努力は報われるのか:子供たちが失う学ぶ楽しさ | みとのや先生日誌:元帰国生だから言える事

みとのや先生日誌:元帰国生だから言える事

アメリカオレゴン州、ワシントン州にある学習塾巣鴨アドバンススクール(www.sugamoadvance.com)で日々子供達と奮闘中です。

先日、生徒が興味深い発言をしていたので

それについて私の考えを書いておこう、と思いました。



「努力したって結果が出ないときもある」

という発言だったのですが



個人的には

努力すれば、自分の想像していた結果にならなかったとしても

無駄な努力などない!と思ったのもつかの間

よく考えてみますと

その努力が正しくないものであれば

つまりその子にとって必要な努力でなければ

努力が無駄になってしまうこともあるのでは、と思い始めています。




たとえば

英検4級の勉強をすべきレベルの子

つまり、remember, weak, hard などの単語を覚えるべきレベルの子供たちが

英検2級の単語

entertain, devote, carry out, などを勉強すれば

英検4級に合格できるのでしょうか?

または、英検2級に合格できるのでしょうか?

この生徒の場合、英検2級の勉強というのは

文字通り「結果のでない努力」であり

「無駄な努力」に終わってしまうのだと思います。



英検以外の例で言えば

アメリカでの漢字の勉強などもあてはまるでしょう。

日本とアメリカで環境が違えば、漢字に触れる機会も違います。

最近日本に帰国した生徒が「日本には漢字がいっぱいあります、これなら漢字も簡単に覚えられます」

と自信満々な報告をしてくれたとおり

私たちが考える以上に、アメリカに住む子供たちは漢字に触れる機会が少ないのです。

にもかかわらず、日本と同じペースで、身の周りに存在しないために理解しがたい漢字を覚えさせられる

たとえば

雨戸(アメリカの家には雨戸がありません)



台風(オレゴン州には台風がきません)

などの漢字を一生懸命覚えたところで、身の周りのものに結び付けられないために

すぐにその漢字を忘れてしまうのです。


そうすると、テストのためだけの漢字勉強になり、覚えては忘れ覚えては忘れ

子供たちは、このつまらない暗記が勉強なのだと思い始め

漢字嫌いから日本語嫌いになり、最悪の場合勉強嫌いにまでなってしまうのです。


本来勉強とは知的好奇心が満たされる楽しい行為のはずです。

しかし、無駄な努力をさせられるがために、知的好奇心とは無縁な日々を送らされ、勉強嫌いになっていってしまうのです。


巣鴨アドバンススクールでは、入塾する生徒たちのレベルをチェックします

生徒によっては、英検の過去問題であったり

塾の模擬試験であったり、漢字のテストであったりとさまざまですが

レベルチェックは何のためにやるのかというと

そのこにとって必要な努力とは何なのかをまず把握するためです。

それをしないかぎり、無駄な努力を強要してしまい

勉強嫌いになってしまうからなのです。

そして、漢字の書きを強要しません。

あくまでも、その漢字の読みと意味の理解を中心に学習してもらいます。

漢字の書きよりも、もっと大事な読みとその意味の理解に時間を使ったほうが

無駄な努力にならないと思うからです。



個人的な結論としては、無駄な努力を極力なくし、正しい努力をできる環境を提供することが

子供が勉強好きになる一番の方法ではないかと思いました。




今日はオレゴン州は曇り。

週末は生徒たちが日本人学校で学芸会をやるそうなので

顔を出せればと思っています。

それでは、皆さん良い週末を。