【今週のHOTニュース From the USA】
サンフランシスコベイエリアで、「公共交通機関でタダ旅」キャンペーン開催!
官民の足並み揃った連携プレーが、サンフランシスコ市民の環境意識を変える?
【今週のサマリー】時間の無いアナタはここだけチェック!
サンフランシスコベイエリア大気環境管理地区(BAAQMD)が同エリアの都市公共交通機関協会(MTC)とタッグを組んで、「公共交通機関でタダ旅」キャンペーンを実施した。30社の官民輸送機関を巻き込んだ一大イベントだ。
ベイエリア市民の「大気環境保全」への意識がなかなか高まらない中で、従来から展開している「空気を節約しよう」キャンペーンをさらに浸透させる起爆剤として、一日限定で実施したのだ。
BAAQMDは「官」の団体であるが、今回のキャンペーンのオーガナイズを通して、同団体の存在価値を社会に示している。「税金の無駄遣いだ」と批判されることも多い公共団体であるが、「何のために、何をしているか」を「目に見えて、体感できる形」で、社会にPRすることでその批判をサポートに変えることができたのである。
市民にわかりやすく「メリット=タダ」が還元されたことも、興味を喚起し、支持を取り付けた大きな勝因だったと言える。
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【ニュースの裏側】
サンフランシスコのベイエリアといえば、全米第五位の経済活動を誇る地域だ。主要都市はサンフランシスコ、サンノゼ、オークランド等である。
また同エリアは、早くから大気汚染対策へ取り組んできたことでも有名である。
1955年には、Bay Area Air Quality Management District(BAAQMD:カリフォルニアベイエリア大気環境管理地区、以下BAAQMDと表記)が設立された。その名の通り、ベイエリアの大気環境の観察・保護を目的としている地方機関で、大気汚染物質の測定や大気汚染予報の発信、様々な環境調査を行っている。
同機関は、サンフランシスコを含む、湾岸地域の9つの郡(Alameda ,Contra Costa ,Marvin ,Napa ,San francisco ,San mateo ,Santa Clara ,Solano ,Sonoma)の代表者22名のディレクターをトップとし、従業員は300余名に及んでいる。
※ベイエリア大気環境管理地区 http://www.baaqmd.gov/index.htm
さて、このBAAQMDは地方機関なのであるが、その活動内容は積極的で面白い。
去る6月19日には、Metropolitan Transportation Commission(MTC)と共催し、「free trip on transit」つまりは、「公共交通機関でタダ旅」キャンペーンを仕掛けたのだ。この日は、同地域の公共交通機関のうちなんと30の機関の利用料が「タダ」なのである。
想像してみて欲しい、東京近郊の30の公共交通機関がタダで利用できる!!
有給でも取って、ミニトリップでもしてみようかという気になる。
ではなぜ、ここまで思い切ったキャンペーンに踏み切ったのか?
そこにはこんな背景が・・・。
実は「大気汚染対策」に関するBAAQMDの施策はこれが初めてではない。
ベイエリア地区の住民に、大気汚染の影響を伝え、彼ら一人一人がベイエリアの大気環境保護に対しアクションをするように啓蒙活動を行ってきた。自動車は、同エリアの最大の大気汚染と温室効果ガスの原因であり、公共交通機関の利用は汚染を減少させるために、市民が毎日できる活動なのである。
啓蒙活動のひとつは、「Spare the Air(summer)」。これは、エネルギー消費が多くなる夏の間で、大気汚染濃度が一定以上に上昇する日を、「空気を節約しよう」という日に設定しているのだ。 同日には、ラジオやTVを通して車の相乗りや公共交通機関・自転車の利用を呼びかけている。また、ガソリンを使用する芝刈り機や、引いては家庭のヘアスプレーなどあらゆる大気汚染物質を放出するアイテムの利用を控えるようにアナウンスするのである。
もう一つのプログラムは、冬に実施される「Spare the Air Tonight(winter)」、「空気を節約する夜」だ。なぜ「冬の夜」なのか?それは、住人が暖炉や薪ストーブで木材を燃やし、その煤煙が煙突から大気中に排出されるからである。
薪ストーブと言われると、勝手に「エコ」なイメージを持ちそうになるが、意外にその環境負荷は小さくないのである。そこで、「空気を節約する夜」には、薪ストーブの使用を控えるように、TVやラジオからアナウンスが流れてくるのだ。
ちなみに、ニュージーランドの自治体では、大気汚染問題から、薪ストーブの設置には許可が必要なところもある。
しかし、こういった「キャンペーン」では、継続すればするほど、人々の関心を高いレベルで保っていくことは難しくなる。カーラジオから流れる情報も、ごく自然にBGMのごとく聞き流されてしまうのだ。これでは、せっかくの施策も「ただ行っているだけ」になってしまう。
日本では、こういったほとんど「死に体」な施策やキャンペーンがゴロゴロしているような気がしますが・・・。
BAAQMDは黙って「死に行くキャンペーン」の有り様を眺めてはいなかったのだ。
「もう一度、住人の関心を高めるにはどうしたら良いのか?」
「公共交通機関の利用を強く印象付けるには?」
そこで登場したのが、「Free trip on transit」なのである。同キャンペーンにはベイエリアの主要な公共交通機関(鉄道、バス、フェリーなど)が参加している。サンフランシスコと言えばすぐに浮かぶ「ケーブルカー(サンフランシスコ市営鉄道(愛称muni(ミュニ)))」もこの日は「タダ」で乗れてしまう。ベイエリアバスとライトレールシステムは終日無料。その他の交通機関も、正午12時までは無料で利用可能だ。
サンフランシスコのベイエリアでは、自動車が最大の大気汚染と温室効果ガスの原因である。そのため、住人一人一人が車の使用を控え、公共交通機関を利用することは、毎日できる環境改善活動の一つであり、その効果はちりも積もって大きなものとなる。
要は、「公共交通機関の利用」を人々に習慣づけてしまえば良いのだ。
その「きっかけ」が今回のキャンペーンであり、結果としてTipping Pointとなり、既存のキャンペーンへの波及効果を生むこと期待している。
また、今回のキャンペーンに参加した企業は、各社のHPで「Free trip on transit」を紹介。「乗ってね」「利用してね」「私達は環境にやさしい企業です」とアピールに余念がない。
住人の環境教育を推進し、環境保全活動を行い、参画企業の利用者獲得につなげた、BAAQMD。公的機関ならではの調整能力を発揮し、横断キャンペーンを実現させた働きは素晴らしい。
【PRの切り口】
公的機関に求められる役割とは何なのか?商品や民間企業だけでなく、公的機関も存在するためには、その理由とそれだけの価値が必要である。
今回、BAAQMDは、キャンペーンを通してその説明責任を果たしている。民間企業と地域社会を上手に巻き込んで、なおかつBAAQMDの存在感を示している。
当たり前の行動ではあるのだが、それさえも満足にできない日本の公的機関が多いことも事実。具体的に、「何のために、何をして、その結果、何を生んだのか?」をきちんと社会に発信してくことが必要である。
また、わかりやすく「社会(特に個人)」にメリットを還元する仕組みを盛り込むことで、好意的に受け止められる土壌ができる。
【今週の目ウロコ度】
3ウロコ
「縁の下の力持ち」 科目
【編集後記】
もう一点。私自身が情報や材料をインプットするための、スイッチをオンにしているのか?と不安になりました。情報を得ようとしているのか? 多くの人が、「無関心」なのではないでしょうか?まずは、そんな私たちに
「関心」を持たせる術を考え、実施し、そして効果的な施策を打つことが必要なのかもしれませんね。
※ブログも好評(?)更新中 http://ameblo.jp/editorsayakajinsenji/
【PR会社のPR】
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【スゴイ★PR】編集担当の秦泉寺(じんせんじ)です。
私達の税金を、無駄にはしないでいただきたいですよね。今回のニュースでしばらく前に、 行革担当大臣さんと、政治家・官僚の方たちとの間で一悶着あったことをふと思い出しました。数多の機関が、何をやっているのか、何のために存在しているのか、やっていることに本当に意義はあるのか?…わからないんですよね。無論、全てが無意味な機関や行為ではないのだとは思います。ただ、判断する材料が無いんですよね。