【今週のHOTニュース From the USA】
「アメリカお茶協会」が、2万ドルをかけてコンペティションを実施
学生よ、お茶を飲もう、知ろう、ビデオを撮って、メッセージを発信しよう。
そして奨学金2万ドルを勝ち取ろう。
【ニュースの裏側】
1950年に設立された非営利組織、「アメリカお茶協会(Tea Council of
the USA, Inc)」が、アメリカとプエルトリコの16歳以上の学生を対象にした
奨学金制度を発表した。金額は2万ドル(日本円で約207万円)!
しかし、これは単に学校での成績優秀者や試験の結果で与えられるもの
ではない。なんと、「インターネットビデオ」の出来栄えによるコンペ
ティションなのである。
では、どのような「インターネットビデオ」が対象となるのか?
エントリー要件はこうだ。ビデオはホームメイドで1-2分の長さの
ショートビデオ。ビデオには、「お茶」にはどのような健康面への
効果があり、またそれはなぜなのかという有益なメッセージを盛り込む
ことが必須条件である。さらに協会側は、「ユニーク、珍しい、突飛」
な手法でと念押しをしている。
同協会のホームページから今回のコンペのサイトにアクセスすると、
サイト名は「The Calm-A-Sutra of Tea」となっている(くれぐれも、古代
インドの「愛の経典」とは異なるのでご注意を)。なんとも、若者受けしそ
うな際どいネーミングである。 協会によれば、このサイト、もしくは
「経典」と呼ぶべきか(=「The Calm-A-Sutra of Tea」)は、アメリカで
もっともユニークでクリエイティブな方法で、「お茶」の健康面への効果を
人々に発信しているという。それが即ち、今回のコンペにおいて審査対象と
なる「お茶の効果を盛り込んだインターネットビデオ」なのである。
では、なぜ今、アメリカで「お茶協会」が仕掛けたのか?
日本でお茶といえば、まず緑茶であるが、アメリカで「TEA」といえば、甘いアイスティーが提供されることが多い。私自身もアメリカに短期留学した際にこの「お茶違い」には少々辟易した。「甘くないお茶」が、のどから手がでるほど欲しかった覚えがある。
日本やアジアであれば、「お茶」=ヘルシーの代名詞であるが、アメリカでは簡単にそうはならない。ハンバーガーやポテトチップスに代表されるジャンクフード、バターや脂肪分たっぷりの食事に加えて、飲み物も甘いとくれば、健康に気を使った食生活と言えようか。
また、アメリカでは若者の多くは、「お茶」ではなく「ソーダ類」を好んで飲んでいる。そんな彼らが大人になり、子供を育てるようになるわけだから、いつまでたっても「お茶」の時代はやってきそうにない。そこで、
「このままではダメだ!この国の子供たちと、国の未来のためにならない!」
と「アメリカお茶協会」は考えたのである。
また「お茶」は、世界でも水に次いで多く消費されている飲料でありながら、とても美味しくなおかつカロリー0という優れものである。また、特に緑茶などは、健康管理やアンチエイジングに重要な抗酸化作用が期待できる
フラボノイドを含んでいる。そのため、お茶を飲むことによって、健康的な生活を送るための助けとなるのである。そんな効果を一番欲しているのは…、そう肥満に悩む国、アメリカであり、そこに住む人々なのである。
またアメリカ人は昔から、「ダイエット」に対しての興味関心が非常に高く、様々な治療法、エクササイズ、サプリメントなども豊富である。また、昨今では「エリートや出世したい人は太っていてはいけない」などという不文律もあり、人々の「ダイエット」「健康」に対する意識がより高まっているのである。
そこに目を付けたのが「アメリカお茶協会」だ。「救世主」とばかりに「お茶」をPRし、利用を促進していこうというのである。しかも、若いクリエイティブな才能をいかんなく利用しながら、である。
アメリカでは、多くの学生が何らかの奨学金(Financial Aid)を受けて大学で学んでいる。そんな彼らにとって、「奨学金」というキーワードは強い効果を持っており、また彼らのネットワークにこのコンペティションを通して、「お茶」が急速に浸透するという効果も期待できるのである。
協会は、「健康面での効果を科学的に提示し、お茶を飲むことを奨励することは協会にとって重要な目的の一つである。またその一方で、より高度な教育を求めるアメリカの若者をサポートすることも重要だ」と述べている。
また、同協会では、米CBSテレビのヒット番組である’Rules of engagement’のスター、Megyn Price氏を、‘Calm-A-Sutra of Tea’のスポークスマンとしている。プライス氏はこう語っている。
「一人の新米の母親として、「教育」は私達の子供たちとこの国の幸せな未来のためにとても重要なものであると信じています。また私自身も、奨学金なしでは大学を卒業することは不可能だったでしょう」
そう、ここでの「教育」には、
「お茶を飲むことによる健康効果を教えること」と
「キャリア形成のためのアカデミック教育を得ること」
という2つの意味がかかっているのである。
つまり、「アメリカお茶協会」はコンペティションを通して、「若者」に対し「お茶」をPRし、また「お茶ユーザー」として囲い込んでいるとも言えるのである。
奨学金2万ドルの還付を通して社会貢献をも行い、なおかつ「お茶」のPRまでしてしまう見事な仕立てである。
【PRの切り口】
「定番・王道=不可触」ではない。触媒次第で、唯一のPR手法に「企業が奨学金制度を設ける」という企業PRの手法は、別段新しいものではない。
しかし、今回の「アメリカお茶協会」ではその「選考方法」に新しい仕掛けがあったのである。
「学業成績優秀者=奨学金」ではないのである。「企業にとって「有益なPRをしてくれる」学生=奨学金」でも良いのではないか?
【今週の目ウロコ度】
4ウロコ
「温故知新」科目
【編集後記】
【スゴい★PR】編集担当の秦泉寺(ジンセンジ)です。
いわゆる「テストの点」だけが、個人の能力ではない。常々言われる
ことですが、やはり「テストの点」が物を言う場面がまだまだ多いのも
これまた事実。昨今は入試方法が柔軟になってきている大学も多いと
聞きますが、こういった「面白い選考方法の」奨学金制度やキャリアアップ
制度などで、大学や企業も人材を集めてみてはいかがなものでしょう?
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
また、来週お会いしましょう。
【PR会社のPR】
○/ 「社長さ~ん、PRですよ」」
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