歌のある限り KEEP ON SINGING | 鳥肌音楽 Chicken Skin Music

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ヘレン・レディHelen Reddyという名前を覚えていらっしゃるでしょうか?70年代前半に「私は女I am woman」「デルタの夜明けDelta dawn」「アンジー・ベイビーAngie baby」という3曲の全米NO1ヒットを放ったオーストラリア出身のシンガーで当時は日本でもヒットしていました。中古のベストCDを以前買って1回聴いたきり棚に埋もれていたのを帰省のBGMに車の中で流していたのですが、70年代当時は聴いたことがなかった曲なのにめちゃくちゃ聞き覚えのある曲が流れてきました。聴きながらヘレンの歌詞とは違う歌詞の断片が浮かんできます。一度聴いただけでは思い出せず、思わずリピートしてしまいました。下にアップいたしましたのでお聴きください、聞き覚えがないでしょうか?

Helen Reddy /Keep On Singing
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Greatest Hits

「Keep on singing」という74年のシングルで全米では15位まであがるスマッシュ・ヒットに。日本では「歌のある限り」というタイトルで発売されたようですがAll Japan Pops 20のランキングでも最高位29位とそんなに売れなかったみたいですね。

車の中で繰り返し聴いて思い出したのが、ついこの間このブログでも取り上げた「それはスポットライトではないIt's not spotlight」です。

Barry Goldberg / It's Not The Spotlight
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Barry Goldberg

「歌のある限り」のクレジットはDavis/Bobby Hart/Danny Janssenとなっています。Bobby Hartはモンキーズでお馴染みのボイス&ハートのハートですね。かたや「それはスポットライトではない」の作者はゲイリー・ゴフィンとバリー・ゴールドバーグとまるっきり違いますが、似すぎていると思いませんか?バリーのアルバムが72年の発売なので74年のヘレンの曲の方が真似たということなのか・・・

気になって、少し調べると「歌のある限り」はヘレン・レディが歌う前にオースチン・ロバーツという歌手が歌っていました。YOUTUBEにありましたのでアップいたしましたがヘレン・レディのものよりさらに似ていると思います。

Austin Roberts / Keep On Singing


ぼくはママの顔を知らない
ぼくを産んですぐ死んだから
ぼくたちは貧民街のアパートで暮らしていた
それでもパパにとってはりっぱなお家だった
ぼくは6歳になった時
ストリートで歌いだした
通行人は硬貨を投げてくれ
パパの家計の足しになっていた

パパは言った
歌い続けろ 歌うのをやめるな
おまえはいつかスターになり
おまえの歌を聴くためにやってくる人たちに
幸せをあたえてやるだろうから

パパは言った
歌い続けろ 鐘をならせ
音楽を町から町へと歌い拡げろ
この旧い世界には愛が足りない
お前の歌で愛を拡げるんだ

10歳になった時
ちっちゃなロックンロール・バンドに参加した
パパの目は衰えてきているようだ
だけどぼくには分っていた
ぼくはパパの誇りで
ぼくたちの演奏を聴いた夜には
ぼくの隣にすわり
いつもこう言っていた

歌い続けろ 歌うのをやめるな
おまえはいつかスターになり
おまえの歌を聴くためにやってくる人たちに
幸せをあたえてやるだろう

パパは言った
歌い続けろ 鐘をならせ
音楽を町から町へと歌い拡げろ
この旧い世界には愛が足りない
お前の歌で愛を拡げるんだ

パパはお金を持ってはいなかったけど
そんなに悪い人生じゃなかった
パパと一緒にいると
ぼくは世界の王様の気分だった
パパはぼくをそばに呼び
震える手でぼくを抱きしめ
そのまま逝ってしまった

パパは言った
歌い続けろ 歌うのをやめるな
おまえはいつかスターになり
おまえの歌を聴くためにやってくる人たちに
幸せをあたえてやるだろう

歌い続けろ 鐘をならせ
音楽を町から町へと歌い拡げろ
この旧い世界には愛が足りない
お前の歌で愛を拡げるんだ


元々はバブルガム・シンガーであったオースチンの72年の『オースチン・ロバーツ』というアルバムの1曲目に収められており、シングル・カットもされ全米50位まであがったマイナー・ヒットであったようです。発売月までは分りませんがこちらもオリジナルは1972年の発表ということでさっき書いたように「それはスポットライトではない」を真似たとは言いづらくなってきました。どちらが先なのか?それともたまたま似ていた曲だったのか?

その辺のとこ誰か書いていないかとアメリカのYahooで検索してみましたが、ヒントとなるような記述にはお目にかかれませんでした。ようく調べれば見つかるのかもしれませんが、僕の英語力ではそこまで調べることは到底無理です。

ところでオースチン・ロバーツの「Keep on singing」ですが、親子の関係やバックのサウンド、とくにコーラスからB.J.トーマスのこの曲を連想してしまいました。

B J Thomas/ Rock And Roll Lullaby
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Greatest Hits

彼女はたったの16歳
ぼくが生まれた時 ひとりぼっちだった
そうぼくらは一緒に育ったのさ
ちっぽけなママとぼく

物事がうまくいかず怯えきった時でも
ぼくが泣き出すと
やさしくあやして涙を乾かしてくれた
ロックン・ロール・ララバイを歌いながら

ママは歌ってくれた
シャナナナナ ナナナナ
大丈夫よ
シャナナナナ ナナナナ

強く抱きしめて
そして歌って ママ
ぼくの ぼくの ぼくの ママ
やさしくはっきりと
おぉママ ぼくに聴こえるように
あのロックン・ロール・ララバイを

ぼくらはそうやって淋しい夜を過ごした
でも 神様 夜は長い
すてきな朝を夢見ながら
ママは歌ってくれた

今では歌詞も思い出せないけど
かまったこっちゃない
ロックン・ロール・ララバイには
愛がいっぱいつまっているから

ママは歌ってくれた
シャナナナナ ナナナナ
大丈夫よ
シャナナナナ ナナナナ

あなたの歌が聴こえるよ ママ
ぼくの ぼくの ぼくの ママ
あの懐かしいロックン・ロール・ララバイだけが
ぼくの心を動かすんだ

強く抱きしめて
ぼくの ぼくの ぼくの ママ
あの懐かしいロックン・ロール・ララバイだけが
ぼくの心を癒すんだ


バリー・マンとシンシア・ワイルによる名曲中の名曲「ロックン・ロール・ララバイ」、この曲も1972年の発表なのですがおそらくは前出の2曲よりは前に発表されているのではないかと思います。「Keep on singing」は歌の内容もサウンドもあきらかにこの曲の影響が感じられると思います。というかタイトル含めアンサー・ソングとして作られたのではないかと思うのですがどうなのでしょうか?「それはスポットライトではない」の方もゲイリー・ゴフィン絡みということから勝手に深読みすると、マン/ワイルという先輩格の名曲「ロックン・ロール・ララバイ」に感動したゲイリーとバリーの二人がオマージュとして作ったのではないかと・・・

そんなわけで前出の2曲は偶然にも似てしまったのではないか?ちょっと無理がありすぎますか・・・



おまけ
ヘレン・レディの歌で一番好きなのはディズニー映画「ピートとドラゴン」に主人公ピートの先生役として出演したヘレンがピートと一緒に歌う「それはむずかしくない」です。ディズニー・ソングの中でも一番大好きなこの歌、最初は誰が歌っているのか知らなかったのですがたまたま中古で買ったレンタル落ちのビデオを観たらヘレン・レディが歌っていてびっくりするとともに嬉しくなったのを思い出します。

Pete's Dragon - It's Not Easy