に犯人探しに乗り出して
くれたように、日ごろからいかにカスタマーの信頼を勝ち得ておくのか、
その大切さに気づかされました。
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○/ 「社長さ~ん、PRですよ~」
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