【今週のHOTニュースFrom the USA】
2008年民主党全国大会を、同大会のスポンサーである米大手携帯電話事業者が自社PRの好機として積極活用!
携帯電話リサイクルの推進と社会的弱者をサポートするCSR活動を行う 同社の姿勢をPRしたその経緯とは!?
【今週のサマリー】時間の無いアナタはここだけチェック!
米大手携帯電話事業者、ベライゾンワイヤレス社が民主党全国大会のスポンサー&オフィシャルプロバイダーのポジションを効果的に自社の存在感アップと企業活動・姿勢のPRの場として有効活用した。
米国民の絶大な注目を集める今回の大会を好機と捉え、同社が行っている携帯電話リサイクルの啓蒙と「エコのために毎日実践できること」を発表し、代議士はじめ世間に広く訴えたのである。
その結果、同社が2001年から地道に行ってきた、携帯電話のリサイクルと家庭内暴力の被害者をサポートする活という同社のCSR活動を世間に認知・PRさせることに成功した。
民主党全国大会には、同社だけではなく数多くのスポンサーや様々な設備やサービスのオフィシャルプロバイダーが存在していた。しかし、同社のようにそのポジションを自社PRの機会として、主体的かつ積極的に利用した企業は他に無い。
人々の関心が無条件に集まる場を効果的に利用し、「社会貢献のためにスポンサーになりました」というだけでなく、その場を自社の企業姿勢やひいてはサービスのPRに結び付けた点にアイディアがあった。
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【ニュースの裏側】
アメリカでは11月の大統領選挙に向けて、民主党・共和党ともに党候補者の最終指名の時期を迎えた。
民主党は、先月25日から28日にかけて、コロラド州デンバーで党全国大会を開催し、オバマ氏が正式に党の指名を受けた。また、共和党の全国大会は、ミネソタ州ミネアポリスでちょうど1日から始まったばかりだ(4日まで)。
この全国大会、言わずもがな大規模なものである。民主党大会には、4000人を超える代議士が集まり、オバマ氏の指名受諾演説には7万人の聴衆が詰めかけた。また党の支持者やスタッフ、ボランティアなど大会の関係者もかなりの数にのぼる。そして無論、メディアを通して全国民の関心を一手に集めている。
そんな注目度の高い大会だからこそ、その場を上手くPRに活用しない手はない!と考えたのが、今回の「Verizon Wireless社(ベライゾンワイヤレス社)」である。
ベライゾンワイヤレス社は、米ニュージャージー州Basking Ridgeに本社を置く、携帯電話事業者(キャリア)である。ベライゾンコミュニケーションズと英ボーダフォンの合弁会社であり、6870万人の加入者(米第二位)、通話エリアは全米最大規模をカバーし、社員数7万人の一大企業である。
では、同社は何を世間にアピールしようとしたのか?自社の3Gワイヤレスサービスか、そのエリアカバー率の広さか、携帯電話の新商品だったのか?
同社は、今回の民主党全国大会のスポンサーであり、またofficial web hosting providerとして任命されており、同全国大会のウェブサイト管理など一切を請け負っている。ちなみに、業界第1位のAT&T社はofficial wireless service providerとなっている。
そこで、同社はさらに効果的に自社の存在感と企業姿勢をPRしようと今回の大会のタイミングを利用して、「携帯電話リサイクルの啓蒙とエコのために毎日実践できること」を発表し、また自社のCSR活動の認知を図ったのである。
ちなみに、なぜ今回の民主党全国大会を環境保護に関係したCSR活動をPRする機会として捉えたのか?
そこにはこんな理由があった。
実は今回の民主党全国大会のテーマとなっていたのは、「Greenest Political Gathering in History」なのである。即ち、歴史上最も「グリーン」で環境に配慮した大会として開催するということだったのである。そのため、開催地となったデンバーでは、市民団体や地元企業、ホテル、レストランなどを巻き込んで、様々なトライアルが実行された。
たとえば、レンタサイクルを提供し、自動車の利用を控えさせる試みであったり、とあるホテルではプラスチックカードキーの利用を廃止したり…といった具合である。そう、そんな「エコ」な大会だったからこそ、スポンサーかつオフィシャルプロバイダーであるベライゾンワイヤレス社も、自社の「エコな姿勢」をアピールするに絶好の
タイミングと考えたのである。
また、ベライゾンワイヤレス社が「エコな姿勢」のアピールに強い問題意識を感じていたのには理由がある。
それは、日本でも問題として取り上げられているが、「携帯電話のリサイクル(回収)が容易に進まない」ためである。携帯電話のリサイクルについては下記のような調査結果が出ている。
※2008年7月 世界13カ国6500人への意識調査 (フィンランドNOKIA社が実施)
13カ国:フィンランド・ドイツ・イタリア・ロシア・スウェーデン・
イギリス・アラブ首長国連邦・ナイジェリア・インド・中国・
インドネシア・ブラジル
Q:携帯電話のリサイクルについて考えたことがあるか?
A:考えたことがない…74%
Q:使わなくなった携帯電話をどうしているか?
A:そのまま放置している…44%
※平成19年度携帯電話の利用に関する意識調査(社団法人電気通信事業者協会
TCA)及び情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が実施)
Q:携帯電話・PHSのリサイクルに関する認知度は?
A:54%
日本でも、全国の通信事業者や製造メーカーの10400店舗で回収を行っているが、その回収台数は年々減少傾向にある。平成12年度に13615台回収だったものが、直近の平成19年度には6443台まで半減している。
この理由には、「コレクションや思い出として残したい」という利用者の意向が大きく作用しているといわれているが、「エコ」の観点からすれば、リサイクルが進むことが望ましい。また、レアメタルの再利用の点からも
事業者側は回収を促進したいのである。
ベライゾンワイヤレス社では、この携帯電話の回収・リサイクルを自社の別のCSR活動と結びつけて展開している。
そのCSR活動は「Hope Line Phone Program」と呼ばれるもので、2001年からスタートしている。この活動は、ベライゾンワイヤレス社のワイヤレスサービスとその機器を、家庭内暴力の被害者をサポートするために提供する
というものである。その運営システムは下記の通りだ。
※Hope Line Phone Program
①使用しなくなった携帯電話、バッテリー、周辺機器を回収
(どこのメーカーでもOK)
②①をリユース&リサイクルして再商品化・販売
③②の収益を、家庭内暴力の被害者をサポートする団体等へ活動資金
として寄付
④②の収益で、家庭内暴力の被害者へ、団体を通じ同社の携帯電話と
無料通話時間を提供
すなわち、携帯電話事業者の責務でもあり、また環境保護に貢献するための携帯電話のリサイクル活動を行い、その収益により家庭内暴力の被害者をサポートしていくというCSR活動を実に見事に結びつけて行っているのである。
この環境保護と弱者サポートという2つのCSR活動を上手に結びつけたアイディア・企画力にはヒントがありそうだ。さらに、そんな2001年から地道に続けていた活動を、より世間にPRするための好機を上手く捉えることが
できたことも成功のポイントであろう。
また、ただ、大会のオフィシャルスポンサーになり、ロゴの入った印刷物や掲示物、商品・サービスの告知が会場内外で見られるだけというような受け身かつありきたりな手法ではなく、より効果的にこの機会を利用できないかと考え、積極的に活用・実践したところが面白い。
最後に、今回の民主党全国大会に合わせてベライゾンワイヤレス社が提案した、「エコのために毎日できること」を紹介したい。
1:Sign up for the Green Bill
携帯電話の毎月の利用明細を紙から、WEB明細に切り替えよう!
2:Unplug your charger when it’s not in use
使用後は、充電器のプラグを抜こう!
3:Download or preload directions in VZ Navigator(SM) to save
fuel when travelling
旅行時の使用燃料を減らすためにも、電話にVZナビゲーションを
ダウンロードしよう!(VZナビゲーションは同社が提供する携帯用
ナビゲーションシステム)
4:Work from home---or elsewhere---with 3G wireless
ハイスピードの3Gワイヤレスサービスを活用し、モバイルオフィス
を作り、ガソリンの節約や、その他の移動関連コストを節約しよう!
しっかりと自社のサービス利用の促進も盛り込んである(笑)。
今回のPR活動の結実によって、携帯電話のリサイクルが促進され、社会的弱者のサポート活動をさらに強化でき、自社の企業姿勢・事業内容の認知向上に結び付けるだけでなく、願わくばサービス利用者の増加とサービス利用枠の拡大をも図りたい、そんな企業の意図も見え隠れしている。
業界1位のAT&T社には、民主党全国大会を利用しての目立った活動は見られないが、同2位のベライゾン・ワイヤレス社の地道な活動と今回の好機を捉えたPR活動に足元を脅かされてはいないだろうか?
スポンサーとなったことだけに満足せず、それを最大限に活用していく姿勢こそ大切である。
【PRの切り口】
企業が自社の行っているCSR活動をどのように世間に認知してもらうのか、なかなか難しい。HPや会社案内で紹介しているだけでは、積極的に活動を世間にPRしているのとはほど遠い。
ベライゾンワイヤレス社は、今回の2008年民主党全国大会という絶好のタイミングと場を利用して、自社が展開してきた携帯電話リサイクルの啓蒙を行い、また「エコのために毎日実践できること」を発表し、自社のCSR活動の認知を図ったのである。
多くの人々の関心が集まった大会であり、自然とメディアの注目度も高く、また報道される可能性も高い場面なのである。さらに、民主党全国大会のテーマであった「Green(環境保護)」ときちんと関連した内容をPRした点も、同社が同大会のスポンサー企業である理由づけと、その企業意識の高さを印象付けるに恰好の手法であった。
CSR活動を行っている、スポンサー企業になった…その事実だけでは、なかなか世間に認知されることは難しく、その結果企業イメージの向上に結び付けることも容易ではない。どちらも、その事実からがスタートなので
ある。たとえばスポンサー企業に平等に与えられた機会を、「好機」として活用できるかどうかは、企業の力量とアイディア次第なのである。
【今週の目ウロコ度】
4ウロコ
「当意即妙」科目
【編集後記】
【スゴイ★PR】編集担当の秦泉寺明佳(じんせんじさやか)です。
先日のオリンピックでも、様々な企業がスポンサーとなっていましたよね。
該当企業(商品)のTVCMにオリンピックのロゴが現れ、また商品のパッケージには、ひっそりと「●●は北京オリンピックのオフィシャルサポーターです」などと記載されていました。
ただ、いつも思うのです。
「スポンサーだから、サポーターだから、だから何なの?」
企業の意図はどこにあるのか?なぜサポーターになったのか?それによって何を実現したいと思っているのか? ただ大きな大会や有名なイベントに「乗っかっている」だけ?
そんな背景をきちんと説明してくれると、本当の意味でスポンサー企業を理解することができ、私の心の中に、その姿勢やサービスが一つの「価値あるもの」「ブランド」として留め置かれると思うのですが…。
※ブログも好評(?)更新中 http://ameblo.jp/editorsayakajinsenji/
【PR会社のPR】
○/ 「社長さ~ん、PRですよ~」
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/> 「良い商品なのに思うように売れない。どうしたら売れるのか?」
「会社のブランド力を向上するために何ができるの?」
「せっかくの新商品、雑誌やTVで紹介してもらいたい!!」
→企業と社会、人のコミュニケーションを創造しています
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