袖振り合うも多生の縁 | 好きなものに囲まれるくらし

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「大好き!」は元気のもと。大好き!」を選択し続けていたら、
色んなことが変わり始めました。その変化の過程をつづります。
やっぱり「好き」の力はすごい。

通勤している路線で、時々遅延が発生します。

そういう時の列車内はいつもより混むのですが、この日は「激混み」でした。

満員電車に乗るなんて、何十年ぶりかのこと。

 

駅の階段から一番遠い車両を選んだのに、それでもすごい混みよう。

かろうじて乗れるスペースを見つけて乗り込んだはいいけれど、その後が良くなかった。

もう十分にぎゅうぎゅうになっているにも関わらず、まだグイグイと人が押し入ってくる。

 

そしてトドメはあろうことか、背中から人混みにタックルをかけてきて無理やり体を捩じ込んできた初老の男性。

きちんとスーツを着た白髪の男性で、とてもそんな乱暴なことをしそうな人には見えなかったけど、そのような暴挙に出たことに唖然。

激しく集団にぶつかってきたので、人混みは大きく揺れた。

私もムッとしたけれど、周りの人たちも相当ムッとしたことだろう。

 

けれど、誰一人、その初老の男性に文句を言う人はいなかった。

関わりたくない、と思ったのかもしれない。

少なくとも私はそう思った。

集団全体が黙って怒りに燃えているようにも感じられました。

 

すると、若い男性同士で話す声が響いた。

「満員電車って、なんかイラッとするよね。」

「確かに〜。」

なんて言って笑い合ってる。

 

私はとても大人なガス抜きの仕方であると感心した。

この会話はあの初老の男性に届いただろうか。

 

私はこの会話にとても救われて、「そうだ、満員電車ってイラッとするものなんだ。」って妙に納得した。

納得したら、なんだか気持ちが落ち着いてきたのです。

もしかしたら他の皆さんも、同様にこの言葉でガス抜きできたかもしれない。

 

このように満員電車でちょっと嫌な思いをした私なのだけど、素敵な出来事もありました。

 

ぎゅうぎゅうの満員状態はすぐに解消し、自分の周りに空間ができるほどになった。

座席の前に立てる場所があったので、そちらへ移動。

するとまもなく、隣に立っている男性の前の座席が空きました。

当然、そのかたが座るだろうと思っていたら、そのかたがこちらをちょっと見て、ニコッとしながら小さな声で「どうぞ。」って言ってくださったの。

どうぞ、って言ってくれた瞬間に、優しく手の平が座席を指し示していた。

 

それがとてもスマートで心地よかったのです。

なんてエレガント。

もしかしたら、譲り慣れている方かもしれません。

もちろんありがたく座席を譲り受け、にっこりと笑みを返しながらお礼の会釈をして座らせていただきました。

 

全くの他人なのに、優しくしてくださることが嬉しくて。

心がほかほかと温かくなったのです。



他人といえば、満員電車の人混みにタックルをかけてきた初老の男性も赤の他人です。

同じ他人でも、こんなに他人の気分を害する人もいるわけで。

 

「袖振り合うも多生の縁」という言葉がありますが、すれ違いざまに袖が触れ合うのも、何かの宿縁があると言うこと。

どんな宿縁だったのかは分かりませんが、天と地ほども違う2人の他人の印象です。

 

怒りに燃えるような因果なご縁など、「捨て去る」の一択。

心の中で塩を撒いておしまいです。

触れ合ったとしても、そんなご縁など要りません。

 

同じ「袖振り合う縁」ならば、心が温まるような素敵な印象を差し上げたいものだと思います。

席を譲ってくださったエレガントな男性から、「袖振り合う縁」の素敵な例を学ばせていただきました。