日立電鉄線廃止から1年・・・ | 菅沼天虎の紙屑談義

菅沼天虎の紙屑談義

交通機関を利用する為の切符・・・一般の方々にとっては使い終わってしまえばタダの紙屑で、最後は係員に渡して終わりになるモノです。
そんな紙屑に夢中になってしまった大馬鹿モノの戯言にお付き合い下されば幸いです。

昨年3月31日に、日立電鉄線が廃止となってから丁度1年が過ぎました。


当初心配された代替バスの道路渋滞による遅れも、運行時刻の手直しを行なって騒がれなくなったようですが、鉄道時代と比較して、通勤利用者が7割も減ってしまったとの事です。


路線跡は架線の撤去が全線で終了し、線路も久慈浜、大沼、常北太田の各駅の構内を除いて撤去されました。車両の処遇は1両が日立市内の模型店に保存されたのみで、その他の車両は久慈浜、常北太田の構内に色褪せた姿を晒したままになっていますが、いずれは解体されるのでしょうか?


話を乗車券関連に戻しますと、日立電鉄は昭和63年から段階的に券売機の導入を行って硬券や補片・補往、特補が設備廃止なっており、廃止時点では券売機券を除くと趣味的に購入出来る券は、回数乗車券、団体乗車券、携帯品一時預かりと手回り品の共用切符しか残っていませんでした。(定期券の発売は3月1日までで3月2日から発売停止)

車内乗車券も全線ワンマン化の時点で使用されなくなり、しばらくの間は特補共々大甕駅構内の指令所に券が残っていて、希望すれば発売して戴けましたが、こちらも廃止時には券自体が無くなっておりました。


機械化開始当時、数回にわたって同線を訪問して購入した券がございますので紹介いたします。

なお、社線内の金額式硬券、大人用の補片・補往、特補、車内乗車券につきましては、スペースの都合上割愛させて戴きますのでご了承願います。


    常北太田⇔(常)川尻     久慈浜⇔常陸多賀【小児】

   JR連絡片道券です。日立電鉄では近距離であっても他社のように金額式となっていませんでした。



                   久慈浜から 常陸岡田ゆき 往復

 社線内往復券です。最後は何故か久慈浜駅だけに7種類設備され、他駅には設備がありませんでした。




             大沼から 水戸ゆき 往復

 JR連絡往復券はD型でした。久慈浜駅に5種類、大沼駅と水木駅に水戸ゆき1種類の設備がありました。



                    常北太田→水戸 補片【小児】

サムネイルが小さくなってしまいますが、補片の小児専用券。常北田太駅発行となるエラー(誤植)券です。 



                    大沼から 金上まで 補往【小児】  

     補往の小児用です。当時はJRを挟んで茨城交通湊線との三社線連絡運輸を行っておりました。


なお、往復券には小児用は無く、補片・補往には大人券が存在します。日立電鉄の補片・補往は発売各駅とも大人用・小児用を設備していました。入場券は昭和52年頃に設備廃止、最後は駅名補充式でした。


前述しましたように、上記の券は昭和63年に券売機導入により全て無くなりましたが、これは同地域のJRより早く、JR水戸支社がPOS導入により簡易委託駅以外の硬券を廃止したのは平成2年10月1日です。



鹿島鉄道(石岡~鉾田)が、当初の予定通り昨日3月31日に国土交通省に廃止届を提出しました。このまま状況が改善しなければ、平成19年3月31日限りで同線は廃止となります。日立電鉄より格段に利用者が少ない同線に起死回生は起こるのでしょうか?



4月2日追記


4月2日付新聞に、日立電鉄線廃止1年後の状況が掲載されました。


それによりますと、常陸太田市教育委員会および日立市内高校関係者の談話として、今年の常陸太田市から日立市への高校への進学状況を見る限りでは、日立電鉄線廃止の影響は特に感じられず、通学定期運賃が常陸太田~大甕の代替バスよりも、常陸太田~水戸~大甕のJRの方が安いとの事由もあり、水戸経由で通学する学生も少なくないそうです。JR経由はかなりの遠回りとなりますが、経済的事由以外にも水戸の予備校に通える等、利点が多いとの由。

また、沿線住民の談話として、(電車の)騒音より解放されて静かになったと喜びの談話も載せられています。


記事自体が日立電鉄線廃止の影響は殆ど無いとのスタンスのようで、廃止になって困っているとかのマイナスの部分や、日立市から常陸太田市の高校への進学状況等に全く触れていない点が気にはなりますが、廃止問題が起きた時点で騒がれた、通学や進学先に対する悪影響への懸念は杞憂だったのでしょうか?


現状で通学生や沿線住民の多数が、この記事の通りの考えを持っているとすれば、結果として日立電鉄線廃止は正しい判断であった事になり、そうなりますと日立電鉄線よりも利用率や収支状況の悪い鹿島鉄道の存廃問題論議にも何らかの影響があるのではないか?と思います。