会社帰りに時々寄るレストランは営業年数の長い老舗です。
スタッフも長老級から若手まで年齢層がまちまち。
ホールのマネージャーさんはとうに還暦を過ぎている感じの柔和でスマートなかたです。
ファミレスのようなマニュアル化された接客でないのが好感度大。
それでいて距離の取り方がうまくて温かみがあり、さすがはベテラン!の風格です。
調理場には長老級の人が一人、若手が数人。
真ん中くらいの中間職的な人が数人います。
日によってシフトが違うので、誰が入っているかは当日行ってみないとわかりません。
しかし出てくる料理を見ると、長老級の人がいるのはすぐにわかる。
同じメニューを頼んでも、見た目も違うし、おいしさも全然違う。
これで価格は同じなのですから、超絶お得です。
これが「当たりの日」。
下味の加減や火の通し方、盛り付けに至るまで。
ベテランと若手では格段の差があるのです。
当然だけど。
そして、スープが単調でつまらないな、って時はちょっとトマト風味を加えてアレンジして新鮮な感じにしたり。
こんな小技を効かせるのもお手のもの。
やっぱり熟練の人はすごいな、と思わざるを得ません。
そして、このレストランの良いところは、スタッフ同士が和やかな関係性であること。
料理人の世界は上下関係が厳しくて、若手は特に辛くあたられるところが多いと聞きます。
ドヤされたり蹴られたり。
刺された(!!)なんて話も聞いたことがあります。←それは犯罪。。
なので、若手は失敗をしないようにピリピリしてる。
そんな調理場の緊張感は意外にもホールに伝わってくるものです。
しかし、このレストランでは、長老級の人も含め、皆が和やかに話してる。
私語禁止の飲食店もあるそうですが、私はこれくらい和やかな方が好きです。
そういう雰囲気はやはり、料理を通じてお客に伝わるものだから。
打ち解けすぎて礼を欠いてはいけないけれど、舐められることなく、礼儀正しく年長者に質問できる雰囲気のある職場は素敵だと思います。
年長者も世話を焼きすぎることなく、マウントも取らず、乞われればサポートに入るくらいがいいです。
呼ばれてもいないのに首を突っ込むのは自立を妨げますし、第一、突っ込まれた方はたまりません。
おせっかいと思われるような口出しは控えるべきだと思っています。
会話の感じを読み取れば、ちょうどいい具合の姉弟関係が築けているのが良くわかる。
その和やかさが料理にも滲み出ます。
どんな職場でも、人間関係の雰囲気は成果物に乗り移るものだと思います。
なので新しいお店に行ったら、その辺のリサーチは欠かさない。
席に居ながらこっそり調理場の雰囲気まで伺っているわたくしです。