子どもにいちいち介入することは、子どもに「あなたを信用していない」と宣言しているようなもの。この件は高濱先生をはじめ色々な専門家が警告を発しています。

親が子どもを信用できなければ健全な親離れ子離れができないので、親も子も共依存となり病んでいきます。子どもの「病む」にはアンビバレンツが加わるため、親より症状が強く出ます。大暴れしたり泣き叫んだり、刃物で手を刺しまくるといった自傷は珍しくありません。

元開成高校学校長の柳沢幸雄先生が「密着した子育ては小学校卒業までにしなさい」と本を書いてまで警告しているのは、そういう親が進学校にもたくさんいるからです。密着した子育ては小学校卒業までにしなさいと言っているのに、大学入試はおろか会社に行くようになっても尚介入する親がいます。滋賀の医学部9浪母親惨殺事件を思い出してください。母親の異常な医学部への執着心が子どもを殺人犯にしてしまった事件です。あの母親は娘を自分の欲を満たす道具としか考えていなかった。だから娘の人格を破壊してまで、己の欲の赴くままに鬼畜の所業に及んでしまった。結果、子どもの人生をめちゃくちゃにしたのです。この事件は対岸の火事でも珍しい一例でもありません。日本のそこら中で起こっています。

子育ての基本書「セルフドリブンチャイルド」をはじめ多くの子育て本に「子どもに介入するのは子どもを信用していないこと」と書かれているのは、多くの親が子どもを信用していないからです。「信じる感覚がわからない」と言う親すらいます。「信じる感覚のわからない」親に育てられた子の心に「信じる気持ち」が成熟しないのは至極当然です。生活の中でそれを体感することができないのですから。残念なことに「自分を信じる気持ち」が持てない人は努力の継続ができません。「信じる」という感覚は単に「自分を信じる」「人を信じる」の話にとどまらず、その後の人生の至るところで必要になってきます。それくらい大事な感覚なのです。