お盆を過ぎたら、少し秋の気配を感じるようになりました。
夕方はシューっと気温が下がり、風が気持ちよく感じられるように。
一時期の熱風からすれば、段違いに涼しい風が吹くようになっています。
空も高い。
我が家は静かな田園地帯(というか農村地帯)に立地しているため、虫の声が多く聞こえるようになりました。
主にコオロギの声。
輪唱のように幾重にも重なるコオロギの声は、すずやかで美しくもある。
ところで、虫の音を「声」と認識できるのは、日本人とポリネシア人だけだそうです。
その他の言語圏の人々は、「雑音」にしか聞こえないか、そもそも耳に入らない人も多いそうで。
虫の声を聞きながら、「秋がやってくるのだな。」って季節の移り変わりをしみじみ思うこともないんですね。
そういう瞬間が持てるのは、ポリネシア人と日本人だけ。
理由は、言語の発音のパターンが他言語と違うからとのこと。
外国人でも日本語を母国語として育つと、同じように虫の声が聞こえるようになり、日本人でも外国語を母国語として育てられると西洋式に虫の声が「雑音」になるか、あるいは耳に入らないようになるという。
だから民族の違いということはなく、純粋に母国語の発音に左右されるというわけです。
虫の声が聞き取れるって、そんなに希少なことだとは思いませんでした。
子供の頃から当たり前にありましたから、当然のことだと思っていたのです。
色々と繊細なところのある日本人の神経。
音の聞こえ方にもその繊細さが現れていたなんて。
聴覚の性能も繊細なんでしょうね、きっと。
自分にとっての当たり前が、実は世界中のどこででも当たり前じゃない。
そんなことは、他にもたくさんあるはずです。
世界は広くて、自分とは違う人々がたくさんいる。
日常生活を平和に過ごしていると、そうは思えないけれど。
それほど日本の日常は平和で、私たちは、あり得ないくらいのラッキーにうずもれているのだと思います。