変な橋とトンネルを訪ねる | 直球オヤジの自由奔走生活

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座右の銘は「"行きたい"、"やりたい"、"欲しい"と思った時が"その時"」。55歳で早期退職し、高齢者と呼ばれるまでの今が"その時"。趣味のバイクや自転車は年齢的に待ったなし。エコノミーな生活で趣味を楽しむ。これをどう追い求めるかが、このブログのメインテーマです。

私は橋とトンネルが好きだ。それは長大で巨大なほどいいが、橋なら変わった構造であったり、トンネルなら狭隘(きょうあい)なトンネルも面白い。そんな場所を近場で探して行ってみた。

岐阜方面にツーリングに行こうとした。そこに向かう途上の地元の静岡県なんか、半世紀もバイクに乗っているのだから、どこもかしこも知っていると、いつもなら単なる移動区間としてしまうところ。しかし、その夜は県西部の町で以前勤めていた会社の元の同僚らと飲み会もあり、時間的に余裕があったので、穴場を探ってみた。するとあった。これはおもしろそう。まずは
大井川へと向かう。

静岡県の中部と西部との境に流れる大井川。リニア新幹線工事が静岡県で進まないのには、この川の存在がある。その川にちょっと変わった橋があることを、ふと思い出した。それは
水を通す橋(水路橋)。水路橋は水を通すことを目的としたものだが、この橋は車も通行できる。そう書くと普通の橋じゃないかと思われるが、この橋の変なところは一方通行で、その向きが時間帯毎に代わるという点。いったいどういうことなんだろうかと、それを解き明かすために「大井川水路橋」へと向かった。



新東名から2kmほど上流に架かる「大井川水路橋」

 

橋は1.5車線ほどの巾で狭かった。本来は水を流すための橋なので巾はそれほど必要とせず、歩道と車道それぞれ一本しかない。狭い橋は全国各地にいくらでもあるが、短い橋ならばお互いに譲り合って渡ればすむが、この橋は全長約750mもあるので時間帯毎に車の通行可能方向を代えている(歩行者と自転車は対象外)。その時間帯と方向は、通勤や通学の人の移動を加味していると思われる。この橋があるのは人里離れた山奥ではなく、新東名や国道1号線からもさほど遠くない場所で、そんな場所に15年以上前からあったのに全く気が付かなかった。灯台下暗しである。



橋の東側の入口

時間帯毎に一方通行の向きが代わるので、入口に「通行可」「通行止」の表示灯がある

道路の下は水路で、「ザァーーー」という水が流れる大きな音が聞こえてきた

 

次は狭隘トンネルに行こう。大井川を渡り掛川市へ行くと、そこに一部のマニアックな人にとって有名な超狭隘トンネルがある。私も10年近く前に一度行ったことがあるが、あのトンネルはまだ健在だろうか。国道1号バイパスのインターチェンジを降りて、ちょっと走ると目的のトンネルがある。主要道から逸れると道はすぐに完全一車線、それは軽自動車でも厳しいほど狭く、その道の入口に「昼でも猪が出ます」などと書かれていた。そんな道を100mほど走っただけで、そこに「岩谷隧道」がある。狭い!低い!これでは軽自動車でも無理ではないだろうか。バイクは車幅的には問題無いが、トンネル内の天井にまるでポリープか喉チンコのような岩があるので、頭上には十分注意が必要だ。



岩谷隧道の東側入口

1.7mの高さ制限があるが、軽自動車は通れる?

途中で酷い素掘りに変わり、前方には天井からポリープのような岩が出ている

 

いやぁ、すごいトンネルだ。廃道のような雰囲気は皆無だから、今でも使われているのだろう。そんなトンネルが人里離れた深山幽谷にあるのならまだしも、国道1号バイパスのインターチェンジから1kmも離れていない住宅地の裏の山にある。ポツリポツリと人家がある程度だが、トンネル入口付近で後ろを振り返ると家の屋根が見え、そのアンバランスなシチュエーションもこのトンネルの魅力だ。



西側出口付近は野趣に富んでいるが、数百mも走ると人家のあるエリアに出る

 

岩谷隧道を抜け、隣町の袋井市方面に向かう。向かう山中にはバイクメーカーのヤマハのテストコースがあるが、そこからそんな離れていない場所に、狭隘隧道が4連続する道があるという。通称「宇刈四連隧道」と称するらしいが、私は行ったことがなく、この手のものは地図上には記載されていないし、位置はネットで調べて判明したが、あまりにもマイナーな道なのでナビで案内してくれない。そんな道の入口を苦労しながら探すと、大手種子メーカーのビニールハウスが並ぶ敷地の奥に、森の中へ誘うかのように暗い入口がぽっかりと開いていた。

その暗がりの中へと迷わず進むと、その先に小さなトンネルがあった。先ほど岩谷隧道を通ってきたので、長さも短いし、道巾も広く(相対的にだが)、このトンネルには驚きはなかった。そんなトンネルが断続的に四本もあり、それを通り抜けると袋井市の郊外に出た。何の為に作られたトンネルか不明だが、廃道のようではなく、少なくても今でも使われていると思われる。このトンネルも写真からすると山奥にあるように見えるが、人が普通に住んでいるエリアにあるのが面白い。



宇刈四連隧道の東側一本目

高さも幅も軽自動車なら問題無い

 

 

 

宇刈四連隧道、東側から数えて最後の四本目

 

この手の面白みは、私がまだガキだった頃に、町中にあった小高い山を歩き回って、洞窟(防空壕かも)や町へと繋がる新たなルートを探したりしたことと似ている。大人(もう高齢者だけど)になっても、そんな面白みを追い求めている自分がちょっとおかしくもあり、いとおしくもあった。