米国ビール会社が、蜜蜂の失踪に関わる研究のサポートで自社ビールをPR! | 【スゴい★PR】PRの本場アメリカ発 最新情報&事例

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【今週のHOTメラメラニュース From the USA】


「米国のビール会社が、CCD(Colony Collapse Disorder 蜂群崩壊症候群)研究のサポートキャンペーンを通しして、自社商品をPR!? 
~Save The Honey Bee Program~」


【ニュースの裏側目


米国のあるビール会社が、CCD(Colony Collapse Disorder 蜂群崩壊症候群)研究のサポート活動をスタートした…こう聞くと、CSR(Corporate Social Responsibility 企業の社会的責任)の一環としての活動か…と単純に理解しそうである。

 今回の事例では、無論CSRとしての側面を強く持ってはいるのであるが、これが何ともうまく、自社の商品PR(&販促)に貢献しているのである。


CCD(Colony Collapse Disorder 蜂群崩壊症候群:以下CCDと表記)とは一体何なのかご存知だろうか?


日本での別名として「いないいない病」とも一部で呼ばれているこの事象は、一夜にして蜜蜂が原因不明に大量に「失踪」する現象である。アメリカでは2006年秋に発覚して以降、現在まで、セイヨウミツバチが一夜にして大量に疾走する現象として断続的に発生し、問題となっている。

 その数は、アメリカで飼育されている数の4分の1にも及ぶという。また、この現象は、ヨーロッパ諸国(スイス、ドイツ、ベルギー、フランス等)や台湾でも大きな規模ではないものの報告されている。しかしながら、「失踪」の原因はいまだ解明されていないのである。


 では、本題へ戻ろう。


CCDとビール会社にはどんな関連性があるのだろうか?


この問いにすぐに答えられた人は、かなりの「ビール通」と言えるかもしれない。


 そう、ビールの製造過程の一つ「発酵」に使用する酵母として「天然蜂蜜酵母」を利用しているのである。日本でも、「博石館ビール」(http://www.hakusekikan-beer.jp/ )などが天然蜂蜜酵母を利用したビールを製造している。
 
 今回のユニークな「CCD対策サポートキャンペーン」の取り組みを行ったのは、NY州Rochester のDundee Brewing Companyだ。現在、同社は、High Falls Brewingグループに属している。同社の起源は古く、1878年にThe Genesee Brewing Companyとして設立され、その後2000年にHigh Falls Brewing Companyとなり、現在全米で第七位のビールメーカーである。


   ※Website(High Falls Brewing Company): http://www.highfalls.com/


 Dundeee Brewing Companyでは、自社の看板ブランド商品として1994年に「Dundee Honey Brown」という名の、天然蜂蜜酵母を利用したビールの製造を開始した。同ビールは、2004年に世界ビールカップにおいて金賞を受賞するなど、名実ともに同社の基幹商品の一つである。

 そのため、中長期的視点で見れば、このまま原因不明の蜜蜂の失踪(CCD)が続くと、自社の看板商品への大きな脅威となるのである。


 しかし、このビールカンパニーの特筆すべき点は、自社の商品(や利益)のためだけに蜜蜂を保護しようとしているのではないという姿勢を明確に示したことだ。


 同社のマーケティング部門の副部長であるPartric Magallans氏は以下のような情報をキャンペーンの実施に際し発信している。


「私達が口にしている果物、野菜、ナッツなどを含む食物の3分の1近くは、授粉のために蜜蜂を必要としている。そのため、蜜蜂の失踪は、これらの多くの食物の生産・供給過程に問題を引き起こす可能性がある。」


 そう、自社のビールだけが問題なのではない。蜜蜂は私達が普段口にする食物の生産過程において大変重要な役割を果たしている…だからこそ保護しなくてはならないし、CCD研究をサポートする必要があるというのである。 また、さらにこう続けている。


 「全米の多くの農家は、作物を失うかもしれないという可能性に直面しているのだ。また、ひいては地方経済や社会生活に大きな影響を与えかねない。」


 そう、彼らは「ビールが飲めなくなるよ、だからCCD研究をサポートしよう」と単純に呼び掛けたのではないのだ。そうではなかったがゆえに、大のビール党の人のみならず、より広範囲の人々が同社に興味を持ち、また活動に賛同したのだ。


 では、具体的に彼らはどのようなサポート活動を行っているのだろうか?


彼らは、CCD問題に対するパブリックの気づき・関心を高める活動と、CCD研究を支援するための寄付金を集める活動を行っている。 その具体的な活動として、「Save the Honey Bee Program」のHPを運営し、パブリックへの啓蒙活動を行っている。


   ※Website:http://www.dundeeforthebees.com/


 このサイトで彼らは、CCDとは何か?また我々の生活にどんな影響があるのか?そのために何をしなければならないのかということを解説し、訴え、人々の理解を促そうとしている。また、同社のマーケティング部門の副部長が述べていた、ビールだけでなく私達が日常口にする多くの食物も、その存亡の危機にさらされている
という点も、わかりやすく図解されている。


 また、同時に消費者は、Dundee社の商品の購入を通して、これらの活動をサポートすることができると説いているのである。同社は、自社商品が購入される毎に、American Beekeeping Federation(ABF)に、上限25000ドルまでを寄付するそうだ。




【PRの切り口】


 「我々の「豊かな」食生活を今後も維持し、そして農業で生計を立てている人々や地方経済を救うために、我社のビールを買ってください」。日本のビールカンパニーでは聞いたことのない商品・企業PR(&販促)手法である。
 もちろん、そこには「CCD」という媒介があったのである。この媒介が、「大麦」や「ホップ」であったらどうだっただろう。直接的すぎて、いまいちではないだろうか?結果的に同じことをしようとしていても、いやらしさを強く感じてしまう。

 それが今回は、「CCDに対するパブリックの認知・関心を喚起し、社会全体に対して影響が大きい問題を解決する」という大義名分があったがゆえに、いやらしくないのである。
 この「CCD」自体は最近になって新しく生じた問題ではないが、こういった問題があることに気づき、そしてそれを有意義に取り扱えないかと考えた、同社の動きは天晴である。


 私達が見落としている「PRのための媒介」は、そこら中にありそうである。




【今週の目ウロコ度】


4ウロコ

フグフグフグフグ


「忍法手裏剣隠れ蓑の術」 科目

 



【編集後記】
 
【スゴイ★PR】編集担当の秦泉寺(じんせんじ)です。 「CSR活動だって、営業に利用したって良いじゃない!」そんな風に感じました。決して嫌悪感を感じたわけではありません。きっちり、何のために活動を行っていて、それがどう結びつくのか、どのような効果を生むのかをきちんと説明してくれているからでしょうか。
 

「自己満足」や「自己の利益追求」ではなく見える企業の姿勢に、そのセルフプロデュース力に乾杯(完敗)です。


 ※三十路編集女のブログも好評(?)更新中 http://ameblo.jp/editorsayakajinsenji/
 



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