これまでも度々書いていますが、子どもの「泣き叫びや大暴れ」は精神の病気ではありません。大人になってもです。令和の精神科には、多くの親が「中学生高校生の我が子が泣き叫んだり大暴れする」と訴え、子どもを連れてきます。中には幻聴が聞こえる子もいたりするので、あたかも統合失調症のように見えたりすることもありますが、注意深く観察すると統合失調症でないことがもっぱらです。試しに入院させ、その子が泣き叫んでいる様子を観察すれば、それが統合失調症の幻覚妄想状態や精神運動興奮とは全然違うことがすぐわかります。彼らの泣き叫びは言語化できない「怒り」であり、自制できない感情の爆発です。乳幼児が泣き叫ぶ理屈と何ら変わりません。乳幼児が泣き叫んでも、誰も精神科に連れてくることはないでしょう。
脳や社会性が未熟な若者が増えていることは、多くのニュース媒体が報道している通りです。成熟した脳なら「危険」と察知し避けるべきことを、危険と認識できず平気でやってしまう。そんな彼らに必要なのは適切な家庭教育であって抗精神病薬ではないのです。私の外来には自制心が未熟なため泣き叫んだり大暴れしているだけなのに大量の精神薬を投入されにっちもさっちもいかなくなった若者が数多く訪れます。そんな彼らの話に耳を傾けると親に対する不平不満が怒涛のように噴き出してきます。「わかってくれない」「受け入れてくれない」「認めてくれない」。彼らはたったこれだけのことを親に言えず胸に溜め込んだ挙げ句、我慢できなくなって泣き叫び大暴れしているだけなのです。従って長い時間をかけ話を聞きつつ注意深く現役すれば、半年もしないうちに全く薬を必要としない状態になります。ほんの1年前、5−6種類の精神薬を飲んでいながら荒れに荒れていた子が、わずか1年でひとつも薬を飲まなくても問題なく元気に過ごすようになります。同じことがセルフドリブンチャイルドにも書かれています。これがどういうことを意味しているかわかりますでしょうか。彼らは「親に認められる」ことに飢えているだけなのです。