週末の都知事選挙であるが、政見放送や選挙公報をみていると、全く当選目的ではない候補が多くいる。自身のYouTube等のアクセス数稼ぎが目的なのかもしれないが、選挙という目的に複数の目的外利用が存在することは、非常な無駄が発生することになる。候補者の掲示板だけでも相当な無駄であり、公共放送の時間は国民の共通財産の無駄使いになる。また、日本の選挙文化の恥を世界に知らしめていることも不利益という無駄の側面である。

人間のもつ、自己顕示欲・認証欲求・自己満足欲というのは、目的性を正確に発揮する場と機会と方法を選択しないと、自由という理念を破壊し、自らの首をしめることにつながると思える。

万能感を得ることができると勘違いさせる、個人的欲望というものは想像以上に恐ろしい力を有していて、危ない世相を招く可能性があり、今後予定されるであろう国政選挙においても注視していきたい。

 

はじめに

企業活動、国家政策、軍隊はじめ大小さまざまな集団は、往々にして自らの能力不足を認めたくなくて戦略の無理な続行をすることがある。計画の時間的視野思考の順序の不安定さと、考え方の方向が違うことから混乱をきたすことが多い。未来へのシナリオが戦略思考であることを再認識すべきである。

また、対象範囲と時間軸を基本にしなくてはいけないのにかかわらず、問題などに対する姿勢、態度が感情的でもある。

戦略の予定表変革シナリオにおいて、最初の部分正確にこと定型的分析は、成功方法まではわからないこと、データ分析は、属性情報にすぎ、構造変化までは見ることができないことを冷静に認識すべきである。哲学がなくては戦略作成はできないのである。

人間の錯誤

人間が故に、あいまいさの問題は避けられない。過去の実績については認識が間違えることが多々ある。

意図的不都合な真実から意識をそらしたり不都合な真実を軽視することもある。無意識的に大きな真実が見えないこともある。また、見たいと思っているが視野が狭いため大きな真実が大きすぎて見えないこともある。反対に、見えやすい小さな真実は、安心感の源泉となるため、都合のいいことして捉える。それらの根底には人間の弱さが見て取れる。

知的誠実さの欠如としては、事実を無視しないことが大切ではあるが、気がついていても認識を避けることもある。思考をさえぎるもの、思考を歪めるものは、不明確な要素の存在と認識の歪みとなってしまっている。

思考努力が効果につながっていると思いたいため、定性的な判断に気がまわらなくなることもある。

最も恐ろしい例としては、第二次世界大戦時において大きな真実が不都合な真実に変わる時点で発生した根性論偏重の妄想で、戦場での対応力がなくなり、負の連鎖も誘発し、部隊が壊滅したことなどである。

同調圧力

思考のミス理由は、集団の中での心理状態であり、特に同調圧力で異質な意見を封殺するため、不安な人間は周囲に迎合「他人と同じで安心したい」と思う。また、外国の個人主義に対して、日本集団主義には同調圧力が強く働くことにより規則思考が強くなり、官僚主義的で答えが存在する問題にしか対応できないため、想定外の環境変化に対応できない。えば、震災のときにうろたえる専門家で、「想定外」を平気でつかう場合である。

表現のための言語

戦略を表現する言語能力としては不十分な場合があり、言葉の意味の広いと狭いの違いが明確でなく、核心的言葉」にまで思考を集約できないことがある。同時に、似た言葉の違いを認識しないため、狭い言葉に対してそれを含む広い言葉が存在することにより、その広い言葉で思考をすませてしまう問題が起きやすい

予測能力の必要性

戦略目標に対する全体の構造を正確に把握し、現在位置を確認しながら断片を体系的に整理することにより歪み精度を上げ、小さな変化を見逃さず、大きな変化の兆候を嗅ぎ取る能力が必要となる。

                      参考文献:「なぜ戦略の落とし穴にはまるのか」伊丹敬之著