- ヤバい経済学 [増補改訂版]/スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー
- ¥2,100
- Amazon.co.jp
今日は本の紹介をしたいと思います。
この“ヤバい経済学”ですが、著者は若き経済学者。
経済学というフィルターを通して、身の回りにあるちょっとしたことを題材にしています。
例えば、90年代にアメリカで犯罪が減った理由と中絶の関係や、銃とプールはどちらが本当に危険なのか、など。
経済学は苦手という方にも、大変分かりやすく解説されています。
その中で、一教育者として大変興味深い内容がありましたので紹介したいと思います。
突然ですが、この中で子どもの成績に(+にも-にも)関係する要因はどれだと思われますか?
ほとんど毎日親が本を読んでくれる
親はその子をよく美術館へ連れて行く
こどもがテレビをよく見る
家に本がたくさんある
親の教育水準が高い
親の社会・経済的地位が高い
私ははじめ、すべてが関係するのでは?と思いました。
皆さんはいかがですか?
しかし、著者はこうまとめています。
成績に関係する要因は、“親がどんな人か”であり、“親が何をするか”は関係性が低い、と。
つまり、上にあげた最初の三つ(ほとんど毎日親が本を読んでくれる、親はその子をよく美術館へ連れて行く、こどもがテレビをよく見る)は成績に関係なく、下にある三つ(家に本がたくさんある、親の教育水準が高い、親の社会・経済的地位が高い)が成績と関連しているというのです。
最初の三つは主に、親が子どもに何をするか、子どもが何をしているか、でしたが、後ろの三つは主に、親がどのような人間であるか、ということでした。
これは、一教育者としても納得がいく話だと思いました。
塾の業界でも、~~法、~~メソッドなど、様々な教育方法が紹介されては、ブームとなり廃れていきます。
しかし、はやるメソッドなど試してみると分かることなのですが、一時的に生徒たちの興味をひけるのは本当かと想いますが、生徒たちはその教育方法というよりも、教師の人間的魅力についてくるのだと思いました。
確かにいかに優れたメソッドであろうが、教師に魅力が感じなければ誰も話を聞きませんよね?
そのような教育方法を創り出す人たちは、本当に生徒を想い、大切に考えていた人たちなのでしょう。
そのような発想ができるほど生徒を想い接していたからこそ、生徒たちは結果をだしていったのです。
これは保護者の方にも私たち教育者にも言えることですが
私たちが子どもたちに何をするか、というよりも、彼らは私たちがどういう人間なのか、というところから、より多くのことを学ぶのではないでしょうか。
このタイトルでもある子どもの成績を上げる方法とは、われわれ大人が向上心を持ち、成長しようとしているか、にかかってくるのだと思います。
読書でもいいですし、ボランティア活動でもかまいません。
スポーツに励んだり、趣味で裁縫などをやってもいいでしょう。
われわれ大人が、子どもたちの模範となれるよう行動していけば、子どもたちもその姿を見て育っていくのです。
われわれ大人が自分を磨き向上していくなかで、子どもたちも自分たちを磨き向上させていく。
そんな大事なことを思い出させてくれたこの“ヤバい経済学”
注目すべき経済学者の本です。