世界最大手の航空会社が自社の機体をピンクリボンでラッピング?その真意と緻密な戦略とは!? | 【スゴい★PR】PRの本場アメリカ発 最新情報&事例

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今、戦略的にPRに取組む企業が売上を伸ばしている!
ということでPRの本場アメリカを主に海外メディアに取り上げられた最新PR事例を中心にブランディングやマーケティングの成功(時には失敗)事例をお届けしています。

【今週のHOTメラメラニュース From the USA】


 世界最大手の米航空会社が、「ピンクリボン」で自社の航空機をラッピング!?
その粋な贈り物は誰のために?そしてどんな目的があっったのか!?


【今週のサマリー】時計時間の無いアナタはここだけチェック!


 米アメリカン航空が、乳がん撲滅運動を展開する組織とのパートナーシップとその支援策を発表するセレモニーを行った。


 これが、単に「パートナーシップ発表記者会見」というお決まりの、さして目立たない数あるニュースにならなかったのには、アメリカン航空の思い切った支援策の内容と、そのセレモニーの企画・演出力にあった。


 アメリカン航空は、同組織への8年間800万ドルの寄付と、特別のマイレージ&寄付プログラムを申し出た。また、同社の航空機をも提供したのだ。

 飛行機の機体を広告宣伝の媒体として利用することは、1990年代半ば以降、世界各国に広がった。今回、アメリカン航空は自社の機体を、パートナーシップの象徴として、また自社のCSR活動のPRとして、セレモニーの場を、より「絵」としての完成度の高いものにするために利用したのである。


 乳がん撲滅、乳がん患者のサポート等の運動のシンボルは、「ピンクリボン」。


 アメリカン航空の装い新たな航空機は、同社のブランドカラーである、レッドとブルーに、このピンクのリボンを絡めたデザインで、セレモニーの場に颯爽と現れたのである。「ニュース」として、メディアに取り上げてもらうために、自社の資産を生かし、最大のインパクトがある「絵」を提供したところに、今回の企業PRのアイディアがある。



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【ニュースの裏側目


  世界最大の航空会社、「American Airlines(アメリカン航空(兄弟会社American Eagle(アメリカンイーグル)を含む)」が、「Susan G. Komen for the Cure」とのパートナーシップのより一層の強化と新しい支援プログラムを大々的なセレモニーを行い発表した。


 「アメリカン航空」と言えば、米国テキサス州フォートワースを本拠地とするワンワールドグループの雄であり、その社名を知らない人はいない世界屈指の航空会社である。1日1800便を超えるフライトがあり、米国を拠点に
159都市に路線を所有している。



 ※American Airlines Official Website : http://www.aa.com/



 では、その「生涯を約束する」までのパートナーシップを結んだ、「Susan G. Komen for the Cure」とは一体どんな企業・組織なのか?


 「Susan G.Komen」とは、1982年に若くして乳がんで亡くなったある一人の女性の名前である。彼女の姉が、妹の遺志を継ぎ、乳がんと闘う人々をサポートし力づけ、適正な治療が受けられる環境や機会を整え、また人々の乳がんに対する認知や理解を高め、乳がん治療の研究を進め、そして乳がんをこの世から根絶したいという思いのもとに設立した組織が、「Susan G. Komen for the Cure」なのである。


 今日では、世界でも最も大きな草の根のネットワークとなっている。彼女たちは、1983年にスタートした「The Komen Race」などのランニングイベント等の開催や、様々な寄付の呼び掛けなどを通して、10億円以上の基金を組織が掲げる崇高な目標を達成するために投資をしてきた。



※Susan G. Komen For The Cure Web site : http://www.komen.org/



 実は、アメリカン航空と同組織のパートナーシップのスタートは、この「The Komen Race」の記念すべき第1回、1983年のダラスでのレースのスポンサーとなったことにそのきっかけがある。レースは、2008年の今年
25周年を迎えており、組織にとって記念すべき年なのである。


 また、アメリカン航空は、1988年からは同レースのナショナルスポンサーとなり、レースの公式エアラインとしてそのパートナーシップをスタートし、強固な関係を維持してきた。パートナーシップは今年で20周年、そうこの記念すべき年に、アメリカン航空は、同組織とのさらなるパートナーシップ強化と活動支援を自社のCSRとして決定し、そしてそれを効果的に発表するための施策を講じたのである。



では、どのように効果的に発表を行ったのか?



 アメリカン航空、Kome for the Cure及び、The University of Texas M.D. Anderson Cancer Center(テキサス大学 アンダーソンがん研究センター)の3者が一堂に会し、パートナーシップ契約発表のセレモニーの
場を設けた。


 今回のパートナーシップの主な内容は下記のとおりである。


①「Susan G. Komen For The Cure」が、「アメリカン航空」を、 同組織初の「生涯パートナー」として発表


②「アメリカン航空」から組織への、今後8年間で800万ドル超の基金提供 (このうち、750万ドルは、M.D. Anderson Cancer Centerでの、IBC(inflammatory breast cancer(炎症性乳がん))研究の費用として充填される)


③「Miles For The Cure」プログラム


④自社の航空機体を、「Pink Ribbon Logo Jet」として提供



 一つずつ簡単に説明しよう。


 まず、様々な支援を受けてきた「Susan G. Komen For The Cure」は、その長きにわたるアメリカン航空のサポートとその今後の継続意思を称え、「Lifetime Promise Partner(生涯を約束するパートナー)」と呼び
讃辞を送った。


 この結果、アメリカン航空の自己満足に終わらない、「感謝され、必要とされるCSR活動」を行っていることを、客観的に知らしめることに成功している(①)。


 具体的なアメリカン航空による組織への新たな支援策として、乳がんの中でも発見が難しく、致死率の高いIBC(炎症性乳がん)研究の費用負担を申し出た。そこには、地元テキサス大学の著名ながん研究センターが
研究機関として選ばれ、地元へのアピールも忘れていない(②)。


無論、機関の研究技術が素晴らしいからでもあるのだが…。


※The University of Texas M.D. Anderson Cancer Center Web Site:
http://www.mdanderson.org/



 さらに、日本でも人々の関心が高い航空会社の「マイレージプログラム」を、同組織への基金を集めるための独自マイレージプログラムをスタートさせた(2008年12月末まで)。このプログラムは、、「Miles For The Cure」と呼ばれ、1ドルを寄付するごとに、アメリカン航空のマイル(AAdvantage Bonus Mile)5マイルがもらえるというもので、オンラインから寄付ができる仕組みだ(③)。


 そして、最後の航空機をピンクリボンでラッピングして提供したという、アメリカン航空の行為。これが、面白い。
 

 先述のとおり、アメリカン航空は過去20年間、同組織が主催するレースの公式エアラインとしてスポンサーを務めてきた経緯がある。そしてそれは今後も同様に継続するのであるが、その強固なパートナーシップと、アメリカン航空は献身的に組織の活動をサポートしますという意思を表現する手法として、同社の命でもある自社の航空機に、同組織のシンボルである「ピンクリボン」のペイントを施したのだ。
 機体のノーズから尾翼部分まで、アメリカン航空の赤と青のラインに沿うように、絡むように、まさしく「生涯をともにする」イメージで、である(④)。
 


 ちなみに、余談ではあるが、航空機の機体を広告・宣伝・PRの媒体として使用し始めたのは、たった15年ほど前のことである。


 米国のWestern Pacific航空(1998年に倒産)が、「Logo Jet」と称してテーマ―パークやカジノなどの広告を機体にペイントすることを始めた。


 また、他社の広告を掲載するのみではなく、自社のキャンペーン等のPRや自社ブランドコピーなどを掲載することもあったようだ。その後、世界の航空会社に広がり、日本でも全日空のポケンモンジェットや日本航空のムシキングジェットなど、子供から大人まで多くの注目を集めてきた。


 また、日本航空では自社の機体には「We support UNICEF」の文字を入れて、自社のCSR活動をPRしている(あまり目立たないですが…。ちなみに、「UNICEF Logo Jet」として有名なのは、Norwegian Air Shuttle社)。


 さて、今回のセレモニーの場所に選ばれたのは、米ダラス、フォートワース空港。


そう、それはこの「ピンクリボンジェット」の就航の場であったからである。今回のパートナーシップを象徴する「ピンクリボンジェット」を、アメリカン航空の本拠地でメディアを通じ人々にPRしたのである。パートナーシップを発表する。そして、そのすぐ背後には、実物の「ピンクリボンジェット」。


 パートナーシップの内容自体も、その援助額も含め大規模なものであるが、それをさらに「ニュース」として、メディアに取り上げてもらうために、自社の持てる最大の武器を生かし、最大のインパクトがある「絵」を提供したところに、今回の企業PRのアイディアがあり、高い演出力を感じる。




【PRの切り口】


 性能がどんなに優れた商品も、画期的なサービスも、意義のある企業活動も、ただそれを作り、行っただけではなかなか「ニュース」としてメディアに取り上げられることはないし、また取り上げられ、浸透するまでに時間が
かかってしまう。


 今回のアメリカン航空の仕掛けは、「乳がん撲滅運動を支援するという自社のCSR活動」という「コンテンツ(中身)」を、どのように「発信」すると、コンテンツがもっと生きるのか、そしてそこに注目と関心を集められるのかにフォーカスし、完璧な「メディア発表の場」を作り上げた。(無論、「コンテンツ」にも相応の価値がなくてはならないが…)


 コンテンツを作りこみ、発表の場所として「空港」を選び、文書で(口で)取り組みを発表するだけにとどまらず、絵で(目で)その内容を理解してもらう仕掛けを行い、そこに「シンボリックな飛行機」を用意した。


メディアが取り上げたくなる、「絵になる素材」「話題性のあるコンテンツ」そして、「衝撃(インパクト)」を与えるという、基本的なことではあるが、忘れてはならない「やるべき」PRの手法である。
 


【今週の目ウロコ度】


4ウロコ

フグフグフグフグ

「目は口ほどに物を言う」科目
 


【編集後記】



 
【スゴイ★PR】編集担当の秦泉寺 明佳(じんせんじ さやか)です。
 
 自社の資産を生かしての企業・商品PR。そう考えると、様々なところで応用できそうですよね。当たり前と言えば、トラックなどを利用する事業では、トラックに自社のロゴ、サービス、電話番号をペイントしますよね。なんと
なく、目にしているのですが、いつの間にか頭に刷り込まれていることもしばしばです。もう一度、自社の資産を見なおしてみても良いかもしれませんね。


 また、同じ商品であったとしても、その包装、ディスプレイ、付与されたコメント、見せられた場所など様々な要素によって、「良くも」「悪くも」感じられます。人間なんてそんなものです。メディアでニュースを探す人も、ニュースを見る人も、みんな感情を持った「人」ですよね。

 その「感情」や「琴線に触れる」PR手法(演出といっても良いかもしれません)を考え、実行していくことが私の仕事なんだわ…と改めて感じました。


 
 ※ブログも好評(?)更新中 http://ameblo.jp/editorsayakajinsenji/


【PR会社のPR】


○/ 「社長さ~ん、PRですよ~」
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/> 「良い商品なのに思うように売れない。どうしたら売れるのか?」
「会社のブランド力を向上するために何ができるの?」
    「せっかくの新商品、雑誌やTVで紹介してもらいたい!!」
           
     →企業と社会、人のコミュニケーションを創造しています
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