いざ たたかわん いざ | 鳥肌音楽 Chicken Skin Music

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本当は5月1日にアップすべきだったのでしょうけど。しかし、今現在5月1日にこの歌はどのくらい歌われているのでしょうか?

たまたまですが美人ギタリスト、日本はこの美人何々が好きですよね、村治佳織の『ポートレイツ』というアルバム聴いていたらいきなり聞き覚えのあるメロディが流れてきました。しばし曲名を思い出そうとしたのですが、これってまさか、でもなんでクラシックの美人ギタリスト村治佳織(しつこいか、でも美人)のアルバムに・・・

そうそれはこんなメロディであります。

村治佳織 /  ギターのための12の歌より インターナショナル


たて うえたる ものよ
いまぞ ひは ちかし
さめよ わが はらから
あかつきは きぬ
ぼうぎゃくの くさり たつひ
はたは ちに もえて
うみを へだてつ
われら かいな むすびゆく

いざ たたかわん いざ
ふるいたて いざ 
ああ インターナショナル 
われらが もの

いざ たたかわん いざ
ふるいたて いざ 
ああ インターナショナル 
われらが もの


ナイロン弦の柔らかな響きにあわせて歌詞も漢字抜きでやわらかくしてみました(笑)。

$鳥肌音楽 Chicken Skin Musicタイトルが「ギターのための12の歌より インターナショナル」となっているのでググってみるとどうやら武満徹が74年に編纂した「ギターのための12の歌」という作品集で日本のクラシックのギタリストにとっては避けては通れないもののようです。選ばれている12曲は「ロンドンデリーの歌」「オーバーザレインボー」「サマータイム」「早春賦」「失われた恋」「星の世界」「シークレットラヴ」「ヒアゼアアンドエヴリウェア」「ミッシェル」「ヘイジュード」「イエスタデイ」「インターナショナル」。スタンダードや唱歌、ビートルズ・ナンバーになぜか「インターナショナル」がまぎれこんでいます。といいますか武満のことですから意識的に地雷を埋め込んだといったところなのでしょうか。村治のギターを聴いていただければ分るように「インターナショナル」って歌詞をとっぱらってメロディだけになると実に優しい素敵なナンバーなんですよね。

$鳥肌音楽 Chicken Skin Music

80年前後に学生だった僕はぎりぎり「インターナショナル」を歌ったことのある世代じゃないかと思います。78年生まれの村治なんかは武満によって埋められた「インターナショナル」という地雷の意味についておそらくは何も分らないままにこの曲を演奏しているのではないかと思ってしまいます。

ともすれば歌に込められた「思想・信条」によって敬遠されてしまうナンバーがその思想・信条を隠してしまうことで耳障りのよいメロディとして身体に刻まれる。いつの日にか芽を吹く(かも知れない)「インターナショナル」という種が広く撒き散らされているわけで、草葉の陰で「してやったり」とほくそ笑む武満徹の顔が見えるようです。